
レビヤタンシステム 補講3
手法詳細は
エリオット波動カウントとフィボナッチについて解説する。
あくまで、レビヤタンシステムを有効に使いこなすために、である。
繰り返しになるが、アカデミックなエリオット波動論はどうでもいい。
エリオット波動信奉者は口を揃えて「奥が深い」としたり顔で言う。
「何年研究しても全然カウントできるようにならない」という事実を
外聞のいい表現で言い換えているに過ぎない。
「世界で一番エリトット波動をカウントしてきた」と豪語する人物が
すでに出来上がった4時間足チャートを分析する動画をYouTubeで観た。
これがこうだとすれば、こっちがこうですね。
いや、ちがうか、こっちがこれで、こっちはむしろこれですね。
あーだこーだといじくり回して10通り近くのカウント候補にたどり着いた。
「エリトット波動はほんと奥が深い」って・・・
ツッコミどころ満載のYouTube解説動画を観ながら、思った。
レビヤタンシステム学習者のほうが、瞬時に、正確に、
そしてなにより、客観的にカウントできることだろう、と。
トレードで勝つためには、カウントそのものに意味はない。
3波とカウントした波が、実は、a-b-c修正波のc波だったと
すべてが終わってから判明するかもしれない。気にするには及ばない。
実戦的トレードにおいてはそれが下降の推進波であることさえ知ればよい。
そのカウント間違ってます、3波ではなくc波です、とエリオット信者が
後付講釈をぶつとき、レビヤタン戦士の資金はすでにいくらか増えている。
2波の終わり

フィボナッチリトレースメントを1波の始点に1、終点に0が
来るように引く。チャートの左から右に引くということだ。
2波の終わりは、25%から75%の範囲に収まることが確認されている。
このうち、61.8%(0.618)になることが最も多い。
0.382、0.5、0.618あたりで2波は止まると目安を付けておくとよい。


3波の終わり

さっきは左から右に引いたが、今度は右から左に引く。すなわち
1波の終点から始点に向かってフィボナッチリトレースメントを引く。
3波完成の目安を、1.618~2.618とする。
「見るも驚異」(mirabile visu)と称される3波のことであるから
トレンドが発生すると2.618を越えて伸びるケースがいくらでもある。

4波の終わり

1波の始点から3波の終点に向かって引いたフィボナッチリトレースメントの
0.382、0.5、0.618の範囲で4波が終わると考える。
このうち、0.382になるケースがもっとも多いが、0.5もよく見られる。


もし0.618で止まらずそれを大きく越えていく場合は
それが4波ではなかった、あるいは、何らかの事情で
エリオット波動形成が頓挫した可能性が高い。
5波の終わり

フィボナッチリトレースメントではなく
フィボナッチエクスパンションを使う。
1波の始点、3波の終点、4波の終点の3点を使って引く。
5波完成の目安は、0.618から1.0の範囲とする。





フィボナッチのラインでピタッと止まらないで、ヒゲだけ飛び出したり
あるいは、ラインに届かず手前で止まるという現象を頻繁に目にする。
これは実はローソク足に原因があることをほとんどの人は気づいていない。
チャートは川の流れのように進む。波のように動くと思ってもいい。
つまり、有機的、連続的、非線形的(nonlinear)、自然な動きだ。
その動きを便宜上、1分とか5分とか1時間とかで機械的に区切るのが
ローソク足である。価格は、5分に1本などというように機械じかけの
時計のような動きをしてはいない。5分経過したら価格の流動的な流れを
無理やり断ち切ってローソク足が描画される。ローソク足というのは
マーケットの動きにとって、極めて不自然で、不正確なものなのである。
だから、5分足でフィボナッチのラインを少し越えたというのは
タイマーが鳴ったからローソク足を完成させるというような機械的で
不自然な方法によって生じる誤差なのである。
なお、1日の値動きが1日で完結する日足の場合は、事情が異なる。
今回の補講の内容からは離れるが、ついでなので以下書いておく。
ビル・ウィリアムズに基づくレビヤタンシステムにおいては
値動きの最小単位を個々のローソク足ではなく、フラクタルで捉える。
マーケットの息吹、相場の流れ、市場参加者のセンチメントなど
どういう表現でも同じだが、それを可視化するのはフラクタルである。
個々のローソク足ではそのことはわからない。
昨今流行りの「プライスアクション」という言葉を用いて說明すれば
ローソク足ではプライスアクションはわからない。
プライスアクションにはフラクタルを使え、ということである。
Sed ad rem !
上に述べたローソク足の欠陥なども考慮して
フィボナッチで割り出す数値はあくまでも目安と考える。
これだけを根拠にトレードすることはない。
他の根拠と合わさってはじめて有効だとみなす。
他の根拠の最たるは、ダイバージェンスである。
たとえば、ある時間足における推進波は、下位足においては
5波を形成しているはずである。AOを使うカウントでは
3波と5波は顕著にわかりやすい。ダイバージェンスだ。



トレードしているチャートにおいて、ひとつの波が完成したかは
フィボナッチの数値と下位足の波のカウントの根拠が重なるかで
より確かな判断ができる。特にダイバージェンスを重視するとよい。
最後に、何人かの方から同じ質問があったので以下回答する。
4波はAOがゼロラインまで戻ることが原則だが、そうでないケースがある。

理由は、データ不足つまりローソク足の本数が不足しているからだ。
正確なカウントには100から140本のローソク足が必要である。
15分足に落として、充分な本数のローソク足で同じ場面を見てみると
4波がゼロラインまで下がっていることが見て取れる。

もうひとつの質問は、3波のピークとAOのピークが一致しないケース。

上の例では、AOのピークで判断すると、そこを3波とカウントし
ダイバージェンスを確認して、最高値を5波とカウントしてしまいがちだ。
3波の中には、下位足では5波の推進波があると私たちは知っている。
チャートは30分足。AOのピークは5分足で見ると推進5波の3波に当たる。
そして、30分足チャートの実際の3波のところは、5分足の5波である。
このように、3波のなかでダイバージェンスが発生するときには
下位足チャートにおいて5波が完成したのだなと考えればいい。
つまり、今見ているチャート(ここでは30分足)で4波を作りにくだろう
と判断することができるのである。
レビヤタンシステムにおけるMTF分析は、その他の手法とは
根本的に考え方が異なる。つねにMarket Structure(市場の構造)を
意識する。この局面で下位足100本ではどういう波動が形成されているか
ということを考えるということである。
Alligatorの3本のバランスライン(BL)を思い起こしていただきたい。
移動平均線を使う一般的な手法では、「上位足」のMAを表示して
「長期足」のトレンドの方向などを参考にトレードする。
AlligatorのBLは長期(青)が今見ているチャートのものである。
その他の2本は、それぞれ1/5ずつ「下位足」のBLを表示させている。
これがフラクタル幾何を根拠とするMTF分析なのである。