HAPPY BIRTHDAY 次男
我が次男がお誕生日を迎えました。
次男よ、おめでとう。
今回は我が次男の出産エピソードを綴ります。
グルメを期待していた皆さんごめんなさい。
私と次男が命を懸けて戦ったあの日。
私と夫が同じ地獄を味わった日。
包み隠さずお話します。
※出産を控えている方はビビるかもしれません。
夫のお店の美味しいラザニアを見て回れ右してください。
嫁、オオカミ妊婦になる
盛大な前駆陣痛には、かなり悩まされました。
出産はしないけど、陣痛のようにお腹がぎゅっとするんです。
一度出産を経験している私。
中途半端に記憶があるのでもうヒヤヒヤです。
「お、くるか？」
「お、今日か？」
「お、ついに？」
一日一回は家族に「今日かも」と言ってました。
オオカミ少年ならぬオオカミ妊婦です。
長男の出産で盛大にオオカミをやらかした私。
夫の反応も生ぬるいものでした。
痛いけど来ない。
来ないけど痛い。
初めて入るお化け屋敷より、
久しぶりに入るお化け屋敷の方が怖くないですか？
そんな恐怖と同居しながら早く生まれて来いと毎日願っていました。
そして迎えた出産当日。
私は衝撃的な夢を見るのです。
成宮さんのお告げ
（これは夢の話です）
私は真っ白な病院にいました。
出産当日を迎えたのでしょう、大荷物を抱えています。
看護師さんの案内を待っていると
スーツ姿の容姿端麗な殿方が猛ダッシュしてきます。
…元俳優の成宮さんです。
裁判の勝訴的な巻物を片手に猛烈な勢いで走ってきます。
私の前に突き付けられる半紙。
そこには何も書かれていません。
半紙が広げられ、周りの人は静かに下を向きました。
遠くですすり泣く声も聞こえます。
…え？
どういうこと？
そう思った瞬間、懐かしい激痛が身体を駆け抜けました。
夢じゃありません。
次男が私にサインを送ってきたんです。
「今日会いに行くぜ」
目を開いた瞬間始まる陣痛。
息が詰まるような腰の痛み。
ヤバい、夫に電話せな。
家族に言わな。
夢に引きずられた私と次男の戦いが始まりました。
オオカミ妊婦の懇願
東京にいる夫に懇願の連絡を入れました。
今日じゃなかったらもう二度と立ち会わなくていい！
今すぐきてほしい！！
こっちは成宮君のお告げを聞いてる訳です。
何かあるなら今日です。
オオカミの捨て身の連絡に夫の心も動いたのでしょう。
速攻で病院に向かってきてくれました。
しかし、二人目の出産です。
陣痛はみるみる進み、夫が合流する頃には低い唸り声をあげるマジオオカミに変身していました。
痛くてじっとしてられないんです。
遠隔で電流ドッキリされてる人みたいに突然ギャーンてなるんです。
そのたび「うぉおおおおおお」と嫁が唸るんです。
オオカミが憑りついたエクソシストです。
時代が違ってりゃバチカンから司祭が呼ばれていたでしょう。
これには夫も慌てます。
毎日ふざけ倒してる嫁が半分白目で唸ってるんです。
顔がひきつるのも当然です。
あの時は夫の方が緊張していたでしょう。
緊張している、でも何をして良いかわからない。
そんな夫に私は指令を出しました。
「テニスボールあるでしょうおおおおあああ」
「それで腰をうおあああああマッサージして！」
私の指令に従い、夫はテニスボールを握りました。
これが地獄の始まりとも知らずに…。
陣痛VSテニスボール
今後出産に立ち会う方々、覚えておいてください。
陣痛中にテニスボールで腰をマッサージすると痛みが和らぐんです。
これで徐々に強まる陣痛と戦います。
俗に言ういきみ逃しです。
これが、夫に地獄を見せました。
陣痛ってどんどん下に下がっていくんですよ。
そして時間と共にどんどん強くなります。
それゆえ、痛い部分にヒットしないと全然効果がありません。
むしろ不快に感じるんです。
陣痛で苦しんでいるのは誰？私。
私が指示を出し、夫がぐりぐりします。
私「もうちょい下」
夫「ここ？」
私「下だってば！」
夫「え、どこよ」
私「だから下だってぉおおおおあああ」
まだ感覚がつかめない夫。
場所も強さも見当違いです。
私「もっと」
夫「え？まだ押すの？」
私「うぁあああああいいからああああ」
夫「こう？」
私「もっと」
夫「え？もっと？」
私「もっとだってばうおおおおおお！！」
もはやマッサージじゃありません。
テニスボールめり込ませです。
夫も本気を出します。
真冬に大汗かいてぐりぐりです。
しかしこっちは羽で腰をなでられているようにしか感じません。
私も段々腹が立ってきました。
私「ちゃんとやってんの？！？！」
夫「これ以上やったら腰の骨折れるよ？」
私「なら折ってみろやぁああああおおおお」
夫「え？ｗｗもっと？」
私「だからもっとだって言ってんだろがいやあああああ」
あまりの無茶な要求に、夫半笑い。
それを私が許すはずがありません。
でもこんなん笑うなって方が無茶です。
