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恐怖の星

恐怖の星

galaxy20,000yearslaterseries
第2弾 ミーターの大冒険

第七部 地球へ

第12話 恐怖の星
エピソード 154

「ミーター、例のケンタウリ・アルファ星についてですが、気になることがいくつかあります。」

ミーターは彼女の問いにゆっくりとうなずき、ディスプレイに映し出されるメルポメニアの古い記録を指差した。「ああ、バイオテクノロジーが異常に発達しているんだ。それに . . . 免疫不全を起こす病原菌が存在しているらしい。」

「病原菌?」イルミナは眉をひそめた。「そんなものがいる星だなんて . . . 」

「そうなんだ。現地の住民はその病原菌に免疫があるが、訪れる外来者は例外なく命を落とす。メルポメニアの古い書物には、三日以内の滞在なら問題ないと書かれているが、どうにも生物学的な常識が通用しない世界だ。」

イルミナは一瞬戸惑い、視線を戻した。「それにしても、メルポメニアはなぜアルファを殲滅しようとしたんですか?」

ミーターは記録を手に取り、沈んだ表情で話を続ける。「地球では、かつて放射能汚染が徐々に進行していたようだ。ある時期、スペーサー連合は銀河に広がるセッツラーたちから孤立し、アルファの存在を無視するようになった。そして、メルポメニアが主導権を取ろうとし始めたんだ。」

イルミナは驚きの表情で問い返す。「つまり、メルポメニアが銀河を支配しようとしたんですね。」

ミーターは頷き、深く息をついた。「そうだ。メルポメニアは、銀河を我が物にしようとし、まずアルファ人を排除することを試みた。そして、彼らに嫉妬し、苔を使った生物兵器を投下して、その星を制圧しようとしたんだ。しかし、アルファ人たちはその毒性に耐性を持つようになってしまった。」

イルミナは言葉を失ったが、やがて静かに口を開いた。「その苔爆弾 . . . 本当に恐ろしいものですね。でも、結局効果は薄れたと。」

ミーターはゆっくりと首を横に振った。「いや、ある時、その苔爆弾がメルポメニア自身の地表で誤って爆発してしまったんだ。感染は瞬く間に広がり、次々と人が命を落とした。残された文書には、その地獄のような光景が記されていたよ。」

イルミナは、深く息をつき、画面に浮かぶ星の影を見つめた。「それが、今のメルポメニアの姿なんですね。過去の恐ろしい科学文明の結末が、今の荒廃をもたらしたんですね。」

「そうさ。生物兵器が生んだ悲劇だ。」ミーターは呟いた。「もしかすると、地球も同じように終焉を迎えたのかもしれない。」

二人は無言で視線を交わし、宇宙に漂う星の光を見つめていた。その先に何が待ち受けているのか、誰にもわからないまま。

次話につづく . . .

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