絆30(2次小説:類つく)

〜永遠　9歳〜

ママは朝から1人で出かけて僕とケイの2人。

ケイ「トワ、浅草に行きたいの。付き合って」

暑さはハワイで慣れてるはずだけど東京ってムシムシと
暑いし…浅草はいろいろな国の人でいっぱいで余計に暑く感じるなぁ

永遠「ケイ、あれは何？」

なんだか面白い乗り物を見つけた。
元気の良いお兄さんが一生懸命に宣伝していて

ここに来る前にケイに『会話は英語で。日本語は
話さない事』そう言われたから僕は？って顔になった

ケイ「この人力車で街を案内してくれるみたいだね」

面白そうで2人で乗ってみた。お兄さんがヒョィって
車を傾けてスイスイ車道を走っていく。
時々スローになって英語で説明してくれる
30分くらい走って元の場所に戻った。

すごく体格の良い観光客も乗せてスイスイ走る姿は
カッコ良かったしケイも楽しかったみたい。

人混みの中を通ってお寺でお参り…煙を頭にかけるのも
ガイドブックで見て知っていたけど…やっぱり暑い

ちょっと横道のお店が気になったケイが
ケイ「トワ、ちょっとここを見たいわ。暑いから
あなたも中に入って」

そう言われて入ったけどちょっと退屈…
外を見てたら先の方に面白そうな物が見えて

永遠「ケイ、この先のお店が見たい。直ぐにもどるね」

1人で店を出ちゃった。いつもBGがそばにいるけど
暑いから彼らも日陰で休んでいるみたい
チャンス！　僕は走って探検してみたくなったんだ

ドシン！　
よく前を見てなくて女の人にぶつかっちゃった

永遠『ごめんなさい。　大丈夫ですか？』

着物姿のその人を見てなんだか日本語で謝って
しまったんだ。ケイよりちょっと若そうなその人は
僕をジッと見つめて驚いた顔をして…

麗『大丈夫よ。ありがとう
あなたはケガはない？』

優しく聞いてくれたんだ。

永遠『うん』

そう言って走って離れた。
なんか背中に視線を感じたけど僕はキョロキョロと
お店を覗いて歩いた。

BG「ぼっちゃん　1人は危険ですよ」
日本では私服のBGに直ぐに見つかっちゃった
ケイのいる店に戻ると
ケイ「トワ、1人で出て行くから驚いたわ！
何もなかった？」
永遠「うん。ちょっと面白そうなお店があったから
見てたんだ。ごめんなさい」
ケイ「そう？退屈だったわね。」

それから僕達は水上バスに乗って景色を楽しんだ

ケイ「ほらあの建物でお相撲をやるらしいよ
一度見て見たいわね〜」

永遠「9月にならないと見れないって書いてあったよ。」

ママがいない観光はやっぱり寂しいなぁ

＊＊＊＊＊

〜花沢　麗〜

久しぶりの日本の夏…やっぱり暑いわね。
今回は花沢物産の記念式典があるから護さんと帰国
類も誘ったけれど帰国はしたくないって断られたの。

麗「類って…好きな女性とかいないのかしら？
30歳になるのにそんな噂も聞かないわよね…
仕事は一生懸命やってくれてるみたいだけど
何を考えているのか全然わからないわ

総二郎君の所には男の子が生まれたのよね…
帰国ついでに綾さんに会ってお祝いを渡すわ
あきら君ももうすぐ結婚するのよね…」

護「類には類の考えがあるんだろう。
総二郎君もあきら君も親の決めた相手と結婚した
ようだが…類には見合いはさせん。
あの性格じゃあ断られるのがオチだ…」

護さんに類の事を相談したら思わぬ答えだったわ
類は一人っ子だし後継として結婚はもちろん
その次の後継の事を彼なら考えるだろうと思って
いたけど…

麗「でもたくさん縁談の話が来てるって聞いてるわよ
会ってみたら類君が気にいる人が見つかるかも…」

護「もうこの話は終わりだ」

私達親子は決して上手くいってるとは思ってないけど
護さんが類の事を想ってくれているのを知ってるわ
私以上に心配もしているはずなのに何故かこの話題は
避けるのよね…どうしてなのかしら？
私だって…孫を抱いてみたいわ…

そう思っていたから幻を見てしまったのかしら？
今日、西門綾さんへのお土産を選びに浅草に
志乃と出かけた時…小学生くらいの男の子とぶつかって
顔を見てドキッとしたの…
その子は謝ってくれて直ぐに走っていっちゃったけど

麗「志乃…あの子の顔をみた？」
志乃「はい…驚きました。小さい頃の坊っちゃまに
よく似ていて…他人の空似でしょうが本当によく
似ておりました。」
麗「そうよね？私…なんだかドキドキしたわ
でも類だったらあんなにきちんとお話ししないわね
走ったりもしないかも…」

その日、ベッドに入っても昼間の男の子のことが
気になっていたの。もう一度会えないかしら？
そんな事ばかり考えていたわ