パズル62(2次小説:類つく)
〜亜里沙〜
あの日…いつものように窓からアトリエの庭を眺めていたら、つくしさんに
危険が迫っていたの。直ぐに看護師さんを呼んで助けて欲しいとお願いしたけれど先生達男性は事件で留守だった。ハラハラとしていたら司君が突然現れて
彼女を助け…震えて何も出来ずにいる類に怒鳴っているみたいだった。
司君のボディガードらしき人に男は拘束され大事には至らなかったみたい。
彼女を助けた司君は頼もしく私はベッドに戻ってため息が出たわ
『あれじゃぁつくしさんも心変わりしないかしら…』
でもそれは杞憂だった。
その夜、ドクターが類の記憶が戻ったと教えてくれたの
直ぐに護さんにTV通話で知らせると…
護「そうか…それは良かった。でも亜里沙、今まで以上に気をつけて見ていないと、そこから離れなくちゃならなくなるな。
記憶が戻れば類は私達を許さないだろう」
そう言われて確かにそうだって思ったの…
それから検査の為に類達はロンドンに行ったと聞き、もうここには戻って来ないかもと悲しかったわ。でもアトリエの建て直しが始まり、Drが
Dr「この部屋の窓から隣の庭がもっとよく見える様に直してくれるから
亜里沙さんもリハビリ頑張ってくださいよ」
励ましてくれて、この頃は体力もついたと思う。
そんなある日、護さんから録画画像が届いて…涙が止まらなくなったわ
亜里沙「あなた…終わったんですね。」
それはあの親子がいる島に類が訪問した時の記録。護さんがある島であの親子の
最後を見届ける監視をしている事は聞いていたけど…
護「あぁ 区切りはついた。私の罪は消える事は無いが…類の心はつくしさんに
よって浄化されたと思う。つくしさんが側にいてくれれば類は大丈夫だろう
本当に心の綺麗な女性だよ…こんな私の事まで思いやってくれた。
類もそうだったが…私も涙が止まらなかった。自分が恥ずかしいよ」
亜里沙「私達の息子は素晴らしい女性と出会って…回り道をさせてしまったけれど、今度こそ幸せになれるのね…本当に何て心の綺麗な女性なのかしらね」
護「つくしさんを救出し守り…類の元に帰してくれた道明寺の皆さんにも感謝だ。司君の記憶も戻っているのだからつくしさんを司君の伴侶にする事も
可能だったと思う。
彼の息子をつくしさんは我が子の様に可愛がっていると聞いた。」
亜里沙「そうね…この前も司君はつくしさんを救ってくれたわ。彼がつくしさんを大事に思っているのが見ていて伝わったもの。その姿に類も記憶が戻ったのよ、きっと。私も楓さんと司君に感謝を伝えたいわ…
あなたはこれからどうなさるの?もうその島に用は無いのでしょう?」
護「そうだな…日本に残してある別荘で暫くはゆっくり過ごすよ。当分は君にも
会えないけれど、顔色も良くなったし安心しているよ」
亜里沙「私なら心配要らないわ。でも…あなたは寂しいでしょう?ごめんなさい」
護「類達の苦しみに比べたら何でも無い。こうして君と会話も出来るんだ。
類達は家も完成したんだろう?そろそろ戻って来るだろうから気をつけて見るんだよ」
そんな電話から何日か過ぎ2人が島に戻って来た。
今までより2人の姿が良く見える窓の側で今日も座っているけど
看護師「今日はケビンと2人で出ているそうですよ」
そう教えてくれた。早めにリハビリを始めて病室に戻るとDrが部屋にいて
Dr「妻がランチをご馳走したいそうです。私の部屋まで来ていただけますか?」
時々、Drの奥様が部屋にもお見舞いに来てくれて差し入れを頂くけれど
1人で歩行できるまで筋力も戻り、院長室に招待されたみたい。
ゆっくり自分のペースで歩き部屋のドアを叩くと奥様が迎えてくれ
Dr夫人「今日はもう1人ゲストがいるのよ」
ソファーから立ち上がって頭を下げて挨拶してくれたのは…つくしさん?
