【弁護士事務所での働き方】~郵便物をただ重ねるな。大事なものから上に!
私がパラリーガル(法律事務職員)になりたいと思ったのは、大学生の頃でした。
大学卒業時にも就職活動をしましたが、私の能力不足でまったく採用されなかったので、一旦、別の仕事をしながら、再チャレンジできる機会をうかがっていました。
無事、24才で最初のA法律事務所に採用され、以後、約20年間、計3つの事務所に勤めました。
その間、パラリーガル・法律事務職員として心がけていたことをご紹介します。
今年(2024年)前半期のNHK朝ドラ『虎に翼』の中で気になっていたシーンがありました。
新潟の裁判所へ裁判官として赴任した主人公、佐田寅子の机の上に置かれたトレー。そこに部下たちが決裁を求める書類を上に上にどんどん乗せていました。
寅子は、基本的には古い順番、つまり下にある書類から確認していくのだと思われます。
私の悪いクセ。ついつい「あぁ、それだと特に重要な書類が埋もれちゃうよな~」とドラマにツッコミを入れてしまう自分がいました(笑)
パラリーガル時代、私がどのようにしていたかをお話していきます。
私が勤めていた事務所でも、弁護士の机の上にはトレーがあり、そこに郵便物や私が作成した下書き書面など、弁護士に確認してほしい書類を置いていました。
ただ漫然と上に重ねていたわけではありません。ではどのようにしていたでしょうか。
ここでは郵便物を例に挙げます。
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郵便物が届いているか郵便受けまで見に行ってピックアップし、開封して1つずつクリップで留めたりクリアファイルに入れて、弁護士へ渡すとします。
このとき、通販(弁護士協同組合から定期的に冊子が届くのです)のカタログと相手方弁護士からの書面が一緒に届いていたら、どちらを弁護士の机の上に置きますか?答えは明白ですね。
そうです。重要な書類が弁護士の目に付くように、上に置くのが基本です。
封筒を見て、どこからの郵便物かはすぐに判別できますが、それだけでは優先順位が付けられない場合もあります。
なので、開封時に内容も必ずチェックしましょう。
「〇月〇日までに返信」と記載があれば、早い順に上に置くだけでなく、付箋にも「〇月〇日返信」と書いて目立たせておくのも良いですね。
弁護士の机のトレーに置いて終わりにしてもいけません!
期限が決まっているものについては、自分の(事務局の)ダイアリーに必ずメモしておくことも重要です。
弁護士は忙しいですから、チラッと目を通して机の端っこに置いてそれっきり、なんてことも間々あります。
重要な手続の期限を徒過してしまったら、表向き責任を取るのは弁護士ですが、依頼者からすれば、「弁護士も事務員も何人もいるのに、誰も気が付かなかったのか」と失望され、依頼を止めてしまうおそれもありますし、止めなかったとしても、次にその方に何かあったとしても、もう依頼が来ることはないと思ってください。
郵便受けまで郵便物が届いているか見に行くのも大事な仕事です。
外出したついでのときだけ確認するのではなく、いつも何時頃配達が来るかを覚えておいて、届くまで何回か確認しに行きましょう。
そのひと手間で、当日中に処理できるか翌日に持ち越しになるかが分かれます。
弁護士名で出した郵便物が、宛先不明などの理由で戻ってくる場合もありますが、開封した後、封筒も必ず残してください!
郵便局からの伝達事項が記されているときは要注意です。
相手方にどのような理由で届かなくてこちらの書面を受け取れなかったのか、裁判で説明が必要になり、封筒のコピーを書証(証拠)として出す場合もあるのです。
広告などの明らかに不要なものは別として、裁判所や相手方などからの封筒も、判断が難しければひとまず捨てないで一緒に残しておくか、その都度、捨ててよいのか尋ねましょう。
「これは書証として使うかもしれないな」「今回は単なる連絡事項だから封筒は捨ててよいな」と、いるかいらないかの判別がだんだんつくようになってきます。
少し高度な話。
郵便物を全部チェックしたい弁護士と、事務局で必要なものと不要なものを取捨選択してから渡してほしいという弁護士がいます。
大きい事務所だと弁護士ごとに対応することはなさそうですが、個人事務所だと弁護士の方針に沿って事務局が対応することになりますね。
取捨選択まで任されるのは信頼されている証拠です。
個人事務所のほうが比較的、密に接するので弁護士の考えが理解しやすいかもしれません(なかなか難しい方もおられますが……苦笑)。
その域に達したら、もうどの事務所でも働けますよ。パラリーガルを極めたいあなたを応援しています。
以上