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一年間限定の「友人」
人生を歩む中で,年を取れば取るほどいろんな人に出会う.
定期的に会う仲になる人もいれば,顔見知り止まりの人もいる.
「友人」とは何だろうか.出会ってから何年の仲になれば友人と呼んでいいのか.三週間程度でいいのか,はたまた三年は必要なのか.
皆さんの人生の中で,ある時期に一年間一緒にいたけれど,それっきりもう会ってない人はいないだろうか.僕の人生にはいる.
浪人時代に出会った人たちだ.
彼らとは予備校のカリキュラムで同じ授業を取っていたし,昼ご飯も何十回も一緒に食べた.
理系の僕は文系の人へ日本史の質問をして,向こうからは僕の下へ物理基礎を聞きに来るなんてこともざらにあった.
あの一年間は非常に濃かったし,彼らなしでは孤独の浪人時代になっていたはずだ.
18,19歳の若者が後の四年間のために彼らと共に一年間を費やした.
そう思うと,彼らとは只ならぬ貴重な関係でもあり,一方でその為だけの友好関係とも言えてしまう.
僕は予備校生活を終えてから彼らと一度も会っていない.連絡もここ4年間取っていない.
ここまでの20年以上の人生の中で,たった1年しか関わらなかったけど,彼らのことは当時の僕は確実に「友人」と認識していた.
しかし,もう友人と呼べるかどうか怪しくなっている.
どこで何をしているのか,何を生業にしているのか全く知らない.
今,僕の生活圏内で「友人」と認識している人も,もしかしたら今だけの友好関係かもしれない.
数年後には今の友人は「友人」とは呼べなくなり,今後出会う誰かを「友人だ」なんて言っているかもしれない.
友人とはコロコロ変わるものなのだろうか.
それとも一度「友人」と認識した人は,今後の人生で出会うことはなくともずっと「友人」と言っていいのだろうか.
「友人」とは何だろうか.
自分で答えを見つけたいから辞書で意味は調べたくない.