絆18(2次小説:類つく)
**回想**
〜司 25歳(あれから5年後)〜
社長が【大事な会議があるから貴方は執務室で
聞いていて後で意見を聞かせて】そう言うから
送られて来た画像を見ていたら…相手はあきら?
途中で部屋を出て社長室に行こうとしたが西田に
阻止され呆然とした気持ちで最後まで聞いた
あきら「司、久しぶりだな」
執務室に入って来たあきらは以前のように俺に声を
掛ける
司「相変わらずのお人よしだな…あきら。
類のためにわざわざNYまで来たのかよ」
あきら「お前も類も…俺の大事なダチだ。牧野もな」
司「まったく、あいつはいつも逃げ足が速い。
まさか俺たち両方に嘘をつくなんてな…バカな奴だ」
あきら「牧野は自分の事より周りの事を考える奴だ。
きっと何かあったんだと思うぜ…」
司「ふん。あいつは類には2つ嘘をついたが…俺には
1つだった。それが事実だ」
類についた嘘は【俺が好き】と【NYに行く】の2つ
俺についた嘘は【パリに行く】だけだ
あきら「お前、大人になったんだな。
お前がNYに行ってから牧野はずっと頑張っていたぜ
お袋さんに認められる為に英語もマナーも茶道も
類だけはいつも頑張り過ぎるあいつを心配してた
でもお前を裏切るつもりは無かったと思うぜ」
司「そこが甘いんだよ…だから牧野は消えたんだ
あいつは最後に自分の気持ちを俺に伝えた
なのに…何で類は何も言って来ないんだ?
俺はずっとそんな類を憎んでいた。
あいつの無表情な顔を雑誌で見るたび腑が煮えくり
かえってたぜ!」
あきら「類もお前の冷たい顔を見ておかしいと
思ったらしいぜ。」
司「この前、大河原が【つくしは本当に類君と
一緒にいるのかな?】って言ってた。」
突然、滋の名前が出てあきらは驚いたが黙って
聞いていた。
司「類が幸せそうには見えないってな…確かに
俺もそう思ったけどな、類の親父も2人のこと
反対してるんだろう、ザマあみろって思った」
あきら「類の両親はずっとパリだったから牧野と
面識はなかったはずだけどな。」
司「だけどよ、ババァが何もして無いなら牧野は
何であのタイミングで消えたんだ?
前はババァがあいつの友人に手を出して漁村に
消えたんだよな?」
あきら「そうだな…類の親父さんなら何か知ってる
かも知れないな。
お前、もう牧野に未練は無いんだよな?」
司「ずっとあいつが俺の運命の女だって思ってた。
でもあいつにとってはそうじゃなかったって
やっと理解出来た気がするぜ。」
あきら「お前の本当の運命の女はもう現れたのかも
知れないしな。」
司「は?どこにだよ!」
あきらはあえて名前は出さなかった
あきら「お前をちゃんと理解してくれる女って事だ。
牧野はきっとお前が幸せになる事を望んでると思う
嫌われて忘れられたいってあんな嘘ついたんだしな」
司「あんなバカ女、忘れる筈ないだろ…
今度、4人で飲もうぜ。類にも言ってくれ」
5年かかってやっとあの時の真相に辿り着いた
でもまだまだわからない事だらけだ
類にも報告しないとな…
あきらは類に今日わかった事を報告した
類「わかった…あきら、ありがとう。
俺もちょっと思い出した事があるから調べてみる
わかったら司にも連絡するよ。」
少しだけ時間が動き出した気がした