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[ビジネス考察vol.2]株式会社ダイヤモンドブルーイング(アグリテック)

【はじめに】
FUNDINNOではアグリテック企業の調達実績もあります。
同社はその中でも『農業(6次産業化)』にアプローチしている企業です。

[株式会社ダイヤモンドブルーイングHP]
http://diamondbrewing.jp

[FUNDINNO募集ページ](*募集は終了しております。)
https://fundinno.com/projects/138

代表画像

【出会い】
代表の鍛島さんとの出会いは、コーンテック社の吉角さんからの紹介でした。
彼らは地元の同級生で、互いに経営者としても切磋琢磨している良き友人関係にありました。
二人に共通していたのは『熊本を盛り上げたい』という志でした。
そのためのピースが足りない、その手段の一つがエクイティファイナンスでした。

車で熊本県内を案内して頂きながら、ファイナンスだけでなく経営についても様々話をしました。
その中で印象的だったのは熊本地震の支援活動でした。

熊本は農業県ですが、それだけでは「クラフトビール(農業の6次産業化)」には至らなかったと思います。
元々飲食業の経営経験があり、海外でビールが人々を笑顔にする経験、それに加えてビールを通じて熊本を世界にアピールしたい、という信念が合わさってできたのでしょう。

img-ダイヤモンドのビール_600

海外ではECFで調達している有名なクラフトビールの会社もあり、既に展開されている飲食事業も注目を浴びていたので期待値は高かったです。

・事業のユニーク性:B
・ビジネスの蓋然性:B

一方で心配だったのは、いち飲食店オーナーから脱却できるか、でした。
事業の成長モデルがイメージできているのか、ちょうどコロナが出始めたタイミングでもあったので、出店戦略(労働集約型)ではないだろうか?
ご本人の意向が一番重要なので、どのように考えているかを聞いた上で判断、必要であればアドバイスをしようと考えていました。

img-六次産業化_0527_1806

【事業紹介】:クラフトビール(農業の6次産業化)
同社では飲食業(2店舗)とクラフトビールの卸(一部直販)をしています。
鍛島さんは『ビールは農業だ』と掲げており、単なるクラフトビール会社ではなく、熊本県をPRする地方創生ビジネスです。
原料となる作物もそうですが、熊本には綺麗な地下水があります。

[出典「世界に誇る地下水都市・熊本」:https://www.city.kumamoto.jp/kankyo/hpkiji/pub/Detail.aspx?c_id=5&id=20463]

大手ビールメーカーのサントリー社も工場も構えており、ビールの命となる水にも恵まれています。

付加価値

ビジネスモデルとしては、規格外野菜や地域の特産品を原料とし、作物のブランド化、付加価値の創出をする、プラットフォーマーに近い側面があります。
クラフトビールブームもあり、醸造所が急激に増えました。
[出典:https://www.newsweekjapan.jp/nippon/mono/2017/02/187226.php]

一方で初期投資が大きかったり、小規模なところも多く統廃合も進んでいます。
考えられる課題としては、

・経営の課題(コンパクトな経営)
・職人気質(マーケティング力)

です。

翻って同社では、既に醸造所 兼 店舗の旗艦店と熊本市内の有名デパートと二店舗経営しており、県内の食べログで一位を取ったりと実績がありました。

img-ワールドビアターミナル_600

[差別化]
店舗の実績もそうですが、海外販売(イタリア、フランス)の実績もありました。

img-海外展開の動き_600

また、卸売り(toB)が好調でした。
そのために醸造量が右肩上がりでした。

img-ブルワリー設備_600_のコピー

調達後はコロナもありましたが、現在の生産キャパを超える発注が来ており、失注がある(機会損失)が出ている状態でした。
熊本県内を車で走り回ったのは観光ではなく、醸造所の下見でした(笑

その他にも行政との連携や、
[参照「くまもと経済」:http://www.kumamoto-keizai.co.jp/content/asp/dejikame/dejikame_detail.asp?PageID=20&Knum=19188&PageType=top]

CAMPFIREで熊本の飲食として最高額を集めていました。
[参照:https://camp-fire.jp/projects/view/36296]

