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ショートショート 『断捨離の妖精さん』

「断捨離の妖精さん、お願い!部屋がすっきりしますように」
「使うかも知れないから捨てられない!」
「ほとんど使ってないけど、値段を考えるともったいなくて手放せない……」
「プレゼントや思い出の品、捨てるのは罪悪感がある!」
「この余分なお肉を断捨離したい〜」


今日も断捨離の妖精さんのところには、日本中からさまざまな願いが届きます。

不要なものを捨てると、気持ちも空間もすっきりします。

お部屋ならスペースが広がるし、机の上なら勉強が捗ります。
それだけじゃなく、体に付いた余分な脂肪を落とせば、軽やかに動けるようになることも……。

断捨離をしたいと思うのは、ごく自然のこと。
なぜなら、その先には心地よい変化が待っているってわかっているから。

お願いごとが聞こえると、断捨離の妖精さんはテレパシーでヒントを送ります。

「まずは使うもの・使わないもので分けよう!」
「小さなエリアから始めてみようか」
「今日は5つだけ捨ててみよう!」
「リサイクルやメルカリに出せば、手放しやすくなるかも」
「駅では階段を使おう」

そんなアドバイスをそっと届けます。
重症な人には、最後の手段「専門家に手伝ってもらう」という方法も。

でも実は、断捨離の妖精さん自身も、断捨離が得意なわけではありません。

どんなに小さなものでも、思い出が詰まっていると処分するのは気が引けます。使わないけど、可愛い小物は残しておきたい。
ものを大切にしたい気持ちも、よくわかるから……。

だからこそ、妖精さんはどんなお願いも大切にします。
妖精さんにとっては小さなお願いも大きなお願いもありません。
同じお願い事だって、何度でも叶えてあげたい。


だから、今日もそっとアドバイスを送ります。

「1分だけでもやれたら、すごい!」
「あなたは、やればできる子!」

今日も妖精さんは大忙し。

あなたが不要なものを整理して、心がすっきり、お部屋もキレイになったら——その時はどうか妖精さんに「ありがとう」と伝えてくださいね!
 


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