レビヤタンシステム 秘訣 7 山は動くな
レビヤタンシステムは控え目に言ってとても優秀である。
控え目に言わなければ、”聖杯”認定してしまってもいいくらいだ。
とは言えフラクタルの売買シグナルはやたら出現する。
頻繁に出るシグナルのすべてが結果的に勝ちトレードになるわけではない。
フラクタルブレイクを精査する方法はすでに伝授してある。
Purple Lineに買い向わない、売り向かわない。
ストキャスのサイクルと呼吸を合わせる。
上位足のフラクタルの波(ジグザク)を見定める。
エントリー方向にある壁(ピボットなど)を警戒する。
長期足で買い目線/売り目線を固定する。
などなど。
しかしこれらはみな現場におけるテクニックである。
今回のテーマはもっと大局的な視点で重要なことだ。
それは、動かないということである。待つということだ。
それはわかっていると多くの人は小声で答えるだろう。
わかっているだけでは意味がない。実践しなければならない。
実践するだけでは足りない。厳守し死守しなければ勝ち続けられない。
何を待つというのか。エントリーしてもいい場所と時間を待つのだ。
ミレニアム世代やZ世代は「待ち合わせ」というものを知らないであろう。
友達であれ恋人であれ仕事上の相手であれ「時間」と「場所」を決めて
待ち合わせるということを携帯電話などなかった時代にはしたのである。
昭和の時代に山下達郎は
♫きっと君は来ない
ひとりだけのクリスマス・イブ♫
と待ち合わせ場所に待ち人が現れなかった状況を唄った。
大正の世の竹久夢二は
待てど暮らせど来ぬ人を
宵待草のやるせなさ
と詠んだ。
渋谷ハチ公前、イケフクロウのそば、三越のライオンの横
駅の改札を出たところ、小岩駅の力士のケツ、帝国ホテルのロビー
時間を決めて、場所を指定して、待ち合わせたものだった。
ついでながら、行列と予約という喩えでもよかろう。
私ら世代は飲食店に並ばない。予約してその時間に来店する。
今の世代は当たり前のように並ぶ。スマホのおかげで行列を苦にしない。
クレープ屋さんやタピオカのお店は予約なんてできませんよと言うだろう。
そもそも私ら世代は予約もできないような店で食事をしない。
トレードの世界においては令和の現在でも
時間と場所を決めて待ち合わせるのが定番であり鉄則だ。
行列を作って並ぶのではなく、予約しておいて出掛ける。
ずっとチャートを見続けるのではなく、決めておいた時間と場所で
エントリーの条件がそろったときにだけトレードする。
予約できないようなチャート形状、相場の地合いのときは、なにもしない。
山は動かないのだ。
「待つ」というと消極的なイメージがある。退屈だ、つまらない、と。
そうではない。「待ち望む」のだ。勝率の高いエントリーが来るのを
ワクワクしながら心待ちにするのだ。親友と、恋人と、待ち合わせている時
あれも話そう、これも聞いてみよう、と胸踊らせて待つだろう。
ただアテもなく、つくねんと待っているのとは違う。こうなったら
こうしよう、ああなったらああしたらいい、とシナリオを構築しながら
待ち構えているのである。受動的な「待ち」ではない。
積極的な「待ち伏せ」戦略なのである。勝機を待つのだ。
They also serve who only stand and wait.
同様のアドバイスは各方面でよく耳にする。
勝てる場面でだけエントリーしましょう。
わかるところだけトレードすればいいのです。
などなど。
勝てる場面や勝ちやすい局面があらかじめ
あるいはリアルタイムでわかるなら苦労はしない。
待つことができない最大の原因は、いつまで待つのか
どこまで待つのか、具体的に何を待てばいいのかなどが
明確でないことにあるかと思われる。
よって、ここでは待つべき時間と待つべき場所について
できるだけ明確に指定してみよう。これをもとに各自が
自分なりのルール作りをするための手助けとして。
まずは時間について。
1.テクニック面での話になるが
レビヤタンシステムのエントリー方法である逆指値注文での待ち伏せ。
2.大局的には、それぞれの銘柄がしっかりとよく動く時間帯。
いわゆるボラがあるとか、流動性があるという時間や時期のこと。
これは当然通貨ペアや銘柄で異なる。自分がトレードする銘柄の
特性を知っておくことが肝要。過去チャートを何年分か遡れば
おおよその特徴が見えてくるだろう。どこに注目すればいいかというと
・動かない時間帯
・動き出す時間帯
・伸びる時間帯
・押し目をつけやすい時間帯
・その日のピボットのセンターをブレイクしやすい時間帯
ロンドン市場を例にとる。ユーロ、ポンド絡みの通貨は
今は冬時間なので、17時15分から30分にかけて押し目をつけることが
少なくない。そして、19時から21時にかけて一方向に動くことが多い。
つまり、ロンドン勢が密かにロング戦略を立てているときは
自分たちに有利な価格まで一旦引き下げて(押し目)買い場を作る。
そこでショートしたカモの損切りを狩りながら上昇するパターンだ。
レビヤタンの売りシグナルでエントリーしたらすぐに逆行して上昇した
などというのはこのケースであることが多い。
日本株は当たり前だが東京時間の午前中に一番よく動くし
米国株はニューヨークオープン直後に大きく動く。
インド株は日本時間の13時あたりに動き出す。
オーストラリア株や株価指数さらにはオージードルに関しては
深セン証券取引所がオープンする日本時間10時半以降に
目立った動きが出るのが一般的である。
さらには Seasonal(季節性)なども考慮する。
大型連休、夏休み、ホリデーシーズンなど。個別株であれば
決算発表、先物の場合はSQ、商品先物では農作物の季節周期も重要。
また、重大経済指標の発表時間を把握しておくことも必要だ。
3.上の2はあくまでも一般論における概要であって常時このような
値動きになるとは限らない。日々のリアルタイムでの時間帯分析にまで
目を配るようになれば上級編といえよう。それは何かというとその日
その時の通貨ごとの強弱や銘柄間の相関性、逆相関性である。
ユーロドルはロンドン時間によく動くとYouTuberが言うから
