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11月15日 ケーキドーナツカッコヨン

スーパーに行くので何か、と言われ、ドーナツ4個買ってきてと頼んだものの、スーパーにドーナッツなんてありませんっとピシャリとされてしまうか、単品のドーナツ4個を買ってこられるのが関の山。私が欲しているのは、ベージュ、茶、ベージュ、茶と交互に並び、ドーナツ3つ分のスペースに4つのドーナツが押し込められた、「ケーキドーナツ(4)」なのである。
私の旦那になりたくば、私に適した女でありたければ、「おい、そこの俺が最も愛している女っ!ケーキドーナツカッコヨンをこうてこんかいっ!」という号令に対し、「はい。ケーキドーナツカッコヨンを買って参ります。」と粛々とスーパーへと足を運ばなければならない。

「おお、帰ってきたか、どれどれ、ムム、待ちなさい、どうしてケーキドーナツカッコヨンが二つもある、お前も食べるのか?これは一気に4つずつ食べる品物ではないぞ。大の男である私でもイケて(3)。左から順当に食べるから、残りの茶色いのは夜にでも食べるつもりではあるが、お前も食べたいのであればこの(1)をやっても良いのだぞ。」と妻に聞くと、
「いえいえ、私は食べません。あなたは真昼間になるといつもケーキドーナツカッコヨンの令を発するでしょう?働きもせず。とほほ。なので食べたい時にすぐ食べれるように、明日の分も買ってきたのです。」

「結構結構。聡明聡明。だがこれではケーキドーナツ(8)だなあ。私はケーキドーナツ(4)を頼んだはずだが。目の前に(8)があるとだな、私は半ばパニックのような状態になってしまうのだよ。私は仕方なく、自然の、摂理に従って、左からベージュ、茶、ベージュと食べている訳だけども、場合によってはだな、ベージュ、茶、茶と行きたい日もあるのだよ。しかし、それでは一度袋からドーナツを取り出さなくてはならないだろ?そんな旦那が見たいか?平日の真昼間から、背中を丸め、部屋の四隅で小さくなっている男が、「今日はベージュ、茶、茶といきたいなあ。」なんてことを思いながら、袋からドーナツを取り出す様をお前は直視出来るのか?私は、反省するような思いで、例えどんな時であってもベージュ、茶、ベージュといくのだよ。だけどよお、お前(8)あったらなあ、2袋同時開けなんてことも出来てしまう訳だよ。そうなったら猿だよね。もう。猿。ウキキ。」

「では私も食べましょう。あなたにはこちらのケーキドーナツカッコヨンを、私はこのケーキドーナツカッコヨンを。あなたがこれから食べるドーナツの数を(x)とします。(y)である私はあなたとイコールの関係を築きます。」

「つまり、x=yということか?」

「そうです。」

「xである私が、君であるyまで食べたくなってしまったら、どうする?」

「yである私が、xであるあなたを食べます。」

「おい、女っ!愛してるぞ。」


落合諒です。お笑いと文章を書きます。何卒よろしくお願いします。