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ピーター・フェルディナンド・ドラッカー

ピーター・フェルディナンド・ドラッカー

galaxy20,000yearslater series
第一弾
ファウンデーションの夢
第二部 ガイア
第2話 ピーター・フェルディナンド・ドラッカー

銀河暦12066年、ハリ・セルダンの裁判が始まる前年。ダニール・オリヴォーは、ガール・ドーニックをシンナックスから呼び寄せ、ハリ・セルダンの「心理歴史学」を補強するための計画を進めていた。しかし、その前に、彼はある重要な任務を自らに課していた。それは、人類の最古の故郷星「地球」を探索し、その失われた記憶を取り戻すことであった。

ダニールは、天の川銀河を横断し、ついにそれらしき海洋惑星を発見した。その惑星の上空を漂いながら、彼は遠い昔に地球を離れた人類の記憶を甦らせることを目的としていた。

カッシ市の廃墟

ダニールの船は、廃墟となったカッシ市の上空を静かに漂っていた。彼は、この地がかつて地球上で繁栄していた文明の中心であったことを知っていた。しかし今、その面影はどこにも見当たらない。放射能によって荒廃した大地には、かつての栄光の痕跡すら残されていなかった。

船内では、ダニールとレオナルドが会話を続けていた。レオナルドは、超高度AIとして設計された存在であり、ダニールにとって信頼できる相棒でもあった。

「レオナルド、ヘリコン人の地球時代の遺産は何だろうか?」とダニールが尋ねた。

レオナルドは一瞬の沈黙の後、答えた。「22世紀に生きたジョン・ナックの『歴史思想書』に記されているように、20世紀は非常に画期的な時代だった。宇宙開発の時代を切り開いた偉大な人物の一人、ピーター・フェルディナンド・ドラッカーもその中にいた。ドラッカーは、当時のニフ人の中に他の民族には見られない光明を見出した。」

ダニールは静かに頷いた。「ドラッカーは何を発見したのか?」

「ニフ人は、多くの脆弱さを持ちながらも、一つの秀でた能力を持っていた。それは、人類全体の未来を見通す知恵だった。」レオナルドは続けた。「ナックは、ある神話を紹介している。神は偉大な頂きのふもとで、清らかな川の辺りにニフ人とヘリコン人の先祖を呼び寄せ、二つの苗木のどちらかを選ばせたという。その一方が選んだのは知恵の実のなる苗木、もう一方が選んだのは命の実のなる苗木だった。」

ダニールはこの話を心に刻んだ。彼は、この神話が何か重要なことを示唆していると感じた。

地球を離れる前に、ダニールは過去の記憶を呼び起こすために、もう一度ガール・ドーニックと接触することを決意した。ガールの持つ非凡な閃きが、彼の探索に新たな道を開くかもしれないと直感したのである。

彼が地球で見つけたものは、単なる遺跡や神話だけではなかった。それは、銀河全体の復興に必要な「歴史の回復」への鍵となる知識だった。ダニールは、放射能の除染が可能であれば、地球の復興がファウンデーションの新たな叙事詩の始まりとなることを確信した。

「ドラッカーが見た未来の可能性を、ガールと共に探求しなければならない…」ダニールはそう決意し、地球を後にした。

未来を塞いでいる暗い雲を振り払い、新たな歴史を切り開くために。

次話「アルバート・アインシュタイン」をご期待ください。

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