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【高額療養費制度 自己負担額引き上げ】~医療費って、実際どのくらいかかるの?~私の医療費を公開<がん治療>


高額療養費制度、自己負担額が2025年8月より引き上げられることが決定しました。

高額療養費制度とは、毎月の医療費の自己負担額が高額になった場合、限度額を超えると払い戻しを受けられる制度になります。

公的医療保険に加入している人が対象で、収入などに応じて限度額が定められています。

この限度額が2025年8月より引き上げられ、さらに、2026年8月には区分を細かくした上で、2027年8月にも上限額を引き上げる予定です。

NHK首都圏ナビ HPより
NHK首都圏ナビ HPより

以下のHPで詳しく載っていますので、ご参考になさってください。


高額療養費制度、実際のところ、医療費はどのくらいかかるのか

皆さんは、医療費についてどのくらい意識していますか?
健康な方であれば、風邪を引いたときや歯医者くらいでしか医者にかからないから、あまり気にしませんよね。
家族を含め医療費が10万円以上になれば、確定申告をして税金から控除してもらうことになるので、今の時期は意識する方は増えているかもしれません。

一方、重篤な病気や大事故などで長期間にわたる治療が必要な人にとっては、医療費の負担は重くのしかかってきます。

私もがん治療を経験しました。
実際どのくらいかかるのか、いまいちピンとこない方のために、私が支払った医療費と、高額療養費制度でどのくらい減免されたのかをお伝えしたいと思います。


高額療養費制度 利用方法は2通り

高額療養費制度の利用方法は2通りあります。
①一旦、自己負担額を支払い、加入している保険組合へ支給申請をする。
②「限度額適用認定証」を保険組合に申請し、病院の窓口で提示することにより、限度額を超えた分の支払いが免除される。

私は、①②の両方を利用しました。
病気が判明した時点では、職場の保険組合に加入していました。
ただ、治療のため退職することが決まっていたので、限度額適用認定証は申請せず、①の方法を選択しました。

退職後は夫の扶養となり、夫の加入している保険組合に限度額適用認定証を申請し、②の方法を利用しました。

忘れてはいけないのが、高額療養費の算定は、“月ごと” になります。

ここ重要です。
患者さんによっては、1か月の医療費が限度額を超えるように、例えば、抗がん剤を投与する日を月内にするなど、調整する方もおられるようです。

上記を踏まえ、①と②の時期に分けて説明したいと思います。

【治療内容】
◆2021年3月、乳がんと診断される。
◆5月、摘出手術で8日間の入院
◆7月、抗がん剤開始(2種類)
 1種類目、2週間に1度の投与を4回。
 2種類目、3週間に1度の投与を4回。
 →抗がん剤は、その薬を最初に投与するときだけ2泊3日の入院。次からは通院。
◆2022年8月 乳房再建手術(エキスパンダー手術)で14日間の入院
 →皮膚と大胸筋の下に膨らみのある器具を入れて、時間をかけて伸ばす。
◆2023年4月 乳房再建手術(自家組織で再建
 →お腹の脂肪を血管ごと取って胸に移す。

<①の方法>一旦、自己負担額を支払い、加入している保険組合へ支給申請をする。

※ここでいう医療費とは、主に入院および通院治療代、薬代を指します。

医療費の自己負担額(3割負担):428,970円  
申請による支給額:165,566円
【内訳】
3月:22,350円  限度額を超えないため不支給
4月:32,760円  不支給
5月:256,470円   支給164,827円
6月:33,760円  不支給
7月:83,630円  支給739円

7月までの記載なので、治療としては、抗がん剤の2回目までの金額です。この後、6回の投与を行いましたが、夫の扶養に入った後なのでここには載せていません。

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当然と言えば当然ですが、手術で入院した際の費用が一番高いですね。

その中でも、「この治療、たけーな」と思ったものがありました。
1種類目の抗がん剤。投与した3日後くらいに必ず行わなければならない注射があったのです。
『ジーラスタ』といいます。これは、抗がん剤の副作用で白血球が下がることを防ぐためのもの。
1回につき約33,000円!3割負担でですよ!
抗がん剤が1回につき12,000円~13,000円。
なので、1回の抗がん剤にかかる費用は45,000円以上になるわけです。フツーのサラリーマンだったら2回で限度額を超えますよ。
しかも、皮下注射で痛いのなんののおまけ付き……。