しかし夫に暴言を吐いたことのない嫁の脅迫にびびったのでしょう。
半笑いでただひたすらテニスボールを押し付けます。
夫曰く、テニスボールを腰に埋める覚悟で押し付けたそうです。
そして迎えたクライマックス。
テニスボールでアドレナリン全開の夫。
私以上の奇行をしでかします。
出したい嫁VS落ち着かせたい夫
陣痛がクライマックスを迎えると大きな衝動が襲ってきます。
もう出したくて仕方なくなるんです。
あれです、う〇ぴを出す感覚です。
いや、あれの1000倍の超絶ビックウェーブがやってくるんです。
もう止められません。
でも助産師さんは止めてと言います。
急激にいきむと赤ちゃんが無事に降りてこれません。
そうわかっていても、超絶ビックウェーブには抗えないんです。
私「もういいです？」
助産師さん「まーだだよ」
かくれんぼみたいなノリで助産師さんは言ってきます。
こっちも余裕を失い思わずタメ口です。
私「え？めっちゃ待ってんじゃーん！」
助産師さん「まーだ、もうちょっと」
私「マジ無理なんだけどー！！」
私の中のギャル登場です。
自暴自棄気味のギャルを助産師さんは諭します。
助産師さん「あ、じゃ深呼吸してみて」
今はラマーズ法をやらないみたいですね。
こんなクライマックスに深呼吸をしろと言われるんです。
私「（すーはっ！！）マジ無理なんだけど！」
「（すっはーっ！！）超やだー！」
ギャルと助産師がやり合ってると、
どこからともなく優しい生ぬるい風が吹いてきました。
ああ、ついにおかしくなったか。
痛みを忘れようと脳みそがハワイを感じさせてくれているんだ。
ハワイの風景を楽しもうと目を開けた瞬間、
飛び込んできたのは夫のどアップ。
あ、この人…
私の顔に息を吹きかけてる！！！
私が熱々のラーメンにでも見えたのでしょうか。
違います、私の呼吸を整えてくれようとしているんです！
何て素敵な旦那様なんでしょう。
呼吸がろくにできない嫁に、呼吸の仕方を教えてくれるなんて。
今ならそう思えますが、当時の私は思考崩壊寸前。
夫の奇行が理解できない上にハワイが夫のほくろに変わってマジ切れ寸前です。
ハワイ返せよおおおおお！と思ったそのとき
助産師さん「もう良いよ、いきんで」
ハワイが夫のほくろに変わった悔しさをいきみに全てぶつけました。
助産師さん曰く、とても理想的ないきみだったそうです。
ほくろ効果もあり、2回目のいきみでツルンと次男登場。
次男もまさかこんな早いとは…ビックリだったのでしょう。
泣くことも忘れ一瞬きょとん。
しかし大慌ての私を見て察してくれたようです。
若干ハスキーボイスで私たちに泣いてみせてくれました。
成宮くんのお告げに恐怖を感じていた私。
あの次男の泣き声を忘れることはありません。
出産その後
出産した後も陣痛は続きます。
後陣痛と言って、子宮が元のサイズに戻ろうとぎゅーっと収縮するんです。
出産を重ねるほど痛くなるそうで、痛み止めをもらっていたんです。
が、明らかに後陣痛とは違う痛みが私を襲いました。
腰がやたらと痛いんですよ。
鈍痛と言うか打撲みたいな痛みが続くんです。
不安になって助産師さんに聞いてみました。
「そりゃ…あんなに腰にテニスボール当ててたらね（苦笑）」
アドレナリンが沈静し、残ったのはテニスボールの後遺症。
後陣痛より何よりテニスボールが痛くて仕方ありませんでした。
夫はどうだったって？
数日間腕が上がらなかったそうです。
今でもたまに言われます。
「あの日は僕も戦ってたんだ」と。
おっしゃる通りです。
嫁に罵られ、腰にテニスボール埋めようとしていたんですから。
夫よ、ありがとう。そしてごめんなさい。
もっと美しく感動的な立ち合いにしたかった。
今思うこと
妊娠出産は恐怖です。
10月10日間、我が子の顔を見るまで安心できません。
しかも、ラストステージは文字通り命がけです。
でも、そんな話をこうして笑い話にできるのは、
我が子が元気に生きてくれているからです。
文句を言い出せばきりがありません。
ご飯ちゃんと食べない
お風呂上がりは全裸で一踊り
怒るとウルバリンの爪を出す
でも…
元気で笑顔でいてくれたら、それで良いかなとも思います。
（口が裂けても言いたくないけど）
次男よ、お誕生日おめでとう。
父と母がぎゃーぎゃーうるさかっただろうけど、
あの日は君が一番頑張っていたんだよね。
なぜ我が家に来てくれたかはわからないけど、
いつか君がその理由を見出せる日まで一緒にいよう。
何があっても、私たちは君の味方だからね。
あ、明日はちゃんと起きてくれよな。
誕生日って素敵です。
当たり前に感じるご縁が尊く美しく思えますから。
あ、誕生日を迎えた世界中の皆さん。
改めてお誕生日おめでとうございます。
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