絆7(2次小説:類つく)
7
**回想**
〜つくし19歳〜
シャワーを浴びている時に部屋のチャイムが聞こえたから服はクリーニングに
出せたと思う。
バスローブを着て出て行くと類もバスローブ姿だった
類「最速でも3時間はかかるらしい。午後5時出来上がりだって…
それまでバスローブで大丈夫?邸から服を届けさせようか?」
つくし「私なら大丈夫だよ。私のミスでごめんね。類も早く温まって来てよ」
頷くと類はバスルームに入って行った…
私は部屋中のカーテンを閉めて電気も消した
遮光カーテンだから部屋の中は結構な暗さになってちょっと安心する
類「牧野…あれ?どうしたの…電気付けるよ」
つくし「ダメ!」
類「え?あ…ゴメン。
やっぱり恥ずかしいよね…俺やっぱり服を持って来させるよ」
つくし「違うの聞いて欲しい事があるの
あたし…類が好き。自分の気持ちに気づいたの…
道明寺にもちゃんと話すから…勇気が欲しい」
しばらく類は無言で…
つくし「あ…やっぱり迷惑だよね。ゴメン/// 」
類「違う…」
気づいたらギュッと抱きしめられていた
類「俺…夢みてるんじゃないかって思考が止まった。
こんな事夢じゃなきゃありえないって…」
つくし「夢じゃぁないよ…」
類の背中に腕を回した…
類「あったかい…牧野の鼓動が聞こえる。すごい速いね…
俺のも聞こえる?すごくドキドキしてるでしょ…嬉しくて心臓が止まるかも」
つくし「そんなの困る…」
クスッて聞こえた後で唇に柔らかい物が当たった…
私…類とキスしてるんだね
類「牧野…本当に良いの?俺…これ以上したらもう止まれないよ?」
私がコクリと頷いたら抱き上げてベッドに横たえてくれた
優しいキスを重ねながら類の指が私のバスローブの中に入る
道明寺とは一度こうなりそうな時はあったけど怖くて…怖くて
震えが止まらなかったのを覚えている。
でも今は怖さは感じない…類が耳元で好きだよって
ずっと囁いてくれるから『私も…』って素直に答える
類はとっても優しくて初めてなのに恥ずかしい声が出てしまう
思わず手で押さえたら…「ダメ…嬉しいから聞かせて」キスされる
類「牧野…ゴメン痛いと思うけど…」
私に謝ってからキスされると引き裂かれるような痛みに襲われる
でもこれが1つになるって事なんだよね…痛みよりも嬉しさで涙が出た
類が「牧野…」からつくしって呼んで私も痛みとは違う感覚に気づいた時
私の中が類でいっぱいになった
類「あ…ゴメン。こんな事になると思わなくて用意も無くて…
でも俺は何があっても受け入れるから安心して」
つくし「大丈夫…ありがとう」
類「俺から司にもちゃんと話すから牧野は何も心配しなくて良いからね」
つくし「道明寺には私が話すから…それがケジメだし」
類「わかった。一緒にNYに行こう」
そのまま類にまた愛されて私はすごく幸せな気持ちだった
つくし「なんか眠くなっちゃったね」
類「うん…まだ時間はたっぷりあるよ」
話していたら部屋のベルが鳴ったからドア越しにクリーニングを受け取った
つくし「クスクス///もうそんな時間が経ってたんだね」
類「夢中で全然気づかなかった。でもまだ夕方だから少し眠ろうか」
つくし「うん、眠る前にちょっとシャワー浴びてもいい?」
類「あ…ゴメン、ベタベタだよね」
笑いながらバスローブを着て類にミネラルウォーターの蓋を開けを渡した
類「ありがとう。」
類が美味しそうに飲み干すのを見てシャワールームに入り
そっと部屋の様子を見ていると、類は欠伸をして眠ってしまったみたい。
シャワーの音で安心してるよね…
急いで服に着替えてベッドで類の寝息を確かめる…
この寝顔を一生忘れないから…ごめんね。
私は用意していた手紙をベッド横のデスクに置いてそっと部屋を出た。
類はきっと一生私を許さないと思う…
でもそれで良い。類の未来を私が邪魔することは絶対に出来ないから
ホテルを出てタクシーを拾い最寄り駅から電車に乗ってスーツケースをロッカーから出し羽田空港に急いだ。
私は今夜の便でハワイに行くことが決まっていたの。
誰にも何も告げずに消えるつもりだったけど…私は類との思い出が欲しかったの
自分勝手なのはわかっていた。でも愛された思い出があれば1人でも生きていけると19歳の未熟な私は思っていたんだよね。
現在
〜類 31歳〜
花沢物産 専務取締役の俺の事をみんなは『氷点下のマシーン人間』などと
呼んでいるらしい。
大学3年の後期からパリ大学に留学し後継者になる為にひたすら勉強に励んだ
大学もトップの成績で卒業しフランスの支社で会社の業績も伸ばした。
趣味も無いから休みの日は寝ているか本を読んでいるかで…
好きだったバイオリンもほとんど弾かなくなった。
秘書の田村は俺が入社してからずっと片腕の男だが…
田村「専務、そろそろ恋人でも作ってはいかがですか?」
近頃、うるさく言ってくる。
類「そんなの必要ない。女なんて信じられない」
田村「その…専務がゲイだって噂もあるんですよ?」
類「そんなの無視すれば良いだろう。」
田村「私とも噂になってまして…」
プッ…思わず吹き出してしまった
類「ありえない…迷惑な話だ」
田村「私もです。妻にも心配されまして…女性秘書を入れても良いですか?」
類「却下。香水臭い女は真っ平だ」
田村はため息をつきながら執務室を出て行った。
もう恋なんて2度としない…