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流れる星(ミーター)shooting star

流れる星(ミーター)shooting star

galaxy20,000yearslaterseries

第二弾
ミーターの大冒険 

第六部 
地球へ
第7話 
エピソード 149

R・ミーターとバーチャル・イルミナは、宇宙船内で計画の最終段階に入っていた。目的地は、2万年前に絶滅したとされる惑星、地球。太古の「ふるさと」の惑星だという。
2人(?)は、かつて繁栄したスペーサー時代の天体図を頼りに、天の川銀河の反対球の探索をつづけていた。彼らの目的は、絶望的な状況のなか、新たな銀河文明の再建を目指していたのだった。

イルミナは、目の前のホログラムに映し出された天体図をじっと見つめ、思わず感嘆の声を漏らす。「流石ですね、ミーター教授。コンパーさん譲りのコンパスを正確に把握して、2万年前のスペーサー時代の天体図を再現したんですね。」

ミーターは冷静な表情で返した。「まず、君の評価については99点としよう。」

「お褒めいただき光栄です。でも、その1点はどこが減点だったんですか?」イルミナは軽く首を傾げ、尋ねた。

ミーターは微笑を浮かべながら言った。「よくぞ訊いてくれた、秀才女子学生。その1点の減点は『流石』という表現だ。正確には『流星』、シューティング・スターと呼んでくれたまえ。」

「なるほど!ごもっともです、先生。」イルミナは笑顔で応じた。「ミーターさんは『流星』、つまりメテオに由来する名前でしたものね。しかも、アルカディアさんが名付けた名前でしたから。その意味も確か『狙った的を正確に射止める』でしたね。今ではその的が地球になったというわけですね!」

ミーターは頷いた。「その通りだ、イルミナ。さらに『銀河復興』、そして『消された歴史からの復興』、そして『汚染され死に絶えた地球の再生』が、我々の的となるのだ。」

イルミナは再びホログラムに目を向けながら言った。「それを、当時の天体図から証明しようというのですね。もし、メルポメニアの図書館で地球時代の天体図を発見できれば、この星から逆算して、容易に地球とカビレ星系の座標が計算できるという目算なんですね。」

ミーターはにやりと笑い、「それこそ図星だ。見事だな、イルミナ。図星という言葉の由来は、矢を射る的の中心にある黒い点だ。矢をその中心に射ることから、狙いどころや急所を意味するようになったんだ。今の君の言葉、まさにその意味で図星だ。」

イルミナは笑みを浮かべ、目を輝かせた。「じゃあ、しっかりと防御服を着て、地上に降りて行って下さいね。船内に苔の細胞が混入しないよう、注意して。」

「承知だ。準備に抜かりはない。」ミーターは自信満々に答えた。

イルミナは軽く冗談を交え、「『流星』様!」

それを聞いて、ミーターは豪快に笑い声をあげた。「アハハハハ!」

宇宙船は静かに惑星メルポメニアの大気圏へと進んでいく。次に待つのは、銀河の未来を左右する重大な発見か、それとも絶望の果てか――。

物語は次話へと続く。

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