ミックス犬
公園でコントの撮影をしていたら、犬とおばさんが近寄って来た。犬が先だった。真っ白の小さな犬だった。小型。
犬種を聞くと「トイプードルとポメラニアンのミックス犬なんですっ!」とおばさんは言っていて、ミックス犬って言葉は実は結構ヤバイ言葉なんじゃないか?この犬の前でミックス犬とか言っていいのだろうか?とかをうっすら思いながら「可愛いですね」と本当のことを言った。
彼女が言うには、この犬は、犬が嫌いらしく、人間が大好きで仕方がないらしいのである。
「うちの犬も同じなんです~笑」みたいなことを相方が言っていて、なんだか胸がムズムズする。相方が目の前で知らない大人と、フォーマルかつフランクな会話をしているところを見ると、いつも悪態をつきたくなるこの気持ちは一体なんなのだろう。
この前行った、オシャレなカフェのお姉さんとも相方は上手に話していた。その時も無愛想な人間をつい演じてしまった記憶がある。確か「あ、○○って書いてある!!」とお姉さんが僕のTシャツのロゴについて言及したのだが「はい。」で終わらせたはずだ。完全に俺が間違えているのだけど、漠然とした会話やめません??ってずっと思ってる。気さくって手抜きだな。相方がいてくれていつも助かっている。
その犬はどうやら本当に人間が大好きらしく、僕や相方にベッタリくっついてきた。おばさんが「もう行くよ」とリードを引っ張っても、一向にその犬は僕の元を離れようとしなかった。「いっつもこうで散歩にならないんですよ~」と彼女は言っていた。
ある程度撫でたあとに、おばさんに半ば無理矢理引っ張られるようにして、その犬は僕達の元を離れていった。
僕達から離れて少ししてから、遠くの方でおばさんがその犬にお菓子をあげているのが見えて「あの犬は人に懐いたらお菓子をもらえると認識してるんじゃないか?」と相方がボソッと言った。
その瞬間に「してやられたっ!!!!!!」「あいつらめ」となぜか思ったのだが、よく考えたらおばさんも被害者のようなものだった。犬との共闘ではないから。個人戦。
落合諒です。お笑いと文章を書きます。何卒よろしくお願いします。