パズル19(2次小説:類つく)
このお話は花より男子の2次小説(類つく)です。作者様・出版社様とは関わりがありません。妄想の世界へようこそ…
**現在**
〜司〜
楓「いったいどこまでつくしさんを呼びに行ったの?お邪魔なのかもしれないけれど沖縄最後の夜よ、今夜はゆっくり飲みましょう」
こんなに寛いだ感じのお袋は珍しいな。牧野は「すみません」なんて顔を赤くして慌ててるから笑ってしまった
楓「久しぶりにのんびり過ごせたわ。翼といると疲れも飛ぶわね…私もそろそろ引退して社長は司に任せようと考えているの。今のあなたなら反対する役員もいないでしょうしね。4月からはNYで準備を始めるわ」
司「引退?それは早すぎるだろ〜でも仕事は少しセーブしても良いと思うぜ。今まで迷惑かけた分、俺もしっかり働くつもりだ。」
黙って聞いていた牧野が
つくし「あの…道明寺がNY勤務になるなら、翼も一緒に向こうのお屋敷で暮らす事になりますよね?」
司「いや…しばらくは俺もお袋も忙しいだろう。慣れないNYで暮らすよりもこっちで幼稚舎を経験させてやりてぇ。初めての団体生活は日本の方が安心だしな。 1年はこのままで、長い休みにはNYで生活するスタイルが良いと思う。」
つくし「わかった。あと1年…精一杯努めさせてもらうね。」
司「は?何寝ぼけた事言ってんだよ!お前も一緒に行くんだよ!」
つくし「寝ぼけてるのはそっち!私は死んだ事になってるんでしょ? パスポートが取れなければ海外に行く事は出来ないの。無理だよ…」
楓「その事なんだけれど…確かにあなたは警察に行方不明届けが出されています。 でも死亡認定されたわけじゃぁないのよ。もう誰もあなたの命を狙おう なんて思っていないでしょう。近いうちにあなたのご両親にも連絡を入れようと考えているのよ」
つくし「・・・・」
司「何も心配しなくていい。お前の事は何があっても俺達が守るから それにな…あの女は生きているんだぜ、もう他の男と結婚している。あの親だっていまさらお前に何かしようなんて考えてないはずだ。娘が幸せならそれで満足なんだ」
つくし「え?琴音さんの病気、完治したの?生きてるのね」
あんな酷い目にあったのに生きていると聞いてなんで笑顔になるんだ?
司「お前、ずっとあの女の病気の事を信じてたんだな…全部ウソだったんだ。 類はたぶん気づいていた。それでもお前を探し出す為にあいつらの経略に乗ったと思う。俺達も用心してお前をずっと隠していたけど…もうその必要も無くなった。あの女は何も無かったのように他の男と結婚して楽しくやってるみたいだ」
楓「つくしさん、あなたのご両親はさぞかし心配だったでしょうけど、真実を話すことは出来なくて…本当に申し訳ない事をしたと思っているわ。でもあの男は娘のためなら何でもする男よ。あなたのご両親に探偵も付けていたから近づけなかったわ。今は花沢の後ろ盾もなくなって何の力も無いし、娘が結婚して幸せそうだから、あなたの事にも関心が無くなったわ」
つくし「そう…ウソだったんですね。類も気づいていたのなら…琴音さんの病気を苦に…って話も真実では無いですよね?良かった…やっぱりあれは事故だったんだわ。きっと…類はどこかで生きている…そう信じます。」
つくしの目から溢れ出した涙はいつまでも止まらない。
そんな姿を見た司と楓は、今もなおつくしがこんなにも類を思っている事に胸が苦しくなった。
楓「つくしさん、東京に戻ったらあなたのご両親に会いに来てもらいましょう。」
つくし「ありがとうございます。両親は今も同じ場所で働いているのでしょうか?」
楓「えぇ。まじめに勤めてくれていると報告を受けていますよ。弟さんも大学を卒業して社員としてあの会社に勤めているの。みんな元気よ」
つくしの涙は止まらない…
つくし「良かった…みんな楓社長と道明寺のおかげなんですね。ありがとうございます。本当に…ありがとうございます」
司「いや…俺は何も…お前こそ今までよく我慢したぜ!本当は会いたかっただろう?心配だったろう?」
つくし「私はあの時死んだ事になってるから…何もしてあげられなかったし、 でも…両親に危害が及ばないかは心配だった」
楓「あの男の事だからあなたが生きていると知ったら何か動きはあるかもしれないけれど…心配する事は何もないわよ。慌てるのはあの男の方!あなたへの犯罪行為は全て立証出来るだけの証拠も揃っているのよ。」
つくし「私…西田さんと山中さんに救出されてそのまま逃げ出して来たし、いろいろあってあの後どうなったのか詳しく聞いていませんでした。 今更ですが…道明寺HDに迷惑がかかるような事はありませんか?」
楓「ふふふそんな心配は要らないわ。あの時は…類君の結婚のニュースが流れて白井はあなたが邪魔になるだろうと考えたの。救出に備えて山中の両親には、あなたが体も心も衰弱しているって偽情報を伝えてもらっていたから、とうとう耐えられず逃げ出して崖から落ちたと白井には報告してもらったわ。それを信じて捜索もしなかったくせに…類君があんな事になって白井はあなたを逆恨みしたようね。ご両親には探偵が張り付いていてあなたの動向を探っていたようだけど、実際何もご存じなかったんだから無駄な事よ。娘はすぐに類君を忘れて自由に遊んでいたようだし…昨年には結婚もしたそうよ。娘が結婚した途端、ご両親に付けた探偵も姿を消したわ。もう興味が無くなったんでしょうね。」
つくし「そうだったんですね…死んだと思っているとは聞いていたのですが、パパやママにまで探偵を付けていたなんて…怖い人だわ。楓さんや道明寺がずっと守ってくれていたんですね。ありがとうございます」
楓「白井だって自分のした事が犯罪だってわかっているもの手出しはして来ないとは思っていたの。きっとあなたが現れたりしないか不安だったんでしょう。 あなたのご両親は何も気づいていないはずよ。」
つくし「それは…皆さんに守られていたからです。私と同じように…」
つくしの瞳からまた涙がこぼれた…
楓「もう何も心配しないでご両親と会ってちょうだい。私が日本にいる間に来ていただきましょうね。」
つくし「はい…ありがとうございます」
司「さぁ飲もうぜ!もう一度乾杯だ」
沖縄最後の夜は更けていった
(司28歳、つくし27歳)