ホモ・サピエンスとニフ人
ホモ・サピエンスとニフ人
galaxy20,000yearslaterseries
第二弾
ミーターの大冒険
地球へ 13話
エピソード 155
Date:ファウンデーション暦 490年
あらすじ
ファウンデーション暦490年、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はメルポメニアからアルファに着く。
ミーターは、太陽系と地球についての最終的情報を得ようとしてアルファに降りることにした。
その前にメルポメニアで入手した図書館の蔵書に記されていた地球と地球人類、そしてアルファの住民の起源の土地、ニフについての恐怖の出来事について驚嘆する。
本文
ミーターはイルミナの話を注意深く聞きながら、地球の歴史が自分の知っている銀河の歴史とは大きく異なることに驚きを隠せなかった。
「それじゃ、人類の起源から説明しますよ」とイルミナは穏やかに話し始めた。「その本によると、いわゆる今の人類の正式な名称はホモ・サピエンスというらしいわ。スペーサーたちが宇宙に出る前の人類歴史によると、遺伝的な証拠や化石の証拠から、ホモ・サピエンスは約15万年前に地球という惑星の大陸の一つ、アフリカという場所で誕生したとされています。そして約8万年前、ホモ・サピエンスはアフリカを離れ、長い時間をかけて世界各地へと広がり、先住していたネアンデルタール人やホモ・エレクトスなど、以前の人類と交代していったのです」
ミーターは目を見開いた。「約15万年前にホモ・サピエンスが誕生した?それに、『出アフリカ』なんて考えがあるんだ!」
イルミナはうなずき、話を続けた。「最終的には、アフリカの反対側にあるアメリカ大陸に約3万5千年前に到達したのです」
「なるほど、地球には壮大な歴史があったんだな」とミーターは感心しながら言った。「それで、イルミナ、ニフとは何なんだ?」
「ニフは、地球の中でも一番大きい大陸の端から少し離れたところに位置する、四つの大きな島からなる場所です」とイルミナは答えた。「約6万年前にニフ人がその地に到達し、定着しました。その場所で発見された土器の紋様から、その文明は『縄文文明』と呼ばれているわ」
「縄文文明か」とミーターは静かに口にした。
「ところが、約2万年前に大戦争が起きました。戦争を終わらせるために敵国が二度、核爆弾をニフに落としたのです。それはスペーサーが宇宙に出る以前では、最初で最後の悲惨な出来事でした。大量の放射能による被害が出て、ニフ人は地球人類の中でも放射能の恐怖を深く知ることになった民族となりました。そのため、ニフ人には核兵器を憎む感情が根強く残ったのです。やがて核兵器の製造を放棄し、核の不拡散や原子力利用を拒絶する精神が彼らの文化に定着しました」
「それでニフ人たちの性質には二重の精神が入り混じっているんだな」とミーターは呟いた。「純粋でおおらかな心と、科学文明への疑念や嫌悪が共存しているのか」
イルミナはさらに続けた。「やがて、スペーサーに続いて地球からセッツラーと呼ばれる新たな人々が銀河に散らばっていったあと、地球で最終的な悲劇が起こりました」
ミーターはハッと顔を上げた。「アルカディアが話していたことと一致する!それほど恐ろしい出来事があったのか…。それで、イルミナ、その最終的な悲劇とは何だったんだ?ニフ人たちはどう対応したんだ?」
イルミナは少し悲しげな表情で答えた。「ニフ人は二つの道に分かれたの」
「二つの道?」ミーターの表情に興味が浮かんだ。「もっと教えてくれ!」
イルミナは目を閉じ、一瞬考え込むように間を置いた後、静かに話し始めた。「それは、彼らの抱える矛盾と希望が、別の未来へと向かわせる道だったのよ . . . 」
次話につづく . . .
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第二弾
ミーターの大冒険
地球へ 13話
エピソード 155
Date:ファウンデーション暦 490年
あらすじ
ファウンデーション暦490年、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はメルポメニアからアルファに着く。
ミーターは、太陽系と地球についての最終的情報を得ようとしてアルファに降りることにした。
その前にメルポメニアで入手した図書館の蔵書に記されていた地球と地球人類、そしてアルファの住民の起源の土地、ニフについての恐怖の出来事について驚嘆する。
本文
ミーターはイルミナの話を注意深く聞きながら、地球の歴史が自分の知っている銀河の歴史とは大きく異なることに驚きを隠せなかった。
「それじゃ、人類の起源から説明しますよ」とイルミナは穏やかに話し始めた。「その本によると、いわゆる今の人類の正式な名称はホモ・サピエンスというらしいわ。スペーサーたちが宇宙に出る前の人類歴史によると、遺伝的な証拠や化石の証拠から、ホモ・サピエンスは約15万年前に地球という惑星の大陸の一つ、アフリカという場所で誕生したとされています。そして約8万年前、ホモ・サピエンスはアフリカを離れ、長い時間をかけて世界各地へと広がり、先住していたネアンデルタール人やホモ・エレクトスなど、以前の人類と交代していったのです」
ミーターは目を見開いた。「約15万年前にホモ・サピエンスが誕生した?それに、『出アフリカ』なんて考えがあるんだ!」
イルミナはうなずき、話を続けた。「最終的には、アフリカの反対側にあるアメリカ大陸に約3万5千年前に到達したのです」
「なるほど、地球には壮大な歴史があったんだな」とミーターは感心しながら言った。「それで、イルミナ、ニフとは何なんだ?」
「ニフは、地球の中でも一番大きい大陸の端から少し離れたところに位置する、四つの大きな島からなる場所です」とイルミナは答えた。「約6万年前にニフ人がその地に到達し、定着しました。その場所で発見された土器の紋様から、その文明は『縄文文明』と呼ばれているわ」
「縄文文明か」とミーターは静かに口にした。
「ところが、約2万年前に大戦争が起きました。戦争を終わらせるために敵国が二度、核爆弾をニフに落としたのです。それはスペーサーが宇宙に出る以前では、最初で最後の悲惨な出来事でした。大量の放射能による被害が出て、ニフ人は地球人類の中でも放射能の恐怖を深く知ることになった民族となりました。そのため、ニフ人には核兵器を憎む感情が根強く残ったのです。やがて核兵器の製造を放棄し、核の不拡散や原子力利用を拒絶する精神が彼らの文化に定着しました」
「それでニフ人たちの性質には二重の精神が入り混じっているんだな」とミーターは呟いた。「純粋でおおらかな心と、科学文明への疑念や嫌悪が共存しているのか」
イルミナはさらに続けた。「やがて、スペーサーに続いて地球からセッツラーと呼ばれる新たな人々が銀河に散らばっていったあと、地球で最終的な悲劇が起こりました」
ミーターはハッと顔を上げた。「アルカディアが話していたことと一致する!それほど恐ろしい出来事があったのか…。それで、イルミナ、その最終的な悲劇とは何だったんだ?ニフ人たちはどう対応したんだ?」
イルミナは少し悲しげな表情で答えた。「ニフ人は二つの道に分かれたの」
「二つの道?」ミーターの表情に興味が浮かんだ。「もっと教えてくれ!」
イルミナは目を閉じ、一瞬考え込むように間を置いた後、静かに話し始めた。「それは、彼らの抱える矛盾と希望が、別の未来へと向かわせる道だったのよ . . . 」
次話につづく . . .