パズル14(2次小説:類つく)
このお話は花より男子の2次小説(類つく)です。作者様・出版社様とは関わりがありません。妄想の世界へようこそ…
道明寺SP 山中公平 35歳
彼は道明寺HDで働くSPの1人で柔道、空手など武道の達人で優秀なSPだ。 つくしの捉えられた場所が彼の実家のすぐ近くだった事から楓の任命を受け 密かに彼女を守っていた。
白井はつくしの事を全て山中夫妻に任せて、自分が近付く事はなかった。それは類達を警戒していると言うより彼女の生死など興味もないような態度だった。 最初の頃こそ山中夫妻も正直につくしの様子などを白井に伝えていたが、息子が突然、ケガのリハビリの為だと帰郷し白井の送って来る薬や飲料水を荷物の中から取り出しどこかに送っていたり、彼女の荷物の中にそっと何かを忍ばせている事に気づき、息子に追求こそしなかったが嘘の報告をしてくれるようになっていた。
山中母「あの子は本当に精神の病いなのかなねぇ…荷物を届けると笑顔で迎えてくれるんだよ。何も話しちゃいけないって言われてるんだけどね…」
山中父「少しくらいならいいんじゃないか?いつも英語が流れてるけど、
たまには日本語も話したいだろうしな。どうせなら欲しい野菜を持っていって やりたいしなぁ」
公平のいる前でわざとそんな会話をしてくる
公平「あの家の持ち主はどうせ来ないんだろ?いいんじゃないかな。」
ついそう答えてしまった。何も話さなくとも公平がここにいる事がきっと彼女を守る任務なんだろうと親も感じているようだった。
それから数ヶ月、公平は山に入り反対側の森を整備し彼女を助け出す準備を しながら、つくしを見守っていた。彼の目には孤独に耐えながらも毎日規則正しい生活をし、与えられた教材を必死に勉強する彼女の姿が眩しく見えた。公平は任務というより彼女のためならどんな事でもしようと心に決めた
山中父「これから寒くなるから山の上はキツイだろうって持主に連絡したが、何の返事も来ない…あれは本当に医者なんかなぁ」
山中母「もう聞く必要ないんじゃないかなぁ…あの子は病気なんかじゃないよ。うちの野菜で煮物作ったってくれたけど、すごく美味しかった。優しい子だよ 公平の嫁さんにしたいくらいだよ私は! 」
つくしの為にとセーターを編みながら母がそんな会話をするから、公平は真っ赤に なり下を向く、そんな息子の姿を微笑ましく見ていた
季節は春になり、緊迫した事態が起きた。
いつもはこちらからの定期連絡に返事もよこさない白井から山中家に彼女の様子を確認する電話が入った…
山中父「今年の冬は寒かったからだいぶ衰弱しているようですよ。届ける食材にもあまり手をつけなくなってます。病院に連れて行きますか?」
白井「私の送っている薬はちゃんと飲んでますか?あの水も体に良いはずなんだ。もう少し様子を見ましょう。来月にはそっちに行くから」
もちろん父親の話は嘘で、つくしは元気にしていた。送られてきた薬や水は一度も飲ませていない。父の対応を横で聞いていた公平はその日が近いと感じ、初めて両親に公平の知る事実を話し、西田部長にも連絡を入れた
それから数日、新聞に花沢類と琴音の結婚報道が大きく載る
西田「白井は目的を達成したようです。邪魔者は排除しようとするでしょう。 楓社長のOKが出ましたので、私はこれから日本に戻ります。明日、彼女を救出しましょう。それまで目を離さないようお願いします。」
山中「わかりました。あの家のそばにテントを用意してあります。私はそこを離れません。帰国したら西田部長はうちの父と来て下さい。」
次の日の午後 救出作戦が決行された…
庭の鍵が開き、いつものように山中夫妻が見えたのでつくしは玄関に向かい扉を開けて…驚いた
つくし「え?あなたは…道明寺の…」
