絆8(2次小説:類つく)
**回想**
〜類 20歳〜
眠ってしまった自覚はあった…隣を見ても彼女はいない
まだバスルーム?時計を見たらあれから1時間以上過ぎていて焦った
トントン『牧野』バスルームのドアを叩いたけど返事が無い…
無理させちゃって具合でも悪くなったのかとドアノブを捻ったら
鍵は掛かってなく、中にも彼女はいなかった…
落ち着いて部屋を見回すとクリーニング済みの俺の服だけが
ソファーにありその上に封筒があった
【類へ
類、今までありがとう。
私は今からNYに行きます。ずっと道明寺に言われていて迷っていたけど
あいつの元に行く事に決めました。
でも…類に言った言葉も嘘じゃぁありません
ずっとそばにいて支えてくれていた類をいつの間にか好きになっていました
このまま自分の気持ちに気づかないふりをして一緒に居たかった
でも気づいちゃった…だから離れる事に決めました
道明寺は私のために1人でNYで頑張っています
彼の熱さに時々戸惑ってしまうけれど彼の気持ちには応えないとね
最後に一度だけ…類との思い出が欲しかった。
道明寺のそばで生きる勇気が欲しかったの…
これを読んできっとあなたは『勝手だよ!』と憤るでしょうね
それで当然です。私はあなたに許されない事をしたのですから…
本当にごめんなさい。そしてありがとう
今日の事は私の胸の中にだけ留めておきますね
類はどうぞ私の事なんか忘れて幸せになってね。】
信じられなかった…
司の元に行く為の勇気?何それ…
俺はあんたが笑顔ならそれが司の隣でも良いと思っていたよ
だから…自分の気持ちを抑えてあんたを見送ろうって思っていたんだ
酷いよ…牧野
あの時…俺たちは身も心も1つになれたと思った
司に殴られても花沢を捨てる事になっても構わないって思っていたよ
幸せだった…
でも、あんたはそうじゃなかったんだね。
俺に抱かれた事を胸に秘めて…司の隣で笑えるんだね
その後…どうやって屋敷に戻ったか覚えてなかった
その晩に俺はパリにいる父親にパリ大学に編入すると電話をかけた
もう今までの全てを忘れるつもりであきらにも総二郎にも何も告げずに
次の日にパリに立った。
**現在**
〜司 31歳〜
NY 道明寺HD 本社 副社長室
俺は12年間、日本に戻っていない。社の本社も10年前にNYに移し
誰にも負けない経営者になる為に走り続けて来た。
今では鉄の女よりも俺は恐れられているみたいだ
**回想**
〜司20歳〜
ヘトヘトに疲れてNYの屋敷に戻り部屋に入るとデスクの上に
あいつからの荷物が届いていた。
珍しいなぁと思いながらも何かプレゼントでも送って来たのかと
ニヤニヤしながら箱を開けると最初に長細い箱が目についた
これは…見覚えのある箱の中にはあいつに送った土星のネックレスがあった
その下には2人の電話番号しかない携帯電話…そして封筒
嫌な予感がしながら封を開けた
【道明寺へ…
ごめんなさい。あなたとの約束を守れなくなりました…
私は道明寺の事を本当に好きだったよ。でも…離れているうちにだんだん
あなたのそばにいる自信が無くなりました。
私は花沢類を好きになってしまったの
あなたがこの手紙を読んでくれる頃、私は日本を離れています
あなたが怒りに任せて花沢物産を潰してしまっては困るので
この手紙を書きました。類は何も知らないよ
彼もまた日本を離れると聞いて私は動揺しちゃったの
寂しいと感じて自分の気持ちに気づきました
私は類の事を追いかけます…
こんな身勝手なバカな私の事は忘れてください
あなたには幸せになって欲しいって心から思っています
今までありがとう。ごめんね
つくし】
読み終えて部屋中の調度品を投げて壊した
類を許せなねぇって暴れた…
慌てたボディーガードが部屋に入って来て俺を拘束したけど
怒鳴りまくってあいつらにも怪我を負わせたみたいだ
チクッと注射を打たれて意識をなくした
〜楓〜
司が暴れていると連絡が来て私は一度屋敷に戻った。
部屋はそのままで司は別の部屋で安定剤を打って眠っているらしい
部屋に入ろうとしたら調度品がメチャクチャに割られ危険だと言われたけれど
ドアのそばに投げつけられた箱が気になりSPに取ってもらうと
SP「そばにこれも落ちていました」
くちゃくちゃに丸められた手紙?躊躇なく私はそれを読んだわ
楓「バカな娘ね…でもこれで良かったんだわ」
私はDrにしばらく司の意識が戻らないようにして欲しいと頼み社に戻った
楓「西田、今後花沢物産とは取引はしません。あそこの情報が司の耳に入らないよう厳重にロックをかけてちょうだい。それと…あの娘の情報も絶対に耳に
入れないように。もう身辺を調査する必要もありません」
西田「牧野さんと坊ちゃんに何かあったのですか?」
楓「彼女は類君を選んだそうよ。あの社長も許すのかしらね?
まぁ関係ないけど…いいわね、司が何をどこで調べようとしても本当の
情報は流してはダメ!私に報告してちょうだい」
西田が珍しく驚いた顔を一瞬したけどすぐにいつもの顔に戻り
「畏まりました」と下がって行った。