パズル22(2次小説:類つく)
このお話は花より男子の2次小説(類つく)です。作者様・出版社様とは関わりがありません。妄想の世界へようこそ…
現在(つくし27歳 翼4歳)
翼がお昼寝中の午後1時過ぎ…つくしは翼の部屋のソファーでいつもの時間を過ごしていた。
トントン そ〜っとドアが開き桜子が入って来た。
桜子「先輩、またその本を読んでいるのですか?」
あきらと結婚した桜子は、つくしの為に毎日ここに通っていたので今でもつくしの部屋と翼の部屋には案内されずに入って来れた。
つくし「あ…桜子、元気そうだね。お腹も大きくなって来たね〜11月だよね。」
桜子「はい。先輩は翼君のお誕生日の準備でお忙しいのか全然遊びに来て下さらないので、お腹を抱えてやって参りましたわ。」
つくし「ごめん、ごめん。今、お茶入れるね」
桜子「下で頼んで参りましたわ。これ…先月あきらさんがロンドンに出張した際買って来てくれましたの、先輩にお土産ですって」
あきらはイギリスに行くといつも美味しい紅茶の茶葉をお土産だと持って来てくれるけど、今日は紅茶じゃぁないようで…
つくし「開けてみていい?」
桜子「もちろんですわ。この他は重いのでメイドさんにここまで運んでもらうようにうちの運転手が頼んでいると思いますわ。」
つくしが包みを開けようとした時、ノックが聞こえてワゴンに紅茶とスコーンとダンボールを持ってメイド達が入って来た。
つくし「これ…ルーニー・ブラウンの原書だ!新作だよね?読んだ事の無い題名だもの。その中もルーニーの本なの?」
大好きな作家の本を前に珍しく興奮気味のつくしに桜子は笑いながら
桜子「はい。先輩が擦り切れるくらい毎日読んでいるので、あきらさんに原書をお願いしましたの。今の先輩なら原書も楽に読めますでしょう?」
つくし「ありがとう〜日本では原書は手に入らないから嬉しい!新作なんて日本での発売は再来年になるって言われてたのよぉ〜 この本を読んでいるとね…なんだかすごく落ち着くの。もう何度も読み返してるのは確かだけど〜擦り切れてはいないわよ!ふふふ」
嬉しそうにつくしがペラペラと本を捲る姿に桜子も嬉しい
桜子「イギリスで出版されて、あっと言う間にベストセラーになったそうですわね。今では世界中に翻訳されているとか…日本でも人気ありますよね。内容は、ファンタジーと伺いましたが…」
つくし「うん。なんかね…優しく包み込まれる感じがするんだよね。いつか絵本にならないかなぁ〜って思うの。あれ…原書のイラストはルーニー本人が書いた物らしいよ」
どれどれ…と興味を持って桜子もつくしの見せるページに目をやり…あれ?と思いつくしを見ると…少し震えているような…
桜子「ルーニー・ブラウンって、全然表に出て来ないしイギリスでも謎の作家と呼ばれているらしいですわ…どんな方が書いているんでしょうね?先輩どうかされました?」
つくし「あ…なんか…この絵、懐かしい気持ちになって…」
桜子も感じた事をつくしに話してみる
桜子「この絵の女の子…なんだか先輩に似てるって感じるんですけれど…やせっぽちで髪も長く黒髪ですよね?この子が主人公なんですか?」
つくし「この子と主人公が冒険の旅に出るんだよね…可愛くて強い妖精なんだよ〜私になんて似てないよ。読むのが楽しみ!ありがとうね〜美作さんにもお礼言っといてね。」
大事そうに本を閉じて、その話はそこで終わった。
桜子「私も早々ここには遊びに来れなくなりますわ。先輩から遊びにいらして下さいね。美作の母も妹達も先輩にとても会いたがっていますのよ。妹達は今でもつくしお姉さまがお兄様のお相手だったら…なんて考える事もあるみたいです」
つくし「桜子!そんな事…」
桜子「うふふ冗談ですわ!それくらい先輩がみんな大好きって事です。私はとても大事にしていただいています。幸せですわ…でも、先輩が側にいて下さればもっと安心出来ます。美作に越して来る事を真剣に考えて下さいませんか?」
桜子は妊娠が発覚してから、お腹の子の教育係としてつくしに美作に来て欲しいと何度も誘っている。
つくし「桜子…その話は…」
桜子「私達は本気ですわ。このままここに居たら翼君と離れられなくなりますよ。先輩がそのおつもりなら諦めますわ…でも先輩はまだ花沢さんを想っていらっしゃる…生きているって信じているんですよね?」
つくし「うん。類の遺体は発見されていないもの、きっとどこかで生きてる。 もし…亡くなっているなら、きっと魂だけでも帰って来てくれるよ。側にいたら私にはわかると思う。」
桜子「さすがソウルフルメイトと言われた仲ですわ…それなら!私の話を真剣に考えて下さい。このお腹の子の教育係になって私の側にいて下さい。」
桜子の言いたい事は良くわかる。私がいつまでもここに居たら道明寺だって再婚しにくいし…私も翼が可愛くて離れるのが辛くなるよね。
つくし「ありがとう桜子。そうだね…ちゃんと考えてみる」
桜子は翼のお昼寝が終わる前に帰った。
桜子はつくしの事を本当の姉のように慕っていて、自分があきらと幸せな生活を送っている様につくしにも幸せになって欲しいと心から思っていた…
『それにしても…先輩の言葉、あの本の挿絵…なんだか気になるわ
ルーニー・ブラウンの本を落ち着くからと言って毎日読んでいる先輩 あの挿絵を懐かしいと言って手がかすかに震えていた。なんでかしら… 』
つくしもその日から翼が眠った後、深夜遅くまでルーニーの原作を読み耽っていた。最初の本が発表されてから約4年で彼は何冊もの作品を書いている。日本語で読んだ時には感じなかった微妙な表現が何故か気になるつくし。今夜もまた本を手に取っていた…
何かが動き出すのかも知れない…