全アマチュア芸人に告ぐ、俺達はまだやれる(事務所「非」所属の俺の現状)
僕は現在プールサイドというコンビを組んでいる。
賞レース成績
2020 KOC 一回戦敗退
2021 KOC 二回戦敗退
M-1 二回戦敗退
といった感じだ。実力としてはまだまだ。今のところ当人達でのみ感じてるポテンシャルが無限大であるため、バリバリやっている。
2019年、僕は事務所に入っていないことを猛烈に気にしていた。
そもそもなぜ無所属であるのかというと、学生時代に「こいつしかいないじゃん!」と思ってしまった人が、社会人になってしまったからである。
相方は秦 透哉という男で、wikiによると
赤ちゃんモデルとして芸能界にデビューし、子役を経て俳優として活躍しCM、映画にも出演。高校生の頃に制作側に関心を持つようになり、制作の勉強をするために大学へ進学。大学在学中にアニメーション制作イラストレーター、アニメ制作などの活動を行い、主にゆるシュールなキャラクターのイラストを制作、落合のダッチワイフに誘われてお笑いコンビ・プールサイドを結成しお笑い芸人としても活動する。大学卒業後はプランナーとして広告代理店に勤務しながらイラストレーター、お笑い芸人・プールサイドとしての活動も行っている。
とのことだ。
これがどこまで本当なのかは分からないし、落合のダッチワイフなんかに誘われて人生狂ったなこいつ、とは思う。線路に石を置いてやったのだ。
大学を卒業するまで僕らはネタを一回も人前で披露していない。ずっとインターネットラジオをやり続けていた。彼が社会人になるということになんの疑問も抱かなかったし、プールサイドを解散しようという話にもならなかった。ただなんかしよう、みたいな感じだったと思う。
2019年に突然「相方は売れなくても仕事があるからいいけど、俺はどうなるんだろう。」という疑問が沸いてきた。ちなみに僕は新卒三ヶ月目で銀行を辞めている。それからはフリーター。
段々と相方のやる気とかモチベーションを勝手に疑うようになっていって、大手事務所の養成所オーディションに一人で行った。結果的に特待生をもらえた(みんなにあげてるんじゃないかしら)のだが、入学金も払えなければ、バイトがあって授業も受けれないので諦めた。あっても行かなかったと思うし、プールサイドは解散していなかったと思う。
若干見えた2020年
2020年、なんかせねば、ということで友人であるカメラマンの木村という男、そしてプルサイの始まりから今もなお映像の編集をしていくれている長尾、の力を借りて一緒に映像コントを作ってみることにした。
脚本とか冒頭の漫才の荒さが目立つけど、やっていることは今見ても新しくてとても気に入っている。手応えがあった。
なにかが始まった感じがして、勢いでKOCに出たら一回戦で負けた。
全然ウケなかったし、記憶があまりない。
事務所に入っている芸人達のようにライブも出れない、土日しか活動できない、どうしたらいいかまた僕は分からなくなった。
アマチュアでも出れるライブはあるっちゃあるけど、そもそもお客さんが入っていないからネタの善し悪しが判別しにくい。これは後に分かったことだけど、自分達のコントの性質と無料ライブの環境の相性が合っていないとか、まあ色々あって出る気にならない。
地下ライブには地下ライブでしか通用しない力強くエネルギッシュな笑いがあって、それは「商業」の対極にある笑いだと思う。俺はその類の笑いが大好きだし血生臭い芸に憧れのような気持を抱いているが、プルサイはなんせ時間がない。26歳くらいになって「自分たちがやっていることは各々の人生と直結してしまっている」と気付いた。社会人である相方に、地下ライブに例えば5年潜ってもらえるかどうか?と考えると、違う道で行くべきだなと思った。というか僕もできるだけ最短で売れたいと思っている。
僕は相方がこの活動を「つまらない」と思ったら全てが終わると常々思っている。だからおもしろくいたい。これは相方が社会人でなくとも、全員に同じことが言える。夫婦もそうかも。組んでくれていることを当たり前だと思ってはいけない。
2020年の末、とーやが「映像コントに力を入れてみない?」と言った。
「あ、それだな」と思った。
ここから僕達は今に至るまで映像コントを作りまくっている。
↓その一発目に作った変なコント。
見えた2021年
映像コントを作っている中、僕は舞台経験がないということをめっちゃ気にするようになった。
芸人としてのフィジカルがないことを悩んでいた。
この悩みを解決するためにはやっぱりKOCしかないと思った。
人前に立つのは去年のKOC一回戦ぶりで、一度も試していないネタを当ててみた。
めっちゃウケて、袖にはけた瞬間に「ウケたね~」と、とーやに言ったのを覚えている。二回戦もウケたけど、落ちた。配信を見てくれた知らない人達が「プールサイドって人達おもしろかった」と言ってくれててめちゃ嬉しかった。だから受かったと思ってたけど、ダメだった。
