【遊戯王OCG】遥かなる交信!『Voyager Record』【デッキ解説】
ご無沙汰しております。いなごです。
デュエリストとして、ちゃんと生きてます。そろそろ動画投稿も再開していきます、よろしくお願いします。
「ジェネクス」デッキ構築の特異点
デッキは組めど回せど終わりがない、更新の余地が見出せず泣く泣く手放すデッキも数多。みなさんにも、そんな『デッキとの別れ』を経験した事があるのではないでしょうか。
自分なりの「ジェネクス」として長年使ってきたこのデッキも、そんな憂き目に遭っていました。
「水晶機巧-ハリファイバー」の禁止カード指定以来、明確な着地点が宙に浮いていた中で、もはやこれまでといったところ、「TERMINAL WORLD」なる商品展開の一報が。
選ばれた新規カードラインナップのカテゴリに、彼らはいました。誰もが望んだ、圧倒的な力を以て。
「ジェネクス」にとって悲願だった召喚権の問題を1枚初動として解決した「リペア・ジェネクス・コントローラー」の登場は、まさに革命の一言。それをこのバランスでデザインできたのは、時代のなせる業でしょうか。
これまで新規カードの登場を切望されながら全く音沙汰がなく『忘れられたテーマ』とされていた彼らが、今ではトーナメントシーンにも殴り込みをかけるような前のめり構築がデフォルトとなるほどの変貌ぶり。
同時に、自分にできる新たな「ジェネクス」デッキ構築への熱意も高まり…生まれ変わったデッキがこちらです。
デッキレシピ
事実上消滅となったいわゆる【コアガジェット】型構築を捨て去り、従来とは全く違う、セットコントロール色を強めたデッキへと変化。
それに伴い、かつての「ジェネクス」Sモンスターから「ウィンドファーム・ジェネクス」を今回の主役としています。
両者のセットカードを維持して「ウィンドファーム・ジェネクス」の攻撃力アップにつなげ、コントロール奪取の要素で「宇宙との交信」とコンボして展開力に変換します。
初動となる「ジェネクス」モンスター1体から、主に上記のような盤面を目指します(一部表示省略)。これらに加えて、使用していない初手のランダムな手札4枚がくっつくイメージです。
「シューティング・ライザー・ドラゴン」のレベル変動効果は基本的にレベル6を墓地へ送りますが、レベル4を墓地へ送る場合もあります。
「リペア・ジェネクス・コントローラー」の縛りが解除される相手ターンでS召喚する動きを待機させ、様々な組み合わせで相手の動きに対応していきます。
採用カード 「ジェネクス」編
S召喚自体の難易度が高く、①と②の効果がかみ合っておらず、手札を消費するためアドバンテージにつながりにくかったこのカード、そんな三重苦の評価も今は昔。
「リペア・ジェネクス・コントローラー」の手にかかれば、手札に加える効果を持つ下級4種のどこからでも1枚から想定盤面に着地できる上に、その他Sモンスターの2体や3体は余裕で並びます。なぜか手札も増えるので、1ターンの発動回数に制限がない破壊効果も魅力的に映ります。
これまで確保に躍起になっていた「サモンチェーン」の考慮が不要となったのも大きいでしょう。縛りを受け入れるからこそ実現できる布陣で、このカードのポテンシャルを最大限に引き出していきます。
条件さえ満たせば、回数制限なく手札を補充できる効果はとても魅力的。しかし、除外のデメリットは無視できないもので、無限ループのようなコンボを前提としない限りはそのターンの最後のムーブとして使用するのが無難です。
ターンを跨げば「ウィンドファーム・ジェネクス」の手札コストとして有用であり、レベル4の「ジェネクス」チューナーとみなす事もできるので、「A・ジェネクス・アクセル」を出しやすくなります。
大型の「ジェネクス」Sモンスターを呼び出すうえで重要で、特に「レアル・ジェネクス・クロキシアン」との相性は最高です。
高レベルの闇属性モンスターを置いておけば、細かなレベル調整効果を駆使しつつ相手モンスターを奪う妨害手段となります。
