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パズル18(2次小説:類つく)

このお話は花より男子の2次小説(類つく)です。作者様・出版社様とは関わりがありません。妄想の世界へようこそ…

〜司〜

海から上がり波打ち際で砂遊びをする翼とつくしを見ている。波が時々座っているつくしの足を濡らす…
「もう少し離れないとこのお城、波に壊されちゃうかなぁ〜」

つくし「でもサラサラの砂だと上手に作れないよ」

楽しそうに遊んでいるのに俺は何故か不安になる

**回想(司24歳)**

本社で重要な会議があり社長と俺は帰国した。先に日本に来ていた西田と車に乗り込んで直ぐに西田に電話が掛かって来て

西田「社長、大変です。牧野さんが新聞を読んでしまったようで…姿が見えなくなりました。」

「すぐに別荘に向かわせて!西田、会議は中止するよう手配して」     俺は社長の言葉が理解出来なかった…

「中止って何だよ! 重要な会議だからって俺までわざわざ帰国させたんだろ!降ろせ!俺は会社に行く」

「ダメよ!一刻を争うの!西田急がせて」

それっきり黙ったままだった。俺はどこの別荘に向かうのかと外を見ていた
2時間ほど猛スピードで車を走らせ着いたのは伊豆だった。


山中「申し訳ありません。駅の付近まで何人かで探しましたが見当たりません。土地勘は無いはずですが山には入らないと思います。海に向かう道を探してみます。」
西田「警察には届けられませんのでSPも動員させております。        私も行って来ます」
「司!あなたも探してちょうだい!」


SPや西田が探しているのになぜ俺が行かないとダメなんだよ!そう言い返したかったが、お袋のこんなに動揺する姿を俺は見た事がなかったからしぶしぶ車を降りた。西田と海に向かう道を走って探した…前にいたSPが
SP「この先の浜辺に向かって一人でフラフラと歩いている女性を見たそうです。なんだか様子が変だったと言っていました。」
西田「坊ちゃん、急ぎましょう!」

「牧野さま〜」「牧野さま〜」SP達の声を聞いているうちに俺はいつしか全速力で浜辺に向かって走っていた…遠くまで続く海岸線には誰一人いない…もしかしてと、海の方を見たら…「牧野!」無意識に叫ぶと俺は冷たい海の中に入った
「牧野!何やってるんだ〜 」 今にも海の中に沈みそうだった彼女の体を抱き寄せ必死に泳ぎやっとの思いで浜辺に倒れ込んだ

山中「牧野様…おい救急車だ」 

かなり水を飲んだようでグッタリと意識のない女にSPが水を吐かせようとしているのを無理やり退かし…自分でやっていた
西田やSP達が驚いていたが頭が割れそうに痛くて何も考えられない…ただ体は動いた。『ゲボッ』大量の水が吐き出されたのを見て俺も倒れた
気づいたのは病院のベッドの上だった
「牧野!牧野はどうした?」
ガバッと飛び起きた最初の一言だった

「記憶が戻ったようね…牧野さんは大丈夫。直ぐに対処したのが良かったわ まだ眠っているけれどじきに退院出来るはずよ。司、彼女を助けてくれてありがとう。」

俺はまだ混乱していた…『あなたも検査の必要があるから、今日はゆっくり休むといいわ』お袋が病室を出て一人になると、まるで昨日の事のようにあいつとの記憶が溢れて来た…俺は何って事をしたんだ。

その時の俺は過去の記憶が蘇るが今の記憶はそのまま残っていて…絶望した。 俺は好きでもない女と結婚していて子供も産まれる。相手なんて誰でも良かった、社長が薦める会社にとって有益な女の中から俺に1番興味の 無さそうな女を選んだ。そして道明寺の血を継ぐ子供が出来ればそれで周りは満足だろう?それくらいの考えだったから

次の日、俺は検査の結果何も問題なく退院する事が出来たが、牧野はまだ眠ったままだった。屋敷に戻った俺のところにあきらと総二郎がやって来て泣かれた

あきら「おかえり 司」
総二郎「お前の牧野探知機は健在だったな…良かった本当によかったぜ」
あきら「あぁ…ずっと探してた牧野がまさかお前のとこにいたとは驚いたけど 生きてて本当に良かった。類の所にいっちまおうなんてあいつらしくないからな」

類の結婚のニュースはNYでも報道された。結局、あいつも親の言いなりになったと、すぐにわかるような酷い顔だった…牧野のとの事は病院から帰宅する車の中でお袋から聞いたが、信じられないような話だった。

「なぁ…なんで類はあんな女と結婚したんだ?ニュースで見た類の顔は酷いもんだった、あんな女の為に死んだりするもんか!」


あきら「類はずっと牧野を探していたんだ…あのニュースは俺達もあり得ないと思ってる。俺達もお前のお袋さんに尋ねたい事が沢山あるんだ」

その夜、俺達3人がお袋から聞かされた話しは信じらないような物だった

あきら「そんな前から牧野の事を見守っていたんですね。 あいつの親の就職に美作や花沢が関係してるんでは?って牧野は疑ったけどまさか楓社長だったとは…今回も俺達がいくら探しても何も出て来なかったのも納得できました。」

