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小さな島だけが一つだけの海の惑星

第18話小さな島が一つだけの海の惑星

galaxy20,000yearslaterseries
ミーターの大冒険
第六部 地球へ
第18話
エピソード 160 
Date:ファウンデーション暦490年

小さな島が一つだけの海の惑星

青い海がどこまでも広がる惑星アルファ。そこには、一つだけの小島が浮かび、地平線の果てまで静寂が支配していた。その小島に降り立つ者はほとんどいない。だが、その静けさを破るかのように、空から巨大な航宙船がゆっくりと降下していった。
その船、ファー・スター2世号のハッチが開くと、銀色の装甲を身にまとった一人のロボット、ミーター・マロウが現れた。光を反射する金属の体は、太陽の下で不自然な輝きを放っている。ミーターは一歩、また一歩と島の白い砂浜へと進み出た。彼の目の前には、ひとりの少女が立っていた。彼女は薄い布をまとい、強い潮風に髪をなびかせている。
「やあ、こんにちは!」
ミーターが親しげに声をかけた。
少女は少し戸惑ったような顔を見せたが、すぐに微笑んだ。
「外からの方ですね?」
「そうですよ。ただし、人間ではありませんがね」とミーターが答えると、少女の表情は驚きに変わった。
「どうして私を待っていたんですか?着陸時間がわかっていたように見えますが」
ミーターが問いかけると、少女は少し得意げに答えた。
「外来者がいつ来てもいいように待つのが私たちの仕事ですから」
「仕事?」ミーターは首を傾げた。「待つだけが仕事だというのですか?それに、私たちとは誰のことです?」
「私たち一族の女たちの任務なんです」
ミーターは彼女の答えに軽く頷いた。
「なるほど、それが理由なのですね。でも、なぜそのような任務が必要なのか、あなたは知っていますか?」
少女は驚いたように目を見開いた。
「ええ、そんなことを知っている外来者がいるなんて!」
「そうでしょうね」とミーターは少し皮肉を交えて答えた。「でも安心してください。私はここで少しだけ話を聞きたいだけです。すぐに去りますし、私が去った後にはあなたの記憶も、この光景を目撃した人たちの記憶も、すべて消えてしまいますから」
少女は信じられないというように首を振った。
「そんなこと、どうしてできるんですか?」
ミーターは微笑んだ。
「信じられないですよね。では、こうしましょう。あなたの家族の名前を当ててみせます」
少女の表情が緊張に変わる。ミーターは続けた。
「あなたのお母さんの名前はリン、お姉さんはヒロコですね。お父さんはいませんが、名前はスムール。お母さんが教えてくれたのでしょう。そして、妹の名前はヒナタ。さらに、あなたの村の長老はおしゃべりモノリーという方です」
少女は言葉を失い、ただミーターを見つめた。
「どうして . . . そんなことまでわかるんですか?」
ミーターは静かに答えた。
「私はこの銀河の反対側から来たロボットです。あなたが知る人間とは違います。名前はミーター・マロウ。この旅の目的は、地球、そして人類の起源に迫ることなのです」
「ロボット . . . ?」少女の声には戸惑いと好奇心が入り混じっていた。「それって、何ですか?」
ミーターは少し考え込むような仕草を見せた。
「そうですね . . . あなたの星にはない技術です。簡単に言うと、人間のように動き、考える機械のようなものです。ただ、あなた方の星には、私の星にはない知識もありますよ。たとえば、バイオテクノロジーや気象を一定に保つ技術。それぞれの星には独自の特長があるものです」
少女はじっとミーターを見つめ、何かを考えているようだった。
「わかりました、ミーター・マロウさん」と少女はついに口を開いた。「でも、一つだけ教えてください。あなたが目指している地球という星は、本当にそこにあるんですか?」
ミーターは穏やかに頷いた。
「私たちが探している答えは、すべてそこにあるはずです。地球は、私たちの母なる星。あなたの星も、地球の歴史の延長線上にあるのです」
彼の言葉に、少女は深く頷いた。そして、遠く水平線を見つめながら、低い声でつぶやいた。
「地球 . . . きっと素晴らしい星なんでしょうね」
静かな波音だけが響く中、二人の対話は続いていった。宇宙の果てから訪れた旅人と、小さな島に住む少女。彼らの出会いが、銀河全体の未来にどのような影響を与えるのか、まだ誰にも知る由はなかった。

次話につづく . . .

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