パズル9(2次小説:類つく)
このお話は花より男子の2次小説(類つく)です。作者様・出版社様とは関わりがありません。妄想の世界へようこそ…
**現在**
司たちがメープルで酒を酌み交わしていた同じ頃、つくしは屋敷の楓の部屋に 呼ばれていた。
楓「いつも翼の動画や画像をありがとう。やっぱり本物はいいわねぇ〜 また背が伸びたかしら?」
つくし「はい、春から3cmほど大きくなりました。ひらがなは全てマスターして書けるようになりましたから、『今度おばあさまにお手紙を出す』とはりきっています。」
楓「あら、それは楽しみだわ。あなたには感謝しているの、翼はとても心の優しい子供に育っている。司も…あなたを忘れていた頃は昔以上に横暴で手がつけられなかったけれど、今では道明寺の副代表としてどこにだしても皆様から褒められるほどに成長したわ。あなたのおかげよ」
つくし「翼はともかく…道明寺の成長は彼の努力ですよ。私は何もしていません。感謝しているのは私の方です。」
楓「相変わらず謙虚ね。ねぇつくしさん、翼も来年からは英徳の幼稚舎に入る 年齢だわ。でも私はあなたさえ良ければ、ここで初等科まで過ごさせても良いと思っているの。あなたは保母の資格も持っているわけですしね。どうかしら?」
つくし「それでは翼に友達が出来ません。道明寺に美作さんや西門さん…類が いたように翼にも心を許せる友人が必要です。」
楓「そう…わかったわ。ではあなたも外に出る機会が増える事になるわね。 翼にはあなたが必要です。幼稚舎に入っても彼の事は全てあなたにお任せする つもりよ、幼稚舎の行事やそれに関わる事など忙しくなるわね。」
ここで暮らすようになってからほとんど外出もしないつくしには、このハードルは高く不安が募る…でも翼を見捨てる事など出来ない。心の中で葛藤する
つくし「それは…」
楓「あら、翼に友人が出来なくても良いの?」
つくしは深く息を吸い込み覚悟したように「わかりました」と答えた。
楓「ありがとう。本来なら私はあなたには司の秘書として働いて欲しい と思ってるの、あなたは語学も心配ないしマナーも完璧よ。 翼が初等科に 入学したら学校にいる時間だけでも構わないから考えてみてちょうだい。」
ブンブンと頭を横に振りながら「絶対に無理です〜」と、つくしは強く拒否した
楓「ふふ 本音を言えば…あなたには道明寺夫人として司の隣に立ってもらいたいの。 忘れろ…とは言わないわ
でも…このままでは誰も本当に幸せにはなれないんじゃないかしら?」
つくし「社長…そのお話はもう何度もお断りしています。私にはそんな資格は ありません」
楓「ふぅ〜(深いため息) 相変わらず頑固ね。」
つくし「それは…お互い様だと思いますよ」
今では本当の親子のように本音で話せる2人 クスクスと笑いが漏れ 楓はお気に入りのワインをつくしのグラスに注いだ。
たわいないおしゃべりが続き…
楓「そうそう、この前スイスに仕事があって行って来たの。花沢さんのお見舞いもしてきたわ」
「花沢」と聞いた途端につくしの体が小刻みに震え出した
つくし「類の…お母様はどんなご様子でしたか?」
楓「相変わらずよ。ずいぶんと痩せてしまって生きる気力を失ったままね。 護さんも見る影もないくらい老けてしまったわ。 ご自分でこれも天罰だと言っていたし、あなたの安否をすごく心配していたわ。本当にあなたのいた場所の事は何も聞かされてなかったみたいね。
生きていて欲しいと呟いていたけど…私は何も話さなかったわ。 ここにいる事を伝えてあげたら少しは気持ちも楽になるでしょうけれど…私自身、彼を許す事がまだ出来ないの」
そんな話を聞いてつくしは堪えきれずに涙を流した
類の両親の様子を聞けば心配だし心も痛む…でも自分の気持ちがまだ整理 出来ない。自分のされた事よりもまだどこにいるかわからない類の事をどうしても考えてしまって複雑だった。
つくしの様子を見ながら楓は『まだ話すには早かったかしらね。早く類君への気持ちを浄化させてあげたいと思うけれど…きっとそれは無理なんでしょうね。』 そんな風に考えながらつくしにかける言葉を探していた。
パズル9 楓&つくし27歳 現在