白血球が下がったっぽい症状は確かにありました。
ジーラスタを打ちに行く日(抗がん剤から3日後)にちょうどめまいと吐き気が最高潮になるので、一人で病院に行けず、旦那に半休を取ってもらい付き添ってもらっていました。
ある時は、セルフ会計機で会計中にめまい&吐き気がやってきて、会計終了と同時に転んで、クレジットカードを落としてしまいました。
それにも気がつかずにトイレに駆け込み戻して……ヘロヘロで車に乗り込んだものです。
(クレジットカードは後日、病院から電話があって、受け取りに伺いました……拾ってくださった方、ありがとうございました……)
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<②の方法>「限度額適用認定証」を申請し、病院の窓口で提示することにより、限度額を超えた分の支払いが免除される。

2021年8月以降は、夫の扶養に入り、限度額適用認定証を申請したので、限度額を超える金額を支払う必要はありませんでした。
ここでは、医療費が高額だった乳房再建手術の例をご紹介します。
(注:金額には、入院時の食事代などの雑費も若干含まれています)

2022年8月 乳房再建手術(エキスパンダー手術)で12日間の入院
本来、負担すべき自己負担額(3割負担):211,893円
実際に支払った額:98,096円

2023年4月 乳房再建手術(自家組織で再建)で13日間の入院
本来、負担すべき自己負担額(3割負担):527,460円
実際に支払った額:109,976円

摘出手術より再建手術のほうが、器具を入れたり脂肪を移したりするので、金額も高くなるようです。
高額療養費制度の恩恵を一番受けたのは、2023年4月の手術でした。

なお、この入院時の食への限界なき欲求を、以前、別記事で書きましたので、よかったら読んでみてください(笑)


初期治療
他の臓器への転移がなく、がんを完全に治すための最初の治療)の場合、抗がん剤の投与回数は決まっているので、私も8回で終わりました。しかし、再発・転移をすると、終わりが決まっておらず長期間にわたる場合もあるので、毎月毎月、高額の費用がかかるわけです。今のところ経過観察中で元気に過ごしていますが、先のことはやはり心配です。。。


後日談

最終的に、私の医療費の負担額は ”0円” になりました。

なぜかというと、がん保険に入っていたからです。保険金が下り、医療費の額をカバーすることができました。
実は、がん保険に入ったのは、乳がんが判明する1年前だったのです。なので、ろくに保険料を払わないうちに保険金を受け取る側になりまして……入っておいて本当によかったと思いました。
(もちろん今も加入していて毎月保険料を払っているので、いずれは償却される話ではあります)

失敗したなと思ったのが、私の入っているがん保険は、入院給付金しかないタイプだったことです。入院1日につきいくら、というものですね。
最初に支給される一時金と、5回の入院にかかる入院給付金で、結果的にトータルでのカバーはできました。ただ、通院給付金もあるタイプだったら、通院にかかる交通費などを気にする必要はなかったなと考えています。

繰り返しになりますが、自分はまだ、初期治療が終わり経過観察中の段階です。今後、再発・転移し、抗がん剤を長期間、通院で行うことになれば、いくらがん保険といえどもすべての医療費をカバーすることは難しくなります。

いずれにしても、がん保険は入っておくに越したことはありません。ただ、保険料の負担感も当然、発生します。収入の範囲内でどの費用を優先するのか、個人に委ねられている状況です。


おわりに

少しはご参考になりましたでしょうか。

高額療養費制度、負担を抑えられるとはいえ、重くのしかかってくることに変わりありません。支払えずに抗がん剤治療を諦める患者さんもいると、病院で教えてもらったことがあります。
限度額がこれ以上引き上げられると、がんだけでなく、さまざまな病気・大けがなどで治療が必要なのに、諦める人が増えてしまうのではないでしょうか。

高額治療を経験した者としても、引き上げがなされないこと、または治療回数が多い人には減免措置がなされる制度作りを検討していただきたいと思っています。


追伸

この記事を読んで、抗がん剤は副作用がきつそうだな、などと思われたかもしれません。
たしかにハードですが、意外とやれるもんです。
誰しもが、がんになる可能性はあります。必要以上に不安に思うことはありませんよ。


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おっちぃ|パラリーガル20年 → 在宅ワーカー(リライター)
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