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二種類のニフ人 ジンジャーの花

二種類のニフ人 ジンジャーの花

2万年前の銀河シリーズ
ミーターの大冒険 

第七部 地球へ

第15話
エピソード 157
二種類のニフ人 ジンジャーの花

ミーター・マロウは、宙域を航行する船内で、目の前のホノグラムに映し出されたイルミナ・バーに問いかけた。

「ところで、イルミナ、二種類のニフ人とは、まさか二つの国に分かれたわけでも、ある時期に世論が二分されたわけでもないんだろう?」

イルミナは穏やかにうなずき、彼の推測を正す。

「おっしゃる通りです。ニフ人の二種類というのは、時代の違いに由来するものです。最初に宇宙へと飛び出したニフ人のグループと、最後まで地球に残り続けたニフ人たち。この二つの異なる時代を生きた人々のことを指しているんです」

ミーターは感心し、少し興奮した様子で続けた。「そりゃすごい話だな!こう言っちゃなんだが、外見こそ違っても、どちらも極端な傾向があるように見える。それも、ニフ人の本質的な特性のように思えてきた」

イルミナはゆっくりと説明を続けた。

「そうなんです。これこそが、彼らの二重性です。先祖帰りのように、再び移動の民となり、物質欲から完全に離れ、執着を極端に拒む精神。ある意味、宗教的な境地とも言えるでしょう。そして、そんな彼らは周囲の人々と摩擦を生んでしまうこともありました。このような集団は、ナックスグループと呼ばれていました」

ミーターは眉を寄せ、過去の記憶を探るような表情を見せた。「その名前、どこかで聞いたことがあるような気がするな . . . 。まさか『シンナックス』と関係があるのか?それに . . . 『ジンジャーの花』とも?」

「『ジンジャーの花』って?」とイルミナは興味深そうに問い返した。

ミーターの目が急に輝きを増し、懐かしむような口調で言った。「ああ、思い出した!アルカディアのご先祖様であるママ・ベリスだよ!彼女が図書館で『ジョン・ナックの歴史思想書』を見つけてな。ジンジャーの花を髪に挿して、『涙の黒い太陽』の像に祈りを捧げたって話だ。そのとき彼女はニフ人たちの伝承を受け継いだんだ。そしてそのニフ人たちは、銀河を越えて、遠い大マジェラン銀河に向かう途中、ターミナスに辿り着いた。そして、人類の代表としてベリスを選んだという . . . アルカディアがそう教えてくれたんだ。なぜって惑星シンナックスの星花はジンジャーの花なんだ。」

ミーターの目は潤み、声が少し震えた。「ごめん、先を続けてくれ。涙が溢れ出る前に頼む」

イルミナもまた感慨に耽りつつ、話を続けた。「そのニフ人たちが、やがてスペーサーたちを宇宙へと導いたのです。こうして彼らは50の惑星にロボットと長寿の楽園を築きました」

「一方で地球に残ったニフ人たちは、放射能に汚染された地球の環境で必死に生き抜いていくことを選んだのです。彼らは放射能に耐える体質をある程度手に入れましたが、その限界は次第に迫ってきました。なぜか放射能の濃度は減るどころか、年々増していったのです」

ミーターは顔をしかめ、疑問をぶつけた。「それは一体、どうしてなんだ?」

イルミナは一瞬躊躇し、やや神秘的な口調で答えた。「それこそが、究極の歴史的事件とでも言うべきものです」

ミーターは息を呑んだまま、次の言葉を待った。

次回につづく . . .

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