伝説物語
大枠
第一部 リリーフ
第二部 イルミナ
第三部 コンポレロンへ
第四部 コンポレロン
第五部 オーロラへ
第六部 オーロラ
第七部 地球へ
第八部 太陽系
第九部 地球
第十部 ターミナスへの帰還
第十一部 ダリバウ
第十二部 惑星イオスへ
第十三部 ターミナスまたは第1ファウンデーションの行く方
第十四部 有終の美
第十五部 再び地球へ
目次
第1話 ウォンダと極素輻射体
第2話 歴史消滅の結束点以前
第3話 精神感応力
第4話 秘密の鍵穴
第5話 ボー・アルーリン
第6話 セクション33A2D17
第7話 グレディア
第8話 ハニスからのハイパーウエーブ通信
第9話 ファウンデーション暦55年?
第10話 ミーター、哲学者・詩人になる
お招きのことば
私、Yin Yiが描くこのサイエンス・フィクションは、アイザック・アシモフの『ファウンデーション』シリーズを基にしつつ、哲学者ノース・ホワイトヘッドの「移動と新しさ」の哲学に貫かれています。
あらすじ
ミーターは、亡きアルカディアの遺志を受け継ぎ、アタカナ探索のためターミナスへ旅立ちました。彼のそばには、謎の存在「イルミナ」と名乗る「銀河帝国辞書編纂図書館」のバーチャル・コントロールが共にいて、話し相手となっています。二人を乗せたファー・スター2世号は、順調に加速を続けます。
しかし、目指す禁断の天体オーロラへのルートが見つからず、ミーターはその情報をコンポレロンで手に入れることを決意します。進路をコンポレロンに取った瞬間、ジスカルド・ハニスからのハイパー・ウェーブ通信が入り、二人の若いターミナス人が「別動隊」の候補者として名前が挙がります。
話題はアルカディアのラヴェンダー農園の創設者「グレディア」に及び、ミーターは過去の記憶を呼び覚まします。同乗しているイルミナに対して、彼女が単なる存在ではなく、アルカディアの悲願を継いだ者であり、ハリ・セルダン、ガール・ドーニック、ボー・アルーリン由来の悲願の結晶であることを明かします。
また、ミーターはオリンサス・バーが帝国辞書編纂図書館の広場に立つルイス・ピレンヌ像に関する秘密を探っていたことを語り始めます。それは、オリンサスがかつてコンポレロンの友人から聞いた話に基づいていたのです。果たしてルイス・ピレンヌ像に隠された秘密とは何なのでしょうか?そして、謎めいたコンポレロンの友人とは何者なのでしょうか?ミーターとイルミナはその真相に迫ります。
第6話 セクション33A2D17
ミーターの体は4年間で完全に復旧し、無事に同じく修理されたファー・スター2世号に戻された。
イルミナは当然無事だった。彼女の本体は、ターミナスの帝国辞書編纂図書館の地下からのコントロールなので、受動機さえあれば、どこにでも移送されるからだ。
場面は、ミーターを乗せたファー・スター2世号のなか。シンナ星の軌道上にいて、時にミーターは地表探索を重ねる。再度の銀河横断に対しての並々ならぬ決意が滲み出ている。
シンナ星から見上げる眩(まばゆ)い極光になにかしらの兆(きざ)しを感じるミーターだった。
ただ時たまイルミナのちょっかいが耳障りだが、それでも面白いと感じる。
ファー・スター2世号は惑星シンナの軌道から再度発進し、宇宙潮流に沿って光速近くに達して、ジャンプを繰り返す。
目指すコンポレロンとは?
最終目的地のアタカナへの道しるべとは?
どうやら、ミーターやイルミナがそこに到達するには、「反ミュール」や「不死の従僕」とやらに接触しなくてはならないらしい!
ミーターがイルミナに説く「我らの使命」とは?ガールが構想した「歴史消滅からの転換点」がいよいよ迫りつつある。しかし、それを座して待つことは許されない。それがミーターとイルミナ、そして次に来る別動隊の使命となる。
ミーターは、イルミナを前にして、とつとつと、イルミナ自身の存在を「極素輻射体」の秘密から解き明かしはじめた。アルーリンのことに話しが及び、約500年前のハリ・セルダンの時代に話しが発展し、ハリの孫ウォンダの映したターミナス方程式の真実について語る。
エピソード 106
ミーター イルミナ、ウォンダさんが18歳の時、悲しいかな、彼女の両親と彼女の妹とベリスとの別れがあったんだよ。彼らはサンタンニ星に旅立った。ウォンダさんは一人残されたおじいちゃんハリの面倒をみるのにトランターに残った。と同時に亡きアマリルの肩代わりの心理歴史学の研究に没頭するようになった。とは言っても、ほぼ極素輻射体を自由に操るのが日課の多くだったんだが。
その極素輻射体はそれを操る人間の感応力に同調するという特性をもっている。同時に彼女は彼女でその極素輻射体の影響で既にもっていた精神感応力が強められていった。
ある日、とうとうある方程式の暗号が自由に彼女の感性にピタリと符号した。
その時、ハリ・セルダンが呼応するかのように彼女の研究室を訪れたんだ。セルダンは唸った。
「なんとこの暗号はターミナス方程式!!」。輝き点滅する紫のホノグラフ。二人はその部屋の片方の空中に煌めく紫の球体に近寄った。そうしたら、その反対側にそれに呼応するかのように赤い斑点が投射した。セルダンは叫んだ。 「なんとこっちはターミナス方程式の逆関数!!完璧に呼応している。」
「おじいちゃん、そうなのよ。私にはこの二つが完全に調和しているとしか思えないわ!」「ウォンダ、そうだ、この無カオス現象を、『陰』と『陽』と古代人は呼んだとヒューミンから教えてもらった『児童のための知恵の書』に載ってる。」
イルミナ、この記録が何を意味するか、を説くのにどれだけアルカディアが苦心したかわかるか?
イルミナ 凄いわ!ミーターさん、わかるような気がするわ。
ミーター アルカディアは、その時ハリは、ウォンダと、本来行くべきターミナスに旅立った気分を共有したんだと言った。そして片側の赤い反射球は銀河の反対側にあるアタカナ(火)。人類の故郷の星。しかし不幸にも緑や青に輝いてない。病んでいる、とも言った。
これからお前とその真相を究明しなくてはならない。
イルミナ でも教えて、その暗号とやら?
ミーター いいとも!
『セクション33A2D17』!
イルミナ ミーターさん、この方程式ってどういう暗号?
ミーター イルミナ、心配するな。もう解けている。だからもう俺らは銀河をファー・スター2世号で今航行中だ。そしてお前がここにいる理由でもあるっていうことだ。
ハニスさんがトランターで入手できた「クリプト・リーダー」でファー・スター2世号や帝国辞書編纂図書館の記憶装置に既に暗算連結したからな。
イルミナ ミーターさん、帝国辞書編纂図書館って、わたしのことじゃないの!
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