「レアル・ジェネクス・オラクル」が出るパターンを選択した場合、「ウィンドファーム・ジェネクス」を素材にしてこちらを出すことも可能。前回構築時から主役の座は下りたものの、蘇生対象の質は今回の方が何倍も上です。
「レアル・ジェネクス・チューリング」の登場で、チューナー以外の闇属性モンスターとしてこのカードを「レアル・ジェネクス・クロキシアン」のS素材にできます。
採用カード アクセルシンクロ編
初動展開後の布陣から相手ターンに呼び出すSモンスターたちについてここで触れます。
レベル1となった「シューティング・ライザー・ドラゴン」と、召喚ループの最後に出た「レアル・ジェネクス・クラッシャー」でS召喚可能。同様のアクセルシンクロ効果を持つので、さらに大型モンスターへつなげていきます。
②の効果で墓地からもう1度S召喚の機会を窺うこともできます。縛りは特にないため、「暗影の闇霊使いダルク」の素材にしてしまってもOK。
レベル1となった「シューティング・ライザー・ドラゴン」と「氷結界の虎王 ドゥローレン」で、もしくはレベル3となった「シューティング・ライザー・ドラゴン」と任意のレベル4でS召喚可能。
「リペア・ジェネクス・コントローラー」からスタートするので条件を自動的にクリアしつつ、自軍のモンスターを強力にバックアップ。
早々に狙われやすいカードですが、「レアル・ジェネクス・チューリング」をさらに重ねて、「レアル・ジェネクス・クロキシアン」になれます。
「宇宙との交信」とコンボできるキーカードの1枚。
対象を取らない効果であり、登場当時から『呼び出せたら強いカード』だったのですが、「レアル・ジェネクス・チューリング」の登場により相手ターンでの妨害手段として確立しました。
メインデッキから投入される高レベルの切り札や、融合・S召喚を得意とする相手に有効な一方、X・Lモンスターには無力のため注意。得手不得手がはっきりしている分、そこはプレイングでカバーします。
レベル3となった「シューティング・ライザー・ドラゴン」または「燐廻の三弦猫」と、「氷結界の虎王 ドゥローレン」でS召喚可能。
昨今では「七精の解門」や「タリホー!スプリガンズ!」、「合成獣融合」など、デッキのエンジンとなる魔法・罠カードは多く存在し、一度サイクルを許してしまうと手数で押し負けるなんて事もしばしば。このカードはそんな相手に対して致命的な一打となります。
②の効果は「トラップトラック」で自壊しても発動でき、その蘇生範囲の広さで戦線維持に貢献します。
「燐廻の三弦猫」や「レアル・ジェネクス・チューリング」と、「ウィンドファーム・ジェネクス」でS召喚可能。「レアル・ジェネクス・クロキシアン」で対応できない相手にはこちらを選択します。
属性の種類だけモンスター効果を無効にできる制圧能力の高さが際立ちますが、現代では属性統一デッキのような、縛りを設けつつより爆発力が高いデッキも多いため、完全無欠とも言い切れません。
②の効果で魔法・罠カードへも対策ができますが、このカード自体に耐性はないので注意。「ウィンドファーム・ジェネクス」同様、「トイ」モンスターの破壊に貢献します。
採用カード 「トイ」編
主役たる活躍を目指して「ウィンドファーム・ジェネクス」自体の攻撃力底上げも狙いたい…そんな時に現れたのがこの「トイ」カードたちです。
「マジシャンズ・ソウルズ」との相性の良さが語り草となっているカードですが、このデッキでは、セットされるカードそのものとのシナジーが強く発揮されています。
一瞬でカードを2枚セットでき、「ウィンドファーム・ジェネクス」の攻撃力2600を保証しつつ相手の攻撃の手を緩める手段として、十分にメリットを享受できます。
発動回数の制限は同名縛りではないため、複数枚発動したり、戻して再び発動する事で稼げるのもポイント。ダブりが気にならないのはとてもありがたいですね。
セットされた「トイ」モンスターたちは「ウィンドファーム・ジェネクス」の効果で自ら破壊してもよく、それによって「トイ・ボックス」側はセット効果に傾注できます。
