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夜な夜なの会合

49第3話夜な夜なの会合
ファウンデーションの夢 
第七部 
アルカディア・ダレル
第3話

夜な夜なの会合

あらすじ

 ジータ・マロウの娘ロアには、極めて聡明な娘ベイタがいた。

 ベイタとミュールの壮絶なる物語は、ファウンデーション設立から300年後に起こる。ベイタの物語はこうして始まる。

 ベイタの両親がガール・ドーニックの農園を再び買い取り、住み始めた。ベイタもモーヴ(ターミナスの首都)に住んでいたのでしばしば泊まりに来ていた。

 時代は、ターミナスも徐々に往時の精彩を欠いて来たインドバーの世襲政権のもと、時代の暗雲に気付いていた数名の人々がいた。
 一人は心理学者、エブリング・ミス。もう一人は貿易商人のランデュ・ダレル、そしてベイタ・マロウもその一人に加えなければいけない。
 
 ベイタ・マロウはトラン・ダレルと結婚し、トランの出身星ヘイブンに赴く。そこで、トランの叔父のランデュに新婚旅行にカルガン行きを勧められる。ハネムーンは数日で今後の銀河を揺り動かす大事件に移行する。

 ミュールの宮殿から道化師がハネムーン中の両人に助けを求めて来た。

 その道化師はボボと名乗った。彼らは早々宇宙船の格納庫に戻る。

 そこに第三者がまた登場する。
 二重スパイ!?

 そのハン・プリッチャー大尉は、すでにミュール(ボボ)によって、洗脳されていた。

 さらにミュールはトラン・ベイタの宇宙船でターミナスまで同乗し、モーヴ市に降り立ち、ファウンデーション軍の宇宙戦艦軍に喪失感を与え、ハリ・セルダンの出現する時間霊廟に集う人々を降伏感へ誘導し、一日に、完全占領してしまった。

 最後の救いの砦であったファウンデーションの遊軍、独立貿易商人協議会連合の星々も、戦意を喪失。ミュールの圧倒的な感応力の前ではなすすべもなかった。ヘイブンに一時避難したベイタ夫婦とボボとエブリング・ミスは、トランターに赴くことになった。ランデュはボボの存在に何かを察するようになったが、ランデュは残った。

 トランターでは、旧ストーリーリング大学付近の自称コンポレロン人たちの農村共同体が300年祭の催し物の準備で忙しくしていた。そこの村長、リー・センターは彼ら4人を丁重に向かい入れてくれた。

 彼ら4人を、トランターの農村指導者家族は丁重に、ファウンデーション300年祭の晩餐会に、趣向を凝らして招き入れた。その席には同じくネオトランターから来ていた(?)、一応議会議長と言う立場の、ヴェナ・ビリ女史がいた。

 エブリング・ミスはボボと一緒にストーリーリング大学の一室に籠って、当のミス博士は食事も絶って一心不乱に調べものに没頭していた。
 
 事件が突然起きたのは、そんなやさきだった。エブリング・ミスは、何かを発見して、訪ねて来たベイタに口を開こうとした瞬間のことだった。

 ヴェナ・ビリ女史も程なく息を引き取る(停止する)。

 そのエブリング・ミスとボボがいた場所が、300年前のハリ・セルダンの心理歴史学の研究室であったことがわかるのは、ベイタ・ダレルの孫アルカディアがトランターを訪れてからのことであるのだが。

 結局、ミュールはエブリング・ミスに密着することによって、第2ファウンデーションを探り当てて、撲滅を計ったのだが、ベイタと第2ファウンデーションに阻まれたことになった。

 ミュールはかねてから目論んでいた第2ファウンデーションの在処をダゼンダと振り替えることにする。

 のちにこの一連のミュールに対する誘導には、ベイタ、第2ファウンデーションの他に、反ミュールの勢力が関わっていたことが明らかとなる。

 こうしてベイタの活躍は終わり、次の舞台に替わる。ベイタの孫、アルカディアの舞台である。

 読者は『ファウンデーションの夢』の続編『ミーターの大冒険』の主人公、ミーターの姓が、マロウであることはご存知であろう。
 要するに、ミーターの主人、アルカディアが、このロボットにマロウの姓をつけた理由が、祖母であるベイタの旧姓がマロウであって、そのベイタをこよなく尊敬していたからであったことがお分かりになったでありましょう。

 一方、ミュールを抑えたはずであった片方のファウンデーションは、新たな次の難局が起ころうとしていた。それに備えることになる。
 

第二ファウンデーションの影

トラン・ダレルの居宅は、静寂の中に重厚さをたたえる空間だった。リビングルームの中央には、四人の男が円形のテーブルを囲んで座っていた。トランの横には、一人の若い男が緊張した面持ちで立っている。彼の名はペアレス・アンソーア。この場で紹介されるにあたり、若干の居心地の悪さを感じているようだった。

「みんなに紹介する。ペアレス・アンソーア君だ」
トランの声が部屋の静寂を切り裂いた。「彼は、亡くなったクラウゼ博士の弟子だ。今から我々五人に対して、電子脳写装置を用いた検査を提案している」

一瞬の間。テーブルを囲む三人の視線が一斉にアンソーアに向けられた。トランが続ける。
「ホバー・マン、私の従兄弟で図書館員だ。こちらはジョウル・ターバー、テレビ局の支配人。そしてエルヴェット・セミック、物理学の教授だ」

アンソーアは短く頷いたが、その動作は不自然なほど慎重だった。

ホバー・マンが眉をひそめながら口を開いた。「トラン、突然何を言い出すんだ。どういうことだ?」

トランは冷静な口調で答える。「我々四人に、彼は容疑をかけている。この中に第二ファウンデーションのメンバーが紛れ込んでいる可能性があると主張しているのだ」

ジョウルが驚いた声を上げた。「馬鹿げてる。ここにいる全員がモーヴ出身だ。幼い頃からお互いを知っているじゃないか」

だがエルヴェットは鋭い視線でジョウルを見た。「そうとも限らない。確かに子供の頃はそうだったかもしれないが、皆それぞれ宇宙に出ている。そこで何が起きたかは誰にも分からない」

ホバーは苛立ちを隠さず、アンソーアに向き直った。「で、君はどうなんだ?君もモーヴ出身なのか?」

アンソーアは短く答えた。「はい。郊外のニュートン地区の出身です」

ホバーは薄く笑った。「それなら歌えるだろう、『我ら銀河の子』を。あの曲はどのエレメンタリーでも教えられるし、『幼児のための手引き書』にも載っている。モーヴ人なら誰でも知っているはずだ」

アンソーアは動揺したように視線をそらした。「……忘れました」

その言葉に、ホバーは椅子に深く座り直した。「怪しいのはアンソーア君じゃないのかな!」

トランは手を挙げて制した。「そのくらいにしておけ、ホバー。今夜はもう一つ重要な議題がある。ホバー、君にやってもらいたいことがある」

ホバーは怪訝そうに顔を上げた。「俺に?」

「そうだ。みんなの代表としてカルガンに行ってもらいたい」

ホバーの目が細くなった。「俺一人でか?みんなはどうする?」

エルヴェットが即座に答えた。「決まっているだろう。第二ファウンデーションがカルガンに拠点を持っているという情報を確認するんだ。君だけが以前カルガンを訪れた経験がある」

ホバーはため息をついた。「何かやな予感がするな……」

室内の空気が重くなる中、次なる展開が待ち受けていることを誰もが感じていた。

次話につづく……

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