トレードしたが、全く動かなかったということだってありえる。
今日は、今は、どの通貨が激しく買われているのか、売られているのか
それを知ることが役に立つ。そして今日のユーロドルがはっきりと
動き出す時まで、待つのである。これゆえ通貨強弱の判定は
トレードしていい時間が来るまで待つ戦略なのである。
これを書いている今現在は、カナダドルとオージードルが強く
ポンドが弱い。つまり、GBPCADとGBPAUDは上昇している。
通貨強弱を計測するインジケーターについては、以前紹介した。
そして場所について。
1.ピボット。
特にセンターとその上のTCとその下のBC。
ロンドンオープン後にこの場所をブレイクするかどうかを注視し
ブレイクした通貨ペアだけをトレードする、などと自分でルール化する。
センターピボットの上で始まって上昇し続ける場合は、R2やR3の場所での
挙動をよく観察する。下落中ならば、S2とS3。止まるのか?反転するのか?ピボットに関して他にいくつも戦略は考えられよう。
月のピボットと4時間足を使うスイング手法を以前ツィートした。
これなどはゆったりじっくりただ待つだけの戦略である。
重要なことは、ピボットをブレイクしたらエントリーを考えると決めたなら
ブレイクするまで、つまりその場所に来るまでは、何もしないことである。
山は動かない。
R3に到達して反転すればエントリーと決めたなら、R3に達するまでは
山は決して動かない。
2.エリオット波動。
4時間足で推進波(たとえば第3波)形成中に
1時間足が推進波(第3波)を形成するのを待って(時間)
5分足における推進波(第3波)が始まる場所でエントリーする。
この条件が整うのはせいぜい週に1回か2回であろう。
動くなと言ってもそこまでどっしりと構えていられないというなら
30分足、5分足、1分足で待ち伏せすればいいだけのことだ。
なお、フィボナッチについては「補講3」と「補講5」に書いてある。
3.ワニがよく眠っている場所を特定する。
該当する場所を見つけたら、ワニが目覚めるのを待つだけである。
Bob Volmanの「ダブルの圧力」という考え方はこの戦略と相性がいい。
レビヤタンシステムの基本の待ち合わせ時間と場所は上記3つである。
ここから歩を進めて、これまで自分が検証し培ってきた手法と合わせて
自分なりの待ち合わせ場所と時間をルール化するのがよい。
トレンドラインを引かないと落ち着かないという人もいるだろう。
フィボナッチを得意とする人もいるだろう。
Supply & Demand Zones にハマっている人もいるだろう。
その他どれでもいい。この場所に来たときに、ワニとフラクタルとAOが
これこれの条件を満たしているときだけ、エントリーするという縛りを
自らに課すことが重要なのである。それ以外はチャートがどう動こうが
値がどれほど伸びようが、心を騒がせるには及ばない。
動かざること山、なのだから。
東京時間半値トレードという手法がかつてあった。今でも機能するはずだ。
東京市場9:00~17:00の高値と安値からその半値を求めてラインを引く。
ロンドン時間に半値ラインまで押したり戻したりする確率が高いという。
待ち合わせ時間は、17時以降。
待ち合わせ場所は、東京時間半値ライン。
Trading Viewで1つ前のセッションの半値ラインを自動描画するインジが
公開されている。
しかし何もわざわざインジケーターを使わなくても東京時間に形成された
高値と安値にフィボナッチを当てれば50%が半値である。
私個人的には、フィボナッチ(特にファン)、C-Fork (Chuvashov Fork)
ハーモニック(特にABCD)、ウォルフ波動などを待ち合わせによく使う。
また、ローソク足のカウンティングを待ち合わせ時間に使うこともある。
ローソク足を数えることについては、以下の記事に書いた。
目下絶賛検証中なのは、出来高プロファイル(Volume Profile)だ。
30分足の出来高プロファイルで特定した重要な節目に引き寄せられる
値動きとその節目で反転する値動きを下位足のレビヤタンの条件で狙う。
いわゆる「Smart Money」の在り処を優位性がある場所として想定する。
これに関してはいずれ稿を改めて記事にするつもりだ。
[追記]
The Inner Circle Traderというトレーダーがいる。ICTと呼ばれることが多い。オーダーブロック(Orderblock)という概念と用語をトレード界隈に広く知らしめた。海外の一部のトレーダーたちのあいだではある種のヒーローのような扱いを受けている。
ICTは、トレードに適する時間帯を「Kill Zone」と名付けて以下のように規定している。
Tokyo Kill Zone (Asian Range): 20:00-0:00
London Kill Zone: 2:00-5:00
New York Kill Zone: 7:00-10:00
London Close Kill Zone: 10:00-12:00
時間はいずれもニューヨーク現地時間である。
日本時間では
Tokyo Kill Zone (Asian Range): 9:00-13:00
London Kill Zone: (夏) 15:00-18:00
(冬) 16:00-19:00
New York Kill Zone: (夏) 20:00-23:00
(冬) 21:00-0:00
London Close Kill Zone: (夏)23:00-1:00
(冬)0:00-2:00
ちなみに、MT4時間はNY時間+7時間となるので
Tokyo Kill Zone (Asian Range): 3:00-7:00
London Kill Zone: 9:00-12:00
New York Kill Zone: 14:00-17:00
London Close Kill Zone: 17:00-19:00
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