西田「ご無沙汰しております。楓社長の秘書の西田です。詳しい話はあとで…
すぐにここを離れていただきます。彼はこのご夫婦の息子で道明寺のSPです。 楓社長の命で牧野様をお守りしておりました。」
山中「山中公平です。この家の裏側に道を確保してあります。少し危険な場所もありますので申し訳ありませんが私の背におぶらせていただきます。後の事は両親達に任せて下さい。」
戸惑うつくしを背負い安全ベルトで2人を繋いだ。
西田「牧野さん、白井は危険な男です。私達を信じて一緒に逃げて下さい。」
山中母「大丈夫だよ、公平は信用できる男だよ。しっかり掴まっているんだよ」
つくし「おじさん…おばさん…ありがとうございました。」
山中は人が1人歩けるくらいの道を迷う事なく進み30分ほどで車道が見える場所まで着いた。そこには既に西田が車で待機していて、つくしを乗せて走り去った。
西田「驚かせてすみません。体調はいかがですか?」
つくし「ありがとうございます。大丈夫です… あの今日は何月何日ですか?」
西田「4月10日です。半年以上…大変でしたね」
つくし「ご存知だったんですね…ではあの教材は楓社長だったんだぁ 変だなぁとは思ったんです。少なくとも…白井さんじゃない気はしたんです。 なんとなく人の気配も感じていたんですが…逃げ出さないように見張っているんだと思っていました。あのご夫妻の息子さんだったんだ…」
西田「それは本当に偶然でした。半年かけて逃げ道まで用意してくれたけど怖くはなかったですか?」
つくし「必死に掴まって…目を瞑ってました。きっと重かったですよね////」
西田「楓社長は仕事の都合で来週にならないと帰国出来ないんです。しばらくは身を隠していて欲しいと仰られています。詳しくは社長からお話があると思いますが、道明寺系列の病院で一応精密検査を受けて下さい。」
つくしはいろいろと聞きたかったが我慢していた。助けに来てくれたのが類ではなかったのが花沢の意志だったんだろうと胸が痛んだ。でも…なんで楓社長? それが疑問だった…
つくしは西田に従い車で2時間ほど走って着いた病院に入った。病室にはやはり テレビなどの情報がわかるものは何も置いてなかった。
一方 山中は来た道を戻っていた。
西田はあの家の中から道明寺から送っていた教材などを回収した後、合流地点に向かった。公平が監禁場所に戻ると両親が部屋の中を荒らしていた
公平「何やってんの?」
山中母「白井?って人が来た時に怪しまれないように、部屋を荒らしてるのよ。だいぶ衰弱してるって報告してたし…自殺に見せかけるんでしょ?」
そう…公平がここに戻ったのはつくしが山の中を逃げて崖から落ちたようにこうさくする為だった。まさか両親がここまで協力してくれてるとは思わず笑ってしまった
公平「あぁ 靴を片方だけ残しておく。この部屋の荒れ方を見たらそれ以上は追求しないと思うぜ。親父とお袋のおかげであの人を守れた、ありがとう。」
山中母「あんな良い子に酷い事した白井は許せないね。きっと天罰が下るさ でも…もう彼女に会えないのかと思うと淋しいね。公平のお嫁さんになって 欲しかったよ」
公平「あの方は道明寺社長が大切にされてる方だよ、無理無理」
後日…山中夫妻から『荷物を届けに行った時に隙を見て逃げ出してしまった。後を追いかけたら謝って崖から落ちた所を見た』と報告を受け白井も見に来た。 荒れた家の中と落ちたであろう場所を確認すると『バカな女だ』と笑った
その時の話を公平はしばらく過ぎて聞いたが白井への憎しみはまた大きくなった
両親も『思わず崖から突き落としてやろうかと思った』と怒りを露わにした
つくしとの出会いを山中は運命だと感じ、一生を彼女を支える為に使おうと決意していた。
(つくし22歳 春)