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中年医師、新しい分野に挑戦する

近年、自分の仕事の専門を大きく変えました。呼吸器内科の臨床をやりながら、感染制御や抗菌薬の適正使用など、感染症も重きを置くこととしました。後者としてのキャリアは全くありません。
紆余曲折ありますが、なんとか医師としては「正統派」の範疇に入るキャリアだったと思っていた自分でしたが、そろそろ迷走と言われても仕方ないレベルですね。いや、もとから迷走してますか。

新しい分野を始めれば、またゼロからのスタートになります。かなりのハンデがあるスタートです、、、、って昔は思っていました。
でもね、中年になって思うんです。それってトップランカーと競争する視点ですよね。同じことをしたって、もうとっくに若者には敵いません。
今からトップジャーナルに採択されるような働きなんてとてもできるわけじゃないですし、競争する意味はなんてありません。

競争相手は同業種でもなんでもない。昨日の自分です。一つでも賢くなるために、泥臭く努力していくしかないんです。
でも、中年ってほんと残念なことに、昔ほど冴えが全くない。本に書いてあることがスッと頭に入ってくることはないし、同じような間違い、勘違いを何度も繰り返すし、忘れるし、どうしようもないんです。

そんな自分ですので、なりふり構わずに生きています。どういうことかというと、分からないことは調べるけど、調べ切らないうちに、ポイントを絞れないうちについつい質問してしまいます。質問をしているうちに自分が知りたいことが分かってくるのです。いや、それ順序逆ですよね。全くクールではない。あんまりしつこいと、質問される側も距離を置きたくなりますよね。

ですが、もうわかっています。自分の中でわからないポイントを絞れるほどには、もう頭は良くないのです。
1つの単語でもググります。なんでもUptodateで調べます。自分で勉強のポイントなんて絞れません。若手やトップランカーの先生がたのブログの記事から勉強します。他人の勉強したものを少しでも自分のものにするんです。

昔と違い、自分から発信できる情報なんてたかが知れています。だけどもう、しょうがないじゃないですか。
だからもう、中途半端な演題で学会に繰り出し、いろんな先生と出会いたいと思います。調べた分野でいろいろ話し合いたい。そして質問したい。

もう、なりふり構わない。
僕を知っている人が居ましたら、こんな情けないやつですがどこかでお見かけしたら、なにとぞよろしくお願いします。会える日々も有限じゃないですか。

ぼんやりと過ごしていると、自分が居なくなってしまいそう。なりふり構っていないと、忙しくしないと、自分が居なくなってしまいそうでただ怖い。それに抗うのは、昨日の自分より賢くなる他にないのだ。

中年はとにかく忙しい。忙しくするしかないのだ。



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