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ガール・ドーニック

第78話ガール・ドーニック

第78話 ガール・ドーニック
SF小説 ボー・アルーリン

惑星コンポレロン。黄金と紫が織りなす壮麗な夕陽が広がる空に、雲海が柔らかく染まっていた。空中ホテルの展望デッキからは、地平線へと沈む夕陽が訪れる者たちの心を深く打つ。

ボー・アルーリン博士は静かに手すりにもたれ、広大な景色に目をやっていた。その隣で若きホルク・ミューラーは緊張した面持ちのまま、同じ夕焼けを見つめている。その背後では、イリーナ・シャンデスが控えめに座り、二人の対話に耳を傾けていた。

「ホルク、君はこの夕焼けをどう思う?」
ボーが穏やかに問いかけた。

ホルクは少し考え込んだ後、静かに答えた。
「壮大で、圧倒されます。この広大な銀河の中で、僕たち一人ひとりがどれほど小さい存在かを実感します。」

ボーは微笑み、再び視線を夕陽へ戻した。
「その小さな存在が集まり、銀河の未来を形作る。それが心理歴史学の本質だ。そして君の理論は、その未来を補完する新たな要素を提示してくれるはずだ。」

ホルクの顔には戸惑いと喜びが交錯していた。
「僕の理論をそんな風に評価していただけるなんて光栄です。ただ、まだ完成には程遠い。ガール・ドーニックが提供してくれたシンナックスの古文書を解析しきれていません。」

ボーはその言葉に頷き、ホルクの肩に手を置いた。
「焦ることはない、ホルク。重要なのは、君が真摯に研究を続けることだ。シンナックスで発見された文書には、まだ私たちが気づいていない大きな鍵が眠っている。」

ホルクは目を輝かせながら続けた。
「ガールが話してくれたことによれば、シンナックスの古文書には『紫外線防止』の技術が書かれていただけでなく、それが銀河縁の文化や調和の概念と深く結びついていると示唆されているそうです。」

ボーはその言葉に目を細め、遠くの地平線を見つめた。
「銀河縁との繋がり……それはセルダンプランが無視してきた、あるいは意図的に排除した要素かもしれない。ホルク、君がその部分を補完する役割を担うことになる。」

ホルクは驚きと期待の入り混じった表情で尋ねた。
「博士、本当に僕なんかがその役割を……?」

ボーは頷きながら静かに答えた。
「君は十分にその才能を持っている。そして、君が言ったように、ガール・ドーニックを私たちの研究に引き込むのは良い提案だ。」

そこにイリーナが柔らかな声で加わった。
「ボー、私も賛成よ。私たちはまだガールには直接会っていないけれど、彼の洞察力とその才能は、ハリの後継者としてふさわしいわ。」

ボーはその言葉に頷き、再びホルクに向き直った。
「ガールの助けを得て、私たちの理論をさらに深めるのだ。この夕焼けのように、私たちの仕事が銀河全体に新たな光をもたらす日が来るだろう。」

空が徐々に夜の闇に包まれる中、3人はそれぞれに新たな希望と決意を胸に秘め、夕焼けの消えゆく輝きに思いを馳せた。

次話につづく . . .

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