「トイ・ソルジャー」の追加効果から「魔鏡導士サイコ・バウンダー」へのアクセスが可能で、「宇宙の法則」や「宇宙との交信」までの中継として重要な立ち位置になっています。
「トイ・タンク」は、追加効果含めて広い範囲のモンスターを臨機応変に特殊召喚可能。特に墓地の「氷結界の虎王 ドゥローレン」が対応している点は見逃せません。
フィールドに置かれている「トイ・ボックス」や「宇宙との交信」といった永続魔法を戻し、再びセットして「ウィンドファーム・ジェネクス」のさらなる攻撃力アップが見込めます。
採用カード 「人造人間」編
相手のセットカードへの牽制については、「人造人間」カードたちで構成しています。これが割と頼もしい。
「人造人間-サイコ・ショッカー」の永続効果により、お互いのフィールドにセットされた罠カードの発動を封じます。
これで「ウィンドファーム・ジェネクス」の攻撃力がさらにアップ。攻撃を通しやすくなると同時に、メインフェイズ2で「ウィンドファーム・ジェネクス」の効果できれいに掃除してしまえるのもナイス。
闇属性レベル6というステータスは「レアル・ジェネクス・クロキシアン」のS素材として適任で、「レアル・ジェネクス・チューリング」があれば相手ターン中のエスケープ兼妨害手段として活用できます。
「人造人間-サイコ・ジャッカー」は、上級の展開サポートになりつつ「脅威の人造人間-サイコ・ショッカー」の効果を一瞬で達成できるので、伏せカード対策としてより強力なプレッシャーに。「ラビュリンス」を筆頭に罠カードを主戦力としているデッキにとっては文字通り脅威となるでしょう。
「魔鏡導士サイコ・バウンダー」はコンボの中核となる「宇宙との交信」を手札に加える事ができます。準備が整っていなければ、「宇宙の法則」を加えて「人造人間-サイコ・ショッカー」へアクセス。
このカードを含め盤面にモンスターが複数並んでいる場合、②の効果が有効に。自身への攻撃による潰しは「トイ・ボックス」によって返り討ちにでき、「サイバース・クアンタム・ドラゴン」と並べばより強固となります。
①の効果により、このデッキに散りばめられたコントロール奪取とコンボできるカード。コストで自分フィールドのモンスターを相手の墓地へ送るため、「レアル・ジェネクス・ウンディーネ」の除外デメリット中でも発動可能です。
「レアル・ジェネクス・クロキシアン」とコンボできる他、「心変わり」の制限解除の後押しもあり、コントロール奪取は今アツい。
「ジェネクス」Sモンスターは軒並み機械族であり、「トイ・タンク」ではカバーできないレベル7以上の「ジェネクス」Sモンスターにとって重要な蘇生手段で、その他候補は多岐に渡ります。
採用カード その他
その他採用カードたちをつらつら挙げていきます。お時間ありましたら。
「ジェネクス・ウンディーネ」や「シューティング・ライザー・ドラゴン」の効果で墓地へ送る有力候補。
セットされた「トイ」モンスターを破壊できる手段として、この1枚で完結できるほどの取り回しの良さがあります。
①の効果は、相手からデメリット持ちを送り付けられた場合の解決策として思わぬ活躍も。「宇宙との交信」も似た役割を持てる上に、このカードをランク6のエクシーズ素材としてデメリットを回避しつつ、「交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン」となってコンボできます。
相手モンスターを有効活用でき、自身も間接的なコントロール奪取効果を持っています。
①の除去効果は種類問わず除去が狙えるため、終盤の攻めに添えるには適任です。
「トイ」モンスターをコストにすれば、相手モンスターを弱体化させつつ特殊召喚でき、そのまま戦闘破壊も狙えます。
「人造人間-サイコ・ショッカー」がいる状態でも相手ターンに使える無効札として腐ることはまずなく、助けられた場面も多くあります。
