ハニスからのハイパー・ウェーブ通信
ハニスからのハイパー・ウェーブ通信
お招きのことば
私、Yin Yiが描くこのサイエンス・フィクションは、アイザック・アシモフの『ファウンデーション』シリーズを基にしつつ、哲学者ノース・ホワイトヘッドの「移動と新しさ」の哲学に貫かれています。
2万年後の銀河シリーズ
第2巻
ミーターの大冒険
第三部
惑星コンポレロンへ
第8話
ハニスからのハイパー・ウェーブ通信
エピソード 108
ファー・スター2世号は、静かに宇宙を進んでいた。ミーター・マロウは、銀河の闇を見つめながら、亡きアルカディアの遺志を胸に秘め、ターミナスを目指していた。彼の傍らには、ターミナス帝国辞書編纂図書館のAI、イルミナ・バーがホノグラフで映し出され、彼と共に旅を続けていた。
「ミーターさん、そうそう、ハニスさんからハイパーウェーブ通信が暗号で届いているわ。」イルミナが突然言った。彼女の透明な姿が、柔らかく揺れる光の中に浮かび上がった。「読み上げるわね。」
ミーターは首を傾げ、興味を引かれた様子で彼女の方を見た。
「『ミーター君、それに“時代遅れの風采の相棒君”、元気でいるか?こっちは新たな情報を得た。俺の住んでたフレクスナーの郊外にある店で、フラベラさんという若い美人から面白い情報を聞いたんだ。彼女の彼氏はアルカディアさんの熱烈なファンで、今のターミナスの体制に反対している。そして、彼独自の考えがふるっている。アルカディアさんの本から彼はセルダン・プランの本質を解こうとしている。その謎解きの手法が俺の今までたどり着いたところとドンピシャなんだ。彼の名は、ゴラン・トラヴァイズ、なんだか今までになく、ワクワクしてきた。
コンパー君はまた別のアイディアを語ってくれた。惑星ターミナスに隣接するドーニック公園の側に昔俺の友人の息子が、銀河全体の図書館からデータを取り寄せて、銀河のおおもとの故郷の星の探索に躍起になっているという。彼の名はジャノヴ・ペロラット。彼は、いわゆる"歴史消滅"の理由、背景の謎を解きたいと言っているという。彼の狙いは“故郷の星”の発見っていうことだ。目下彼ら二人にどう接近するかだよ!
二人(?)とも、気をつけてな。』」
イルミナが読み終えると、ミーターはしばらく考え込んだ。ハニスの通信は、いつも通りに情報に満ちているが、今回は特に重要なものに感じられた。
「う~ん。どうやらハニスさんは元気らしいな。」ミーターは深く息をついて言った。「ゴラン・トラヴァイズ、ジャノヴ・ペロラットか。ますます新たな展開だな!」
「ところでイルミナ、コンポレロンについて何かわかったこと、あるかい?」彼は尋ねた。
イルミナは、一瞬考え込むように目を閉じた後、言葉を選びながら語り始めた。「ハニスさんの情報にも関係するんだけど、ミュール事件の際の、エブリング・ミス博士、ベイタ・ダレル、そしてその夫。ミュールは最終的に二人をコントロールしたけど、ベイタさんだけは支配されなかった。彼女だけが自由意志で振る舞い、それがミュールの敗北を招いたわ。」
「その約百年後、孫のアルカディアは、惑星ターミナスに第二ファウンデーションの基地があることをほのめかし、数名の第二ファウンデーション員を捕らえさせることで、第二ファウンデーションの位置を隠し、なおかつ、彼らの存在を守ったの。第二ファウンデーションは、彼女と呼応するように、拠点を他の星に一時的に移したけど、今では元の拠点に戻っている頃ね。」
「アルカディアは、捕縛された第二ファウンデーション員の身代わりをドースさんに頼んだの。これらの数少ないデータから推理すれば、...」
「イルミナ、もったいぶらないで、どうなんだい?」ミーターが苛立たしげに言った。
「推理すれば、その一時避難地というのが、惑星ターミナスとの同盟関係にある惑星コンポレロンだったということ。そして、不死の従僕の所在を仄めかす『禁断の星』オーロラは、惑星コンポレロンの向こう側にあることになるわ。」
イルミナは続けた。「このファー・スター2世号の基盤コンピューターと関係のある『レオナルド』さん。このRについては、ミーターさんがよく知っていたわよね。そのレオナルドさんの秘密のお仲間が、『反ミュール』に関連しているっていうことくらいはね。それらが銀河の反対側にそれぞれ結びついているってことかしらって、ね!」
ミーターは彼女の言葉に満足そうに頷いた。「イルミナ、それだけわかっていれば素晴らしい。ありがとう。それじゃ、惑星コンポレロンまでまっしぐらだ!」
次話につづく . . .
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