大きなスケールの魅力
わたしは大きな絵をみるのが好きだ。高校の頃から訪れてみたかった青森県立美術館で、シャガールの巨大な背景画をみてぼんやりと思った。
学生時代、建築のことを学んでいくうちに、人間の心理や空間の捉え方のような、小さいけれど空間をつくる上で大切なものごとへの興味は湧いたものの、スケールの大きなものをつくることへの興味はあまりなかったように思う。
だから、大きなスケールを目の当たりにした時の没入感は、自分にはないものさしに触れられるような興味深さがあるのかもしれない。
渋谷駅の岡本太郎作品といい、今回のシャガール作品といい、しばらく立ち止まってその場所に居たくなってしまう不思議な引力を感じる。
みるというよりも、自分ひとりでは到底手に負えないような、圧倒的エネルギーをその場で感じ取りたくなるイメージだ。
絵ではないけれど、クリスト夫妻の作品にも、そのスケールの大きさに心惹かれるものがあった。建物や海岸など、ありとあらゆるものが布で梱包されることで作品が生まれるのだ。
包むことで魅せるなんて思いもよらなかったし、そのスケールの大きさから、地球の一部を覆っているようにも見えた。
もう叶わないけれど、2021年にパリの凱旋門が包まれた時、その場に居たかったなと思う。
引力のような魅力を感じるものや場所は、いつまでも存在し続けてくれるわけじゃない。
だからこれからも探し続けたいし、足を運びたい。
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