Spirit of F【FOCUS ON:今野昭】
明治安田生命J1リーグから数えて「J8」の東京都社会人サッカーリーグ2部に所属しているTOKYO CITY F.C.。渋谷区をホームタウンに活動するクラブには、いったいどんな選手が在籍し、どんな思いを胸に秘めてプレーしているのだろうか。選手1人ひとりのパーソナリティに焦点を当てる連載企画「FOCUS ON」がスタート。第12回は川崎フロンターレU-18出身で今季新加入のMF、背番号19の今野昭に迫る。
かつての仲間に誘われて
兄にくっついてサッカーを知り、地元のセリエFCというクラブで本格的にプレーし始めました。それと並行して川崎フロンターレのサッカースクールにも通い始め、縁あって高校卒業までフロンターレにお世話になりました。
ジュニアユースとユース、フロンターレで過ごした6年間は今でも自分のサッカー選手としての考え方のベースになっています。
同期には現在横浜F・マリノスでプレーしている仲川輝人がいます。彼以外にも、周りは個性の強い選手ばかりで、みんなプロを目指して入ってきているので、常に刺激的な6年間でした。
どういった意識で練習に取り組まなければいけないのか、プロまでたどり着くために、自分がどんな努力をしなければいけないのか、その中でチームとしてどう動いていくのか。プロサッカークラブの一員として生活を叩き込まれました。
フロンターレを退団して亜細亜大学に進んでからも、プロになることを目指して4年間プレーしましたが、残念ながらそこにはたどり着けず。大学卒業後は早稲田ユナイテッド(当時関東サッカーリーグ2部)と横浜猛蹴(当時関東サッカーリーグ1部)でプレーしました。
TOKYO CITY F.C.のことを知ったのは、早稲田ユナイテッド時代のチームメイトだった裕太(#10 藤原裕太)に誘われたのがきっかけです。
早稲田ユナイテッドを離れてからは横浜猛蹴でサッカーを続けていました。でも、関東サッカーリーグ1部でやれているのに、それもなかなかモチベーションにつながらなかったんです。自分がそれまでに培ってきた価値観やサッカー観とクラブの方向性のズレが埋まらず、横浜猛蹴は1年で辞めてしまいました。
フロンターレ出身だからこそ
それから1年ほどサッカーから遠ざかっていました。そんな時、裕太からCITYの話を聞いて、クラブのあり方や目指している方向に共感しました。
さらに練習に参加させてもらった時、チームとしてもっとうまくなろうという雰囲気があり、全員が勝負にこだわっているのを見て、「自分はこういうクラブでやりたかったんだな」と思ったんです。CITY加入を決めるにあたって、プレーするカテゴリが下がることに対する抵抗も全くありませんでした。
やっぱりCITYで特徴的なのはピッチ上での結果を追い求めるだけでなく、ピッチ外での活動にも目を向けていることだと思います。社会人になってからオフ・ザ・ピッチのことも考えながらプレーすることはなくなっていましたし、何よりCITYは常に視野を広くとって面白いことをやろうとしているのを強く感じました。
自分はフロンターレ時代、「サッカー選手はオン・ザ・ピッチだけではない」というのを身近に見てきたのもあると思います。ユースでプレーしていた頃、トップチームの活動に少し関わったこともあったので、ファンサービスをはじめとしたピッチの外にある活動に参加するのも選手の役割の1つという考えを元から持っていました。
実際、CITYに入ってみて、東京都リーグのクラブでここまでやるんだと感じたことも多くありました。スポンサー含め応援してくださる方々がたくさんいて、クラブ内の人間も全員が「自分に何ができるか」を常に考えているのはすごいと思います。
チャレンジの1年に
僕は加入1年目で、新型コロナウイルスの影響で活動できなかった期間も長かったので、正直に言えば自分がどんな形で関われるかまだわからないところはあります。でも、クラブとして取り組もうとしている活動には積極的に先頭に立って参加していきたいですし、その中で自分がCITYに還元できるものを見つけていきたいと思っています。
green birdさんとやっている渋谷区内のゴミ拾いにも再開したら自分が参加できる日を楽しみにしていますし、定期的に開催しているフットサル大会などにも参加してみたい。昨年は代々木公園で開催されたイベントにも出演したそうですが、そういうのも面白そうですよね。いろいろなことにチャレンジできるのがCITYの特徴だと思いますし、やってみたいことはとにかくたくさんあります。
とはいえ、まずはピッチ上で結果を残すことが選手としては第一です。東京都サッカーリーグ1部昇格に向けて自分がどれくらいの力を注げるのか、結局はそこに尽きるんです。
練習試合にしても、ただ勝てばいいわけではなく、どうやって崩すのか、どうやってゴールを決めるのか、どうやって失点を防ぐか、細部にこだわっていかなければいけないと思っています。
自分のやりたいプレーを優先するのではなく、チームとしていかに勝利し、どうやったら目標を達成できるかが何よりも重要です。もうすぐ待ちに待った新シーズンの公式戦が始まるので、チームメイトのみんなとサッカーができる喜びを噛み締めながら、CITYで最高の1年を味わえるよう頑張っていきたいと思います。