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真実の縁(ふち)

第80話 真実の縁(ふち)
SF小説 ボー・アルーリン

Date:銀河暦12,066年
Place:惑星シンナックス

惑星シンナックス。ガール・ドーニックは静かな書斎でホルク・ミューラーと向き合っていた。ボー・アルーリンの愛弟子であるホルクは、ガールの理論に深い関心を寄せていた。今日もまた、彼からの示唆を受けて、銀河を巡る理論をさらに深めようと考えていた。

「ホルク、あなたが問い続けていること、答えはここにある。」ガールの声には、いくつもの歴史を超えた重みが込められていた。「『黎明の書』の大預言書に記された言葉、『誰が東から人を起こしたか?』これは、ただの問いかけではないのです。私が示すべき方向がここにある。」

ホルクはその言葉を受けて、目を見開いた。ガールが指し示したのは、銀河縁、オルターナ・アームであった。その「東」という言葉は意味は、「光の源への回帰」をという意味を示す。ちょうど最近注目が浴びられている惑星ターミナスのちょうど反対極にあたる人類の故郷のある惑星を再生することを暗示していた。

「銀河の外縁部。」ホルクは呟いた。「そこが新たな起点となるのか。」

「そう。」ガールは静かに頷いた。「私たちの進むべき道は、そこから始まるべきなのです。失われた記憶を再生し、かつての失われた故郷を取り戻す。それが新たな銀河文明の根源となります。」

その言葉に、ホルクは胸の内で何かが震えるのを感じた。自分が担うべき役割、その使命感が徐々に明確になってきたのだ。いや、人類の救出、これがきっと今までの袋小路からの脱出口だと合点した。これを急いでボーに報告すべきであると思った。

次話につづく . . .

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