事業展望と経営努力、そして人間性を総合的に判断し、応援することを決めました。

【個人的に評価した点】
これまでにだいぶ紹介してしまいました(苦笑
一方で大型の設備投資も伴い、且つ事業としては時間もかかるためVC等は出資しにくいモデルです。
なぜECFなら調達できたのでしょうか?
口説くない程度に改めて説明させて頂きます。

[いち飲食店オーナーから脱却]
前出の通り、事前に考えていたことがクリアになりました。
市内の店舗はより経営努力を感じました。
(*詳細は企業秘密なので控えさせて頂きます。)

[地方創生]
社会起業家が取り上げられる場合が多いです。
熊本地震の支援活動の話を聞いたからより明確でしたが、慈善活動とビジネスは明確に分けていました。
だからこそ、持続性や再現性、拡張性が保てるのだと感じました。

[第二の・・・]
クラフトビール×株式投資型クラウドファンディングでは有名な成功事例があります。

[英BrewDog(ブリュードッグ)]
https://business.nikkei.com/atcl/book/16/092100001/092100002/

クラフトビールは嗜好性の高いファンビジネスです。
英社はECFだからこそ調達でき、成功できたのだと思います。
(既に様々な記事があるので詳細は割愛します。)

また、国内でも動きは活発です。

[ヤッホーブルーイングの買収]
https://foosta-ma.com/macolumn/20171011/

[オリオンビールの買収]
https://www.asahi.com/articles/ASM1R4SPSM1RTIPE018.html

前例もあり、国内のクラフトビールに関してはどこかが独り勝ちをしていない。
海外展開も含めてマーケットとしても十分期待できる、と考えました。

【調達に至るまで】
実はトントン拍子には進みませんでした(苦笑
熊本が本社のためにコーンテック社の調達後の視察と福岡出張に合わせて熊本に伺いました。
ここで先述の車の下りがあるのですが、紹介と言えどかなり警戒されていたと思い思います(笑

エクイティによる調達の必要性を感じている一方、経営者として軽はずみで動かない、大切な姿勢だと感じました。
裏で先に調達された吉角さんに何度も相談されたそうです。
二ヶ月後にまた熊本に行き、そこでようやく腹を決めたと意向を聞きました。

ただ、初めて外部から出資を受けるので、進め方もかなり慎重でした。
7割理解ではなく、しっかり理解してから進めようという姿勢が見え、個人的には好印象でした。

【調達その後】
飲食業をしているのでコロナの影響を受けました。
FUNDINNOでの調達時にちょうど一度目の緊急事態宣言で悩ましい時期もあったと思います。
ただ、緊急事態宣言が明けてからはほぼ前年比並みに戻る等、人気が受け取れました。
また、二度目の緊急事態宣言の前から食事(料理)のECをスタートしたり、事前に対策を打っていました。
(近日中にクラフトビールのECも開始予定)

フェス等がなくなったので影響があるかと思った卸は変わらず引き合いが多いそうです。
事業計画にある通り、2024年に大型の工場を製造するに向けて生産量を確保する動きも大詰めで、失注を埋めるだけでなく、toC向け販売へも準備万端になります。

とにかく県内での鍛島社長の注目度、知名度には驚かされます。
直近でもくまもと経済に掲載され、地元の有力企業や自治体からの引き合いがあったそうです。
4月には新幹線停車駅の熊本駅ビルへの出店も決まっており、有力な先との連携もあるので同社としては飛躍の前の準備が整う年になるのではないでしょうか。
(参照:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC1419J0U0A211C2000000)

【所感】
同社は地方発ベンチャー、アグリテック、ファンビジネスの観点があります。
鍛島さんの挑戦は多くの地方型ビジネスにとって勇気づけられる存在だと思います。

個人的にアドバイスしていることの一つに株主優待の活用があります。
なかなか全国から店舗にお越し頂けない状況なので、クラフトビール&食事のECに使えると良いのではないかと思っています。
是非、応援団である株主の方々に自社を全国に広めて頂く手伝いをしてもらえたら良いですね!

【最後に】
自他推薦問わず、話を聞いてみたいという方はお気軽にご連絡ください。

[FBアカウント]https://www.facebook.com/fumiya.ochiai
[twitter]https://twitter.com/aji0331

**注意書き**
本記事は事業の紹介が目的であり、事業の成功の確約や投資勧誘を目的としたものではありません。
そのため、これから調達をご検討される方にイメージがつきやすいような構成にしております。

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