パズル57(2次小説:類つく)
##白井親子が自分の罪と向き合う話しです。楽しいお話でも救われる未来でもありませんので、読みたくない場合はスルーして下さいね。読まなくても支障は無いです。##
類達がロンドンに来て10日ほどが過ぎ
優紀「私達の結婚式には絶対に出席してね。待っているから」
つくし「うん。遠い所まで会いに来てくれてありがとう」
そう約束して総二郎と優紀は日本に戻って行った。
類はメープルのオフィスで起業に向けての準備で忙しい。つくしは日中は桜子と一緒にいる事が多く類は毎晩ベッドで『早く島に戻りたい』と嘆いていたが…
類「近いうちにあきらとウォルトンの所有している島を視察するんだ」
つくし「滋さんの旦那様の会社よね?」
類「あぁ 彼はいくつもの島を所有しているらしくてさ、ケビンも参考に見たいと言ってる。あきらの会社も取り引きがあるらしい。本当はつくしも連れて行きたいけど、そうするとみんなが着いてくるだろう?長居させられそうだから
残念だけどここで待っててくれる?」
つくし「クスッ 私なら大丈夫よ、桜子もいるしここで待っているわ」
類「あきら達もいつまでロンドンにいるんだろう。最近は俺よりあきらの嫁の方がつくしといる時間が長いよね。はぁ〜島に戻りたい」
渋々といった様子で類はあきら、ケビンとウォルトン所有のジェットに乗って
出かけて行った。本当の行き先は白井親子のいる島だ…
類「ケビンまで付き合わせて悪いね。あきらもありがとう」
あきら「いや、俺たちだってあの親子は許せない。」
ケビン「そうだよ、でも冷静にね。つくしの悲しむ顔は見たくない」
類「わかってる。俺なりのケジメをつけないと前に進めないからね。
つくしを悲しませるような事は絶対にしないから、約束するよ」
ウォルトン氏が滋に頼まれて用意してくれた島には2時間ほどで着いた。
島のほとんどがジャングルだが整備された場所には立派な施設が建っていた
類「ずいぶん立派だね…上から見た時はジャングルだったけど、この為に建てて
くれたの?」
あきら「ウォルトンは滋に甘いんだよ。それにこれが終わればここはリゾート地
として生まれ変わるらしい。無駄にはならないぜ。」
ケビン「ウォルトン氏は裏の世界にも精通しているよ。きっとこの島での出来事は誰にもわからない」
用意された車で施設に入ると
楓「待っていたわ。まずは2人の今の様子をモニターで見てもらうわ」
****
〜白井〜
俺はまだ生きている…いや生かされてる
ここがどこだかはわからないが私の腕にはいくつもの管が刺さっていて点滴薬が
投与されている。おそらくギリギリの状態で命を繋いでいるのだろう
ある日、この部屋の大きなスクリーンに映像が流れ始めた。霞む目でもそこに
映っているのが私の可愛い琴音だとわかった。
『琴音…お前は元気そうだ。良かった、助け出されたんだね』
神に感謝し、食い入るように画面を見つめると見覚えのある部屋だとわかった
『あれは…牧野つくしを監禁した別荘に似ている。琴音はあの場所に身を隠しているのか?あの子1人で生活出来ているのだろうか?』
映像がだんだん部屋全体を映し出すと目を背けたくなるような汚さで
ゴミが散乱している。そして音声も流れ出した…
その声は紛れもなく琴音の声だったから最初は嬉しくて声を大きくして
欲しいと誰もいない部屋で叫んだ
しかし…直ぐに後悔した
琴音「ちょっと〜誰か近くにいるんでしょう?私を誰だと思ってるの〜
早く助けに来なさいよ!私はね、お嬢様なのよ!あんな女と同じに扱わないで
欲しいわ。食事なんて作れないの!野菜や生肉、魚なんて運ばれたって腐るだけよ。電気だってすぐに使えなくなるのはなんでなの?」
琴音「ねぇ〜お腹が空いて死にそうなの。レトルトの物でも我慢するわ、缶詰でも良いから直ぐに運んでよ!それとこの腐った材料を早く片付けて!部屋中に
匂いが充満して気分が悪いわ」
琴音「ねぇ またお湯が出なくなったわよ〜着替える服も無くなったわ!私に 洗濯しろって言うの?冗談じゃないわ!パパを呼んで!」
私は何を聞かされているのだろう
映像が流れ始めてからたぶん3日は過ぎているだろうが汚い部屋の中でずっと
怒鳴っていた。琴音の口から「パパ」の言葉が発せられた時は嬉しかったが…
琴音「もう嫌!全部パパのせいよ。
なんで警察に追われるようなドジをしたのかしら?そのせいで私は金城から捨てられたのよ。雇っていたメイドが食事に薬を入れていてもう少しで私は中毒患者だったそうよ、そんな体にして彼は私を海外に売ったのよ?嘘だと思ったけど
入院していた場所で映像が流れたわ。金城も警察に追われているみたい。
私は運が良かったと思ったのに何よ!こんな所に閉じ込めて…誰かきいているんでしょう?パパを呼んで!悪いのはパパなんだから!
黒幕は牧野つくしなんでしょう?類様が死んだ恨みで私にこんな事をしてるのよ…きっと道明寺司に泣きついたのよ…絶対にそうだわ
罰ならパパに与えて!私だって被害者よ」
白井「誰か…この映像を止めてくれないか…あれが私の可愛い琴音だとは信じたくない。お願いだ…早くこの管も全部抜いて私を楽にしてくれないか…」
*****
類「白井はかなり弱っているようですね。会えますか?」
楓「えぇ、彼にはこの後会ってもらうわ」
あきら「琴音は全然、反省した様子も無いですね。あの部屋…酷い
きっとすごい匂いですよ…この島に運ばれてからはそんなに経ってないのに
信じられない」
地下に行くエレベーターに乗り近代的な監視システムや医療スタッフの
待機場所を過ぎると金属の重い扉があった。スタッフがそこの鍵を開け
類が入って行った。白井を見て興奮しないようにSPだけは側にいた
たくさんの管に繋がれた白井は人が入って来る気配を感じドアの方に顔を向け
類の顔を見て震え出した
白井「る…い…君なのか?これは…幻想を見ているのか?」
類「死の世界から俺が迎えに来たと思った?残念だね、あんたは地獄にしか
行けないよ。それに…俺は生きている」
信じられないと言う顔でじっと類を見ていたが…
白井「る…い君 すまなかった…」
類「あんたの口からそんな言葉を聞くとは思わなかったよ。許してもらおう
なんて何、甘い事言ってるのさ。俺は…あんたを絶対に許さない。
今ここであんたを殴り殺したいよ」
ドアのすぐ近くでモニターを見ながらあきらとケビンはいつでも中に入れるように待機していた
ケビン「ルーニーがあんな風に激しい感情を現すのを初めて見た」
あきら「あぁ あいつ拳を握りしめて震えている。入って行った方が良いかな?」
その時、部屋の大きなスクリーンにつくしと桜子が映し出された。
あきらとケビンもBgに促されそっと部屋に入りスクールを見つめた