パズル3(2次小説:類つく)
※このお話は花より男子の2次小説(類つく)です。作者様・出版社様とは関わりがありません。妄想の世界へようこそ…
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〜現在〜
深夜1時 そっと扉を開けて司が翼の部屋に入ると、ベッドの端で絵本を手に うたた寝しているつくしがいた
司「おい、こんな所で寝ていると風邪ひくって、いつも言ってるだろう」
寝ているつくしの肩をそっと揺すり、翼が起きないように小声で起こす
つくし「あ…いけない おかえり道明寺、今日も遅かったね。翼があんたに会いたがってるよ。体の事も考えてもう少し帰って来れない?」
司「俺だってこいつの起きている時間に帰ってきたいけどよ…オレ様がいないと会社が困るからな、それより牧野、お前の仕事は夜8時までだ。翼が眠る時間になったら さっさと自分の部屋に戻っていいんだぞ。休暇だってほとんど取っていないんだ。」
つくし「別に私は行きたい所も欲しいものも何もないから休暇は必要ないの。 それに翼はまだ4歳よ?こんな広い部屋にたった1人で寝かせられないわ」
つくしはぐっすりと眠る翼の髪を優しく撫でる
司「俺は…俺はいつだってひとりだった…」
司も同じように翼の髪を撫でる…その姿は優しい父親だった
つくし「でも…あなたには椿お姉さんがいたじゃない。あんたも早く再婚して翼に弟か妹を作ってあげた方がいいと思うよ。」
道明寺の額に青筋が立ったのと同時につくしは抱きしめられていた
司「翼に必要なのは弟や妹だけじゃねぇ」
つくし「離して…」
司の腕がいっそう強くつくしを抱きしめる
司「いやだね 牧野、もう忘れろ」
つくしはクスクス笑いながら…
つくし「あんたみたいにひとりだけ忘れる事が出来たら…楽になるかもね」
司は思わずつくしから離れた
司「お前、ずるぞ!いい加減その話は忘れてくれよ。それに俺は思い出したぞ」
つくしがクスクスと笑い出したから部屋の雰囲気も戻った
司「もう4年だ…俺達もずっと捜している。でも何も出て来ない…」
つくし「ごめんね、道明寺。あんたには感謝してる 私が今こうして生きていられるのも楓社長とあんたのおかげだもんね。」
つくしの瞳が揺れていた。司はそれに気づかないふりをする
司「いや…お前を引き戻したのは翼だ。その翼だってお前がいなけりゃ泣き出して、手もつけられねぇ。なぁ牧野…無理して忘れろとはもう言わねぇ 俺はいつまでも待つから…ここから出て行くのだけは止めてくれ…頼む。」
つくし「翼が…翼が私を必要としてくれるうちは何処にも行かないよ。」
安心したような顔で司が微笑んだ
司「それなら…お前は一生ここから離れられないぜ。遅くまで悪かったな もう自分の部屋に戻っていいぞ」
つくし「うん おやすみ」
バタン 翼の部屋の重厚な扉を閉めると我慢していた涙が溢れ出した
ごめんね道明寺 あんなに好きだった人だけど…今、私の中にいるのはたった ひとりだけだから…あんたの気持ちには応えられない