童貞が「愛がなんだ」を見て、田中守にブチ切れながら少し彼を好きになってしまった話。
映画「愛がなんだ」を見た。真剣に見た。ちゃんと見た。
見終わった後の感想としては、
「人を愛するっていうのは、人の顔を愛するってことなのかしら。」だった。と思いそうになってしまう程、主人公(以下テルちゃん)が恋する成田凌演じる田中守の顔がカッコよかったのだ。というか成田凌の顔がカッコよかった。
成田凌から感情や人格を丸々を抜いて出来たのが、田中守(以下マモちゃん)なのである。
クズ男田中守
マモちゃんは冒頭からクズで、体調が悪いとかなんとかでテルちゃんを家に呼び出し、飯を作らせて、突然帰れとか言い出して、夜中に女の子一人を外に放り出すような男なのである。テルちゃんもテルちゃんで、カビキラーを頼まれてもいないのに買ってきては、頼まれてもいないのに風呂掃除などをしだしてしまったりして、確かに若干ズレているんだけど、何故そのようなことをするのかと言えば、「マモちゃんに良く思われたいから」という動機があるのは誰が考えても分かることで、というかそれがどんなにウザかったとしても、真夜中にテルちゃんを放り出すマモちゃんは根っからのクズなのである。
お前が言ったんだろ!!
映画後半にこの時のことを二人で話すシーンがある。この時はテルちゃんが体調不良で、マモちゃんが飯を作っていた。
「あの時作ってくれたうどんさ、胃もたれして余計体調悪くなったんだよね」みたいなことを爽やかな笑顔で言うマモちゃん。
「私、出て行ったとき、お金300円くらいしか無かったんだからね。」的なことをテルちゃんが言うと、
「マジで?戻ってくれば良かったのに(笑)」
とマモちゃんは言う訳である。
「いやお前が帰れって言ったんだろ!!!」と一時停止ボタンを押しそうになったのだが、テルちゃんは「あははは。」みたいなことを言ってしまう訳である。
田中守が何をしに来たかと言えば、調子の悪いテルちゃんの様子を見に来た訳ではなく、「俺らもう会うの辞めない?」を言いにきたのである。
気が狂っているのだ。体調が悪いの分かった時点で後日改めて来いよ。お前はどこまで自分のことしか考えてないんだよと、田中守にLINEしたい。
お前はビョーキだ!!!
テルちゃんは誰がどう考えても分かるような嘘を付く。
「もうマモちゃんのこと好きじゃないよ。うぬぼれてない?新しい男紹介してよ。」的なことを言う。
「マジでそうだったの??俺超ハズいじゃん!!マジかよ。え?まじかあ。俺超ハズいじゃん。よかった~~~」
と言うのだ。彼には何らかの疾患があると思う。
結局最後、マモちゃん、マモちゃんが好きな人、テルちゃん、マモちゃんが紹介した男の4人で飯を食うのである。訳が分からない。マモちゃんの友達がめっちゃ嫌な感じしたのは、俺が童貞だからなのだろうか。
顔!顔!顔!
マモちゃんを初めて見た時にテルちゃんは「手が綺麗な人だなとだけ思った。」と言っていた。これが嘘だ。成田凌を見てまず思うのは、手が綺麗ではない。顔、顔がかっけえ~~なのである。劇中一度も成田凌の顔がかっけ~~と誰も言わないのは何故だ。おかしい。せめて自己愛にまみれたイカれたマッドサイエンティスト田中守は「俺、、、、かっこよくね?」みたいなことを言ってくれるのかと思ったら、チンポが立たなくなったことをキッカケに
「俺さあ、、、、ダサいよね?世の中の男をさ、カッコいい男とカッコ悪い男に分けたらさ、俺カッコ悪い男に入ると思う。」なんてことを間接照明に頬を照らされながら天井を見つめ言いやがるのである。ふざけんなよ!メンズノンノだろテメぇ!!成田凌そっくりじゃねえかよ。一生センチメンタルに浸かっとけや!なんて思っていると、またチンポが勃ち初めて、こいつはもう救いようがないのだなと、画面から目を外し俺も天井を見つめてしまった。
怖いんですけど、なんか
田中守はマジでつまらない人間だ。「世の中の男をさ、カッコいい男とカッコ悪い男に分けたらさ、俺カッコ悪い男に入ると思う。」とか言っている価値観がマジでヤバイと思う。田中守の別荘持ちの友達を見た時にも思ったのだが、こいつらは何か空虚だ。どこか体温を感じない。無印良品的な雰囲気を出していやがる。つまり、つまりとか言ったら無印に失礼かもだけど大衆的などこにでもいるような人間なのである。無地感というか、その余白感、空いたスペースにこっちの想像が湧き出てしまい、勝手にこちら側で彼らを理想的な男に仕立て上げてしまうのである。
「俺、30歳(35?だったかな?どっちでもいいわ!!!)になったらプロ野球選手になるわ。」という冗談のレベルで、学生時代こいつがどのようなポジションにいて、どのような連中と普段からつるんでいるかが容易に想像できた。おもんないねん、お前ら。と俺の個人的な怒りが湧いて出てきてしまった。
悲劇のヒロイン
劇中に出てくる登場人物の殆どが他人に向ける言葉を持っていない。持つ気がハナからない。全員が人生に胡坐をかいているようにしか見えなかった。登場人物達が「思ったことを人に伝える」ということをしていれば、この映画は7分くらいで終わったのではないかと思う。
センチメンタルな気分に浸かって、命掛けで悲劇のヒロインでいることに固執して何になる。感性が豊かなのではない。阿呆なのだ。
そうゆう意味で田中守はさっぱりとしていて良かった。俺もそうだけど、気を付けないと、ああゆう人達に我々は食べられてしまう。だから、そうか、自ら足踏みをしてしまう人達が、めっちゃこの映画に共感するのかと思った。俺はテルちゃんの視点で物語を追っていた。最終的に田中守のことを俺は忘れられなくなっていて、柔らかな毛布にくるまれて耳元で「好きだよ」とか言われたらオチてしまいそうな感じにはなっている。多分俺はテルちゃんを否定しつつも、共感していたのだと思う。というか、そこから抜け出そうとしているからこそ、猛烈な拒否反応を登場人物達に示したのだなと思った。ただ、俺が田中守を若干好きになってしまった理由だけは良く分からない。もっと振り回されたいと、思ってしまったのは何故なのだろう。分からん。とにかくああゆうゴミみたいな男に振り回されて、自分の人生を使い果たしてしまいそうな人がいるのであれば、「もう辞めなさい!!!」と俺はビンタしてあげたい。ドレスコーズの「愛に気を付けてね」をふと思い出した。
本編が終わると、DVDのメインメニューに戻る。
カーテンから滲んだ淡い光に照らされた田中守が、切ない顔をしていて爆笑した。なんでやねん!!!
この映画めっちゃ面白いから見てみて~~。
落合諒です。お笑いと文章を書きます。何卒よろしくお願いします。