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巨大図書館とバス・ターミナル

SF小説 ボー・アルーリン

第23話 「巨大図書館とバス・ターミナル」

Date: 銀河暦12065年
Place: 惑星サンタンニ

ボー・アルーリンは久しぶりにサンタンニのレイチ宅を訪れた。広々としたリビングには、レイチの養子ホルクがいて、彼と親しげに話し込んでいる。二人の話題はおそらくホルクの得意なゲームについてだろう。ホルクが熱心に何かを説明し、ボーが興味深そうに頷いている。その様子を眺めていたレイチがリビングに入ってきた。

ボーは待ち構えていたように、話の矛先をレイチに向けた。「レイチ、以前、カレブという人物と面談したと仰っていましたね。もう少し彼についてお聞かせいただけませんか?面談の際、彼と話しているときに、あなたの思考や精神に何か妙な感覚を覚えたことはありませんでしたか?」

レイチは顎に手をやり、少し考え込んだ後、答えた。「そうだな、一つ感じたのは、カレブの反応が絶妙だったということだ。まるでこちらの思考が完全に見透かされているような感じでね。会話がすっと流れてしまうんだ。だけど、こっちは彼の思考を読めないんだ。」

ボーは深く頷いた。「そうなんですね。それは例のクルーソーという人物のときと同じですね。」

レイチはその名前を思い出しながら返答した。「ああ、クルーソーという紳士だね。」

ボーはレイチの言葉に反応し、少し声を落として続けた。「クルーソーは、銀河図書館ネットワークの構築を企んでいるんですよ。おそらく、全銀河規模の知識の集積を目指しているのでしょう。」

レイチは驚いた様子で目を見開いた。「そうか、図書館といえば、ここサンタンニでも大学とは別に、巨大な施設を建設中だ。惑星トランター帝国図書館の数倍の規模で、全銀河の知識を集めようとしているらしいが、その動きには何か不審なところがある。」

「その推進派は誰ですか?」とボーが尋ねた。

レイチは眉をひそめながら答えた。「革新派のオレアナ・ディアスト博士だ。彼女は文芸復興運動の象徴的な存在で、知識と技術の復興を掲げている。しかし、彼女の社会変革の野望には、軍部との密接な関係があるとふんでる。彼女がサンタンニを全銀河に宣伝しようとしているが、大学としては迷惑な話だ。僕は彼女の胡散臭さがたまらないよ。」

ボーは笑みを浮かべ、「レイチさんの性格を考えると、よくわかりますよ。」と同意した。

レイチは苦笑いを浮かべ、「僕は市民グループと親しくしているが、残念ながらオレアナ・ディアストは軍部と提携して、政権を掌握しつつある。」と続けた。

その時、レイチの妻マネルラがリビングに入ってきた。彼女はボーとレイチの会話に興味を持っていたようで、ベリスの昨夜の夢について話し始めた。「レイチ、ベリスが昨夜、夢で『もっといい場所がある』と天使のような女性に言われたそうよ。彼女がその場所について尋ねたら、『最終バスの車庫みたいな場所』だって言ったの。あれって何か意味があるのかしらねぇ?」

レイチは興味深そうに頷き、少し考え込んだ。「ベリスの夢は興味深いね。ボー君ばりの心理化学で分析してみる価値がありそうだ。」

マネルラはまたもや続けた。「わたしもベリスの話しでちょっと考えたのよ。折角、惑星サンタンニに来て、レイチが毎日苦労していることは分かっているつもりよ。でもダールの人たちのことを考えると、もっと彼らにはもっといい場所があるんじゃないかってね。」

ボーはレイチとマネルラのやり取りを見守りながら、レイチの奥行きのある精神性に共感すると同時に、クルーソーとは違う感覚でオレアナ・ディアストの動向に対する不安を募らせていた。

次話へと続く . . . 

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