「類君が必死に探していたのは知っていたけれど…彼の父親が関与していたから教える事は出来なかったわ。彼女の命の危険があったから下手に動くよりも 見守る方が得策だと思ったの。まさかこんな事になるとは思わなかったから…」

あのお袋が牧野を守ってくれていた事に本当に驚き、俺も決意した。直ぐにNYの妻に離婚を申し出た。どんなに慰謝料を払っても構わないし、子供も認知すると伝えたが彼女の答えはNOだった。

「あなたと離婚したら…私はまた父の道具にされて他の男に嫁がされるわ。あなたが私を愛していなくても構わないの離婚はしません。」

この女を選んだのは俺に執着が無いと感じたからだったから離婚に応じないとは思いもしなく頭を抱えた…そんな彼女を説得したのもお袋だった
彼女には結婚前から付き合っている男がいて、今もその関係は続いていた。親に逆らえず道明寺に嫁いだが、俺が彼女に興味を示さなく自由に出来た事で実家に戻るよりもこのままでいたいと思っていたらしい。腹の中の子供は俺の子供に間違いは無いとお袋に伝えたらしい。お袋は彼女の不貞を不問にするばかりか彼女の親の弱みを握り、彼氏との再婚を認めさせた。記憶が戻って3ヶ月も経たずに 離婚が成立した。

弁護士が生まれたばかりの赤ん坊を連れて道明寺邸に訪れたのは、その年が終わる頃だった。

「司の生まれた時によく似ているわ…」
俺に似たクセ毛を見つめながら、こいつも俺の様な人生を送るんだろうか…そんな事を考えたが、翼の存在が牧野の人生を変えるとは思いもよらなかったぜ

***現在***

翼は海ではしゃいで疲れたんだろう。夜8時には夢の中だった…牧野は1人   バルコニーで真っ暗な海を見ていたから不安になり側に駆け寄った

「ここにいたのか…翼もはしゃいで疲れたのか早く寝たようだな」

つくし「あ…道明寺。パパにたくさん遊んでもらえたからね〜ベッドに入って直ぐに寝息が聞こえたよ。」

「夜風は冷えるだろ?何見てたんだよ」

つくし「ふふ 昼間、翼が本物のイルカの背中に乗れたら海の向こうに行けるのかなぁ…って言ってたのを思い出してたの。類も…イルカに乗ってどこかで暮らしているのかね。」

「何も掴めないのも変だよな…」
あいつは寂しそうな顔をして無理して微笑む…類の話をするのも珍しい

つくし「ねぇ…ずっと聞きたい事があったの。いいかな?」
話を変えたいんだろう

「なんだよ?」

つくし「翼のママのこと。タマさんから少しだけ聞いたんだけど…私のせい?」

「お前には関係ねぇ…お前も知っての通り記憶を失くしてからの俺は最低だった。結婚なんて仕事の1つだって考えて相手なんて誰でも良かった。女なんて俺本人を見ていやしない道明寺の名前に群がる。あの女だけは見合いをしても冷めていた、俺に興味もなさそうだった、だから決めた。」

つくし「ずいぶん失礼な話だね。」

「あぁ…最低だろ?あの日、お前を思い出して…いろんな事を知った。まさか お袋がお前をずっと見守っていたとは思いもよらなかった。今までの自分が情けなくて…恥ずかしかったぜ。それで生き直そうと思ったんだ。」

つくし「それで離婚って…彼女は納得してくれたの?」

「彼女にも他に好きな男がいたんだ。結婚後もその男と会っていた。俺が無関心だった事が彼女にも都合が良く、離婚して実家に戻ればその男と別れさせられまた政略結婚させられると離婚を最初は拒んだ。お腹の子は俺の子だと確信もあったらしいからな。」

つくし「翼はあんたにソックリだよ」

「あぁ、わかってる。だから…彼女の親を説得してやった。会社の繋がりを絶たないってな」
弱みを握って脅した?事は話す必要はないよな。

つくし「翼は生まれて直ぐに道明寺邸に来たんだよね?彼女は今はどうしているか知っているの?」

「好きだった男と再婚して海外にで暮らしている。子供も産まれて幸せにしてる、翼を産んでくれた事は感謝してるからな…出来るだけの事はした。」

つくし「そう…いろいろ聞いちゃってごめんね。」

「聞かれて困るような事は何もないから大丈夫だ。それより…風邪引くといけない、部屋に入るぞ!お袋に呼ばれているんだ。」

つくし「え〜 あんたここに来てから結構時間過ぎたよ!早く行かないと」
少しは俺のことを気にかけてくれてるんだろうか?パタパタと走っていく後ろ姿を追いかけながら期待しちまう自分を笑ってしまった。

(司28歳、つくし27歳) 


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おちゃめママ
花より男子の類ファン、原作の切ない類を幸せにしたくて類スキ向けにお話を書き始めました。老化防止の為に妄想を巡らせるおばちゃんです。拙い文章ですが応援していただけると励みになります。よろしくお願いします