つくし「こんにちは 牧野つくしです。以前、お会いした事もあるんですが…」
亜里沙「ごめんなさい…勝手にここに入院してしまって…」
慌てて頭を下げる。
つくし「私こそ…類さんの側にいてすみません。」
深く頭を下げるから
Dr夫人「ふふ 2人でお辞儀しないで座りましょうよ」
Dr夫妻が笑顔だからホッとする
つくし「最初は気のせいかな?と思ったのですが、時々視線を感じていました。
それは何か…見守ってもらっているような優しい視線だったんです。
もしかしたら…そう思い始めてDrに聞いてみたんです」
Dr「すみません…私は誤魔化すのが下手でして/// でもつくしさんなら大丈夫だと
私も妻も思い正直に話しました」
つくし「類さんのご両親が何も言わずに私が一緒にいる事を許して下さっていると聞いてお礼が言いたかったんです。」
亜里沙「お礼を言うのは私の方よ…うううん、先ずは謝罪をさせて欲しいわ
あなたには本当に酷い事をしました…謝って許される事ではないけれど…
ごめんなさい。そして…類を見つけてくれてありがとう。2人が生きていてくれて
本当に良かった」
私は涙が止まらなかった…
つくし「私は自分の意思で白井さんの提案を受けました。そのせいで類さんの人生も狂わせてしまい、ご両親にも辛い思いをさせてしまい…本当にごめんなさい
謝るのは私の方です」
つくしさんも泣いている
Dr「私から見れば2人とも被害者ですよ、お互い自分を責めて謝るのはよしませんか?もう前を向いて歩き出しているのだから」
つくし「そうですね… お母様の体調はどうですか?スイスの病院に入院していると楓さんに聞いていたのですが、いつからここに?」
亜里沙「あの事件後、私は生きる気力を失ったの。主人の事も恨んだわ…でも彼は社長を辞めてずっと私のそばに居てくれたの。早く類のそばに行きたくて無視する私を怒りもせずに看病してね。」
つくし「私も…類のいる海の中に行こうとしました…みんなが心配してくれるのに
ずっと無視していました。同じですね…」
亜里沙「楓さんから聞いたわ…彼女があなたを守ってくれていたのね。そして…
ルーニー・ブラウンが類だと気づいてくれた。楓さんに本をいただいて読んでみたけど、私も主人も類だとは信じられなかったわ。きっと2人にしかわからない
絆があるんでしょうね…それを聞いて私は生きたいと思ったの」
つくし「楓さんが知らせてくれたんですね。
お父様はこの島に居ないのですか?」
亜里沙「えぇ…彼はもう2度とあなた達の前に顔を見せられないと言っているの。
類はきっと私達を許してはくれないでしょうから…当然よね、息子の言葉より
あの男を信じてしまったんですもの」
私はDVDを見せてもらったから類の気持ちもつくしさんの気持ちをわかっている
つくし「類も記憶が戻り苦悩しているみたいでしたけれど…仲間達のおかげで
何か吹っ切れた気がします。お父様に会うのは…少し時間が必要かと思いますが
きっといつかいい関係が築けると私は思います」
Dr「つくしさんがそばにいれば可能でしょうね」
亜里沙「ありがとう。私達は類が幸せならそれが1番よ、あなたがずっと
類のそばに居てくれればそれは叶うわね。どうぞ類をよろしくお願いします」
つくし「ロンドンで類に…プロポーズされました。『花沢つくし』になって
欲しいと言われ私も頷きました。許していただけますか?」
亜里沙「もちろんよ!ありがとう…こんな嬉しい事はないわ」
ソファーから立ち上がってつくしさんの手を握り、何度もお礼を言ったわ
彼女も何度も頷きながら微笑んでくれた。
Drも奥様も頬を濡らしながら喜んでくれている…この島に来れて本当に良かった。類に内緒で来たつくしさんは類が戻る前にアトリエに戻って行った
その夜、私は護さんに今日の事を話しまた泣いてしまった…
護さんも泣いていた
そして次の日から2人が庭に出ている時間が長くなったような気がする
きっとつくしさんが気づかってくれているのね。
Dr「アリサ、今日もつくしから差し入れだよ。彼女の料理は本当に美味しいね」
つくしさんは日本の家庭料理を作ってDrに差し入れをしてくれる。
お米などは司君達から送られてくるみたいで私も久しぶりに食べたの
Dr夫人「今までもよく多めに作ったからって料理を持ってきてくれたけれど
アリサに食べて欲しくて毎日持って来てくれるから私達もラッキーね。
ルーニーもきっと何か気づいてると思うわよ。つくしは嘘が下手だし」
亜里沙「類に知れたらきっと怒られるわね…」
Dr夫人「ふふふ ルーニーはきっと怒ったりしないわよ。たくさん食べてもっと
元気にならなくちゃね。」
こんな幸せな日が来るとは夢にも思っていなかった…
護さんにも食べさせてあげたいわ