「人造人間-サイコ・ショッカー」との兼ね合いから、速攻魔法で汎用的な蘇生効果持ちは貴重。あちらを特殊召喚しても永続効果を阻害しないので、お互いにメリットがある組み合わせとなっています。
相手の墓地から特殊召喚すれば、それを「宇宙との交信」のコストとして利用できます。
蘇生できるモンスターは戻した種類に依存するものの、相手の墓地からも特殊召喚可能。Lモンスターへの対処は主にこのカードが有効です。
稀に自分のモンスターをバウンスする手段として利用することも。
「トラップトラック」登場で株が急上昇した1枚。そのままデッキの任意のレベル4を特殊召喚できるので、「トイ・ソルジャー」を呼び出せるカードとして採用。
発動の契機となる「トラップトラック」は、「水晶機巧-フェニキシオン」とコンボしながら大量展開を狙う事ができます。
「幽世離レ」は、耐性をほぼ無視して相手モンスターを除去できるのはもちろん、このデッキでは後続をセットしつつ「ウィンドファーム・ジェネクス」の攻撃力を担保できます。
その際に「レアル・ジェネクス・オラクル」を戻せば、「レアル・ジェネクス・ターボ」の効果も復活できます。
後続となる「現世離レ」も、相手のカードをセットカードへ変換でき、やはり「ウィンドファーム・ジェネクス」の攻撃力アップに貢献します。
「人造人間-サイコ・ショッカー」戦術の延長的要素で採用した1枚。
手札からも使えるのは優秀で、相手がセットを増やしてもこのターンは安全に動けるので問題なし。「ウィンドファーム・ジェネクス」の活躍の場を1枚で完璧に演出してくれます。
「シューティング・ライザー・ドラゴン」や「魂の綱」でアクセス可能。「A・ジェネクス・アクセル」「トイ・タンク」の効果に対応するので、特殊召喚自体は容易です。
隠し玉としての運用が前提ですが、「レッド・リブート」発動ターンであれば①の効果発動の助けとなりつつ融合モンスターでリーサルを狙えます。
「ダイナ・ベース」の効果で、「レアル・ジェネクス・マグナ」を含んで融合召喚可能。前回構築時は「起爆獣ヴァルカノン」が採用されていたり、この辺の要素とは何かと縁がありますね。
デッキの特性上フィールドのカードの枚数を重要視するため、かなりのバーンダメージが期待できます。
ワンショットレベルの攻撃力は叩き出せないため、こういったキルラインを下げるサブギミックが意外と重要だったりします。まあ最近は「リミッター解除」くらい入れてもいいかなと思ったりはしてますが。
上記2枚は現状自由枠で採用しています。
「鬼動武者」はレベル7のS召喚が狙いやすいためその択として。②の蘇生効果をあてにしつつ、積極的に突っ込んでいけるので素直に使いやすいカード。
「氷魔龍 ブリューナク」は、②の効果を「トイ・タンク」でクリアできるため相性は良く、初動の中継ぎとしてセーフティネットの役割も持てています。
あとがき
以上、解説でした。
生きる「サモンチェーン」の登場という前代未聞の強化により、このデッキに限らず「ジェネクス」デッキの可能性は無限大になったと思います。
今回は「ウィンドファーム・ジェネクス」に焦点を当てた構築だったので、いずれ別の「ジェネクス」デッキも構築できたらいいなと考えています。
デッキ名の由来は、1977年に打ち上げられた2機のボイジャー探査機に搭載され、地球外知的生命体や未来の人類が見つけて解読することを期待し作成された、ボイジャー探査機のレコード盤から取っています。
デュエルターミナル史上では壮絶な戦いの末散っていった「ジェネクス」の勇姿を、未来のデュエリスト(開発陣)が汲み取り強化したと見立て、コンボの中心となる「宇宙との交信」も文字通りイメージに合うなと思って選びました。
ちなみに、太陽圏外への航行を続けているボイジャー探査機たちですが、2024年現在も稼働しているそうです(しかし、通信途絶など不測の事態がここ最近起きている模様)。
デッキレシピの最新版は公式DBで公開中。何かしら皆さんの参考となれば幸いです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!