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図星

割引あり

図星

galaxy20,000yearslaterseries
第二弾
ミーターの大冒険

第七部 地球へ

第6話〜第10話 (第七部 Ⅱ)

ちょっとしたまえがき

人間の開悟ついて、挫折とどう向き合うかが新たな地平を切り開く鍵となる。ミーターの端緒の失敗は、第零法則グループのロボットたちと第3のグループ(反ミュール)と以前のアルカディアとその形見のイルミナ・バーの協力と自身の可能性思考によって導かれた。この回のテーマの惑星メルポメニアの項でも、メルポメニアの廃墟は人類の悪行の実として象徴され、同時にそれが、ミーターたちの前進への足掛かりを与えているのは皮肉的逆説的真理である。

ミーターの大冒険 大枠

第一部 プロローグ
第二部 イルミナ
第三部 コンポレロンへ
第四部 コンポレロン
第五部 オーロラ

第六部 地球へ


第七部 太陽系
第八部 地球
第九部 ターミナスへの帰還
第十部 ダリバウ
第十一部 惑星イオスへ
第十二部 ターミナスまたは第1ファウンデーションの行方
第十三部 憂愁の美
第十四部 再び地球へ

第六部の内訳

第1話 ソラリア
第2話 ロボットと変異体
第3話 両性具有の人間
第4話 危険回避 はだかの太陽
第5話 三十六計逃げるに如かず
第6話 諸世界の広間
第7話 流れる星(ミーター)
第8話 二つの全天天体図
第9話 4年前の超新星爆発
第10話 ベテルギウス

第11話 プロクシマ・ケンタウリ(新しい地球)
第12話 恐怖の星
第13話 ホモサピエンスとニフ人
第14話 核分裂と核融合
第15話 2種類のニフ人 ジンジャーの花
第16話 地球放射能汚染計画
第17話 ジスカルドとダニール
第18話 小さな島が一つだけの海の惑星
第19話 コンパニオン
第20話 繭と両生類化

あらすじ

ファウンデーション暦488年1月、ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、カビレ星系への探索中にベテルギウスの超新星爆発によるガンマ線バーストに巻き込まれ、船体は大破、ミーターは宇宙空間に放り出されてしまった。幸運にも、近くを航行していたR・レオナルド・エノビアレラに救助される。彼は自己修理のため、銀河辺境のロボット修理基地イオス星へ向かっていた。ミーターはそこで4年間、ポニェッツ仕様のラヴェンダー温泉でリハビリを受ける。

ファウンデーション暦492年、ミーターは修理されたファー・スター2世号で目覚め、再び地球探索の旅に出ることになる。イオス星を後にして、次の目的地はシンナ星。その後、カルガン星、コンポレロン星を経由し、謎の反ミュールの星「ガイア」にたどり着く。コンポレロンで入手した約2万年前の航海日誌から、地球の位置を示す重要な星の座標を発見する。

探索は続き、二人はソラリアへ到達し、進化したソラリア人と大量のロボットに遭遇する。ミーターとイルミナはそこで宇宙の深淵に触れ、次の目的地をメルポメニアに設定する。

ファー・スター2世号の航行は、静かな星空の中で続いていた。ベテルギウス超新星爆発の残響は遠く過ぎ去り、宇宙は深い静寂に包まれていた。

第6話 諸世界の広間

エピソード 148

ファー・スター2世号は静かに廃墟の星メルポメニアの軌道上に浮かんでいた。船内のミーター・マロウとイルミナは、ドローンによる初期調査の報告に耳を傾けていた。

「ドローンの調査によると、この星には5つの大陸があり、すべて廃墟だ。人類は消え去り、全ての地表は苔で覆われている」と、ミーターは報告を読み上げた。彼の目はスクリーンに映る無人の風景に向けられていた。「だが、特に怪しい場所があるようだ。大都市の廃墟と思われる場所の中に、『諸世界の広間』という部屋があるらしい。」

「ええ、その部屋には人物の石像があって、その台座には『メルポメニア』と刻まれていたわ」とイルミナが応えた。「星のリストの17番目に、小さく、それでいてくっきりと宝石の文字で彫られていたのよ。」

ミーターは深く頷き、考えを巡らせた。「星座の記述もあったな? 確か天井画に星座が描かれていたと . . . 」

「そう、エリダヌス座と名付けられた星座が中央に描かれていたわ。そのど真ん中に金色の丸があって、そこには『メルポメニア』と。そして隣に括弧書きで『エリダヌス・イプシロン』と記されていたの。」

ミーターは椅子にもたれかかり、眉をひそめた。「エリダヌス・イプシロンか . . . 。イルミナ、その近くに図書館のような建物はないか?」

イルミナは少し笑いながら、答えた。「ええ、あるわ。とても旧式のものがね。なんと紙の本が大きな棚に並んでいたの。まるで私の過去の姿を見ているようだったわ。」

ミーターは微笑んだ。「まさか、お前が『帝国辞書編纂図書館』の一部だったことを懐かしんでいるのか?」

イルミナは笑いを堪えきれなかった。「ミーターさん、からかわないでください!」

「冗談さ。でも、その図書館を調べてみる価値はありそうだな。特に、シリウスやカノープスに関する記述、そして、あの4年前の超新星爆発に関連する情報を探したい。」

「やっぱり、それが狙いだったのね。」イルミナは微笑みながら、予測が当たったことに満足していた。

「図星だ!」とミーターは冗談めかして言った。

イルミナは笑い声を上げた。「アハハ、冗談でしょう? それにしても、私たちがこんな場所で重要な手がかりを見つけるなんて、本当に名探偵みたいね。」

ミーターは肩をすくめた。「まるでシャーロック・ホームズだな、だが、お前はいつからバ・リーの助手になったんだ?」

イルミナは首を傾げて答えた。「さあ、ダ・ニーの盟友だったかしら?」

二人は船内の静寂に笑い声を響かせながら、次の調査に向けて準備を始めた。

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