MIDAS Curves その2
「MIDAS Curves」という記事においては、Paul Levineが考案したMIDASについて簡単に解説した。さらに、MIDASを応用したインジケータを紹介した。
紹介したインジケーターは、重要な高値安値から完全自動で抵抗線/支持線を引く便利なものだが、計算式はPaul Levineに基づくものではなく、さらにはVWAPでもない。期間を17、 72、 305、1292に設定した移動平均線だ。
これらの数値は、PhiCubeのBO Williamsが考案した。17、34、72、144、305、610、1292、2584からなる。BO Williamsはブラジルの暗号資産トレーダーで、この数値も暗号資産トレードで主に使用され、また検証がなされている。
では、Paul Levine本来のMIDASを使うにはどうすればよいのか?「固定VWAP」(Anchored VWAP)で裁量で引く。
描画ツールなので数に制限なく好きなだけ表示させることができる。VWAPは標準価格(高値+安値+終値)÷3を起点に算出する。固定VWAPもデフォルトではそうだ。一方MIDASは、高値や安値を起点に引く。少し面倒だが手動で変更する必要がある。
MIDASの起点の候補としては
重要な高値(のちのレジスタンスとなる)
重要な安値(のちのサポートとなる)
寄り付きの始値
紐育クローズの終値
亜細亜、倫敦、紐育各セッションの高値と安値
ほぼ同じ高値/安値が数本出来ている場合は、一番左側(The Left Side)を起点とする
トレンドが終焉したローソク足
トレンドの始点となったローソク足
トレンド中の大きなプルバック
上昇中の大きな下げにMIDASをひくことで、それが押しなのか、下降トレンド入りしたのかを判定するエリオット波動の1波の始まりにMIDASを引くことで、2波と4波の調整を判定する
大きくギャップダウンしたときは、ギャップダウンした直前のローソク足に引いたMIDASを上方向にブレイクしたら株価(価格)は回復に向かっている、ブレイクできずに下方向に行くなら、まだ下げると判断する
IPO(新規上場)株の日足と週足の高値と安値に引いたMIDASは、長期に渡って株価の動向を示すのに役立つ
高値に引いたMIDASはレジスタンスとして機能する。安値に引いたMIDASはサポートとして機能する。将来において価格がMIDASに近づいたら、ここで止まる、あるいは反転することを想定する。
反転リバーサルでエントリーする場合には、フィボナッチ、ピボットなど他のラインやゾーン、ストキャスやRSIなどの指標、ローソク足のプライスアクションなどを加味して総合的に判断する。ローソク足のプライスアクションとは、十字線やピンバーなどである。さらに詳しく知りたければ
なお、Paul Levineは、OBV(On Balance Volume)を好んでMIDASと併用した。
標準偏差バンドを表示することができる。バンドは同じく抵抗や支持としてよく機能する。
1時間足に引いたMIDASは、これから先1週間から2週間のトレンドとサポレジとして機能する。15分足のMIDASは、1-2日のトレンドとサポレジ、3分足または5分足のMIDASは、2時間~6時間程度のトレンドとサポレジ、1分足のMIDASは、15分~1時間のトレンドとサポレジ、を大まかな目安に分析するといいだろう。
Paul Levineは、MIDASとMarket Profileを相互補完的に使用していた。Trading Viewでは、出来高プロファイルを併用することで分析の精度を高めることができるだろう。
ついでのように付け加えると、本来のPaul LevineのMIDAS Systemは、通常のローソク足を使わない。出来高に基づく非時系列チャートを使った。これを表示できるチャートは今はなかろうと思う。いわゆるTick Chartというのがこれに近いが、Tick Dataを扱えないTrading Viewではできぬ相談である。