でも3000組中300くらいには入れた訳で、その時にアマチュアでも行けることが分かった。
そのままの勢いで人生初漫才をいきなりM-1でやったら、それもウケた。え?天才なん?と思ってたけど、二回戦はきっちり負けた。もっと自分達よりウケてる人がいっぱいいた。ネタもそうだけど、フィジカルでも完全に負けていた。腹立つ。
11月にコンビの個展を開いた(お笑いやれよ)。80人位来てくれてびっくりした。
明確に分かったこと
ここから先は感情なんて捨て去った、アマチュアコンビの勝ち方の話になる。
まず最初に僕は相方が社会人でなければよかったのに、と思ったことは一度もない。多分。なんだっていい。
土日しか活動ができない、社会人同士で組んだアマチュアコンビがたくさんいると思う。
でもそれでも全然やっていける。打合せは平日の夜にすればいいし(ZOOMでもなんでも)。
僕達は毎月土日のどこかを強引に合わせて一気に撮影する。土日休みを削っているとーやと長尾にはほんとに感謝している。この時点でとーやのモチベーションが低い訳がないことは明らかだし、彼のやる気とかを疑ってしまっていたのは自分に原因があったことが後に分かった。俺だったらプルサイを辞めていると思う。
「時間がない」とおのずと効率化するようになってくる。必要なことだけ見えてくるようになるので、プルサイは会議が減ってきている(これは素晴らしいこと)。とにかくやれるってことだ。
そしてライブだ。お客さんがパンパンの状態でネタを披露する機会があまりない。他の芸人達に比べて圧倒的に舞台に立った数も少ない、といった明らかなデメリットがある。これはもうデメリットとして認めるしかない。
僕らがKOCの2020年で負けて翌年に勝てたのは、その間に映像コントを作り込んでいたからだ。その時に学んだことをめちゃくちゃ取り入れたらウケた。
他の芸人達のネタを見て「劇場だったらウケてるんだろうな」と思うことが多々ある。
そもそもキングオブコントやM-1はそこと全くもって質感が違う。
勝ち戦しかできない環境ってのも結構やばいよって話だ。
低刺激な毎日が自分を「芸人」だと勘違いさせるくらいだったら、「芸人になりてえ」って思ってる人の方が絶対おもろい。今はそうじゃなくても外側から全員ぶち抜けると俺は思っている。
あと、社会人としての振舞いや面構えってのは絶対必要。
本当にイカれてる奴は賞レースで絶対に勝てない。
俺は「お笑い」という業界にも社会性が必要であることに一時期絶望してたけど、今はある程度清潔感を出そうとか、言葉遣いをちゃんとしようとか頑張ってる。売れてる芸人はみんな清潔感がある。ないやつは賞レースで勝てない。それは売れそうじゃないから。だからM-1の一回戦は、無名なやつ程めちゃくちゃ綺麗なスーツとか着た方がいいと思う。そうしないと、お客さんは見てくれない。なんの話だ。これもまあやりようはあるって話だ。
でも絶対場数で負けてしまう部分もある。絶対。だから今年は単独ライブをやることを決めたり、できるだけライブに出ようと思っている。
あともうYouTubeとかなんでも、自分を出す環境が死ぬ程整っているから、売名的なことに関してはアマチュアもクソもないと思う。
ここに関してはとてつもなくフラットだから、なんの言い訳もできない。
全員にチャンスがある。
そもそも僕は賞レースが全てだとは思わない。めっちゃ憧れはあるけど。
だから去年のM-1のダウ90000はほんとに上手だなと思った(ほんとに漫才が好きで出たのが一番なのは勿論!)。
とにかく、人を集められればいい訳だ。「僕達は人を集められます!!」ということが広がっていくと、「賞レース合戦」からも抜け出すことができる。
僕の夢は単独ライブで好きなネタを大勢の前で披露する、それを毎年やる、バカリズムさんとライブをする。とかだ。場所はなんでもいいから、とにかくネタを作りたいし、おもしろいと思われたい。
要するに「賞レースへの取り組み方」も一つではないということだ。
俺は優勝狙ってるけどな!!!!!!!!
ちなみに僕達の映像コントのクオリティが年々上がっているのは、彼らが機材を買ってくれているからである。
売れていない若手の中で最も映像の質感がいいのはプールサイドで間違いないと思う。それは彼等が月曜日から金曜日、お笑いの世界とは全く違うところでで戦っていてくれているからに違いない。ありがとう。マジで。
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新しめのコント。よかったら見てください。
プルサイ多分二年後に完全売れてるから応援お願い致します。頑張ります。
落合諒です。お笑いと文章を書きます。何卒よろしくお願いします。