【弁護士事務所での働き方】~「以上」をページの冒頭に残すな
私がパラリーガル(法律事務職員)になりたいと思ったのは、大学生の頃でした。
大学卒業時にも就職活動をしましたが、私の能力不足でまったく採用されなかったので、一旦、別の仕事をしながら、再チャレンジできる機会をうかがっていました。
無事、24才で最初のA法律事務所に採用され、以後、約20年間、計3つの事務所に勤めました。
その間、パラリーガル・法律事務職員として心がけていたことをご紹介します。
今回は、書面の書き方にまつわるお話です。
パラリーガルの主な仕事の1つに、書面作成がありますね。
依頼者へ郵便物を送るときの送付状、裁判関係の書面。例えば、訴状や準備書面だと、当事者の名前、住所、不動産目録などの定型的な個所をパラリーガルが先に作成して、弁護士にバトンタッチすることが多いです。
また、最近は少なくなったけど、年配の弁護士の場合、手書きで書いた原稿を事務方が全部入力することもあります。私も1つ目と2つ目の事務所ではそうでした。なので腕が痛くて、よく腱鞘炎の一歩手前の状態になっていましたよ。
とにかく、あらゆる書面の下地の部分をパラリーガルが作成するわけです。
職場によりますが、書面の誤字脱字や文字のゆらぎ、ファクトチェックなどの確認を指示されることもあります。弁護士に遠慮せず、どんどん指摘しましょう。
そして、完成して印刷して裁判所や相手方に送る段階になったとき、最終確認したら、最後の「以上」だけが次のページの冒頭になってしまった……よくあることです。
直しましょう。時間が許す限りでいいので。
Wordの設定で、下の余白を減らしたり、ページ番号が振られているフッターの位置を下げたり、全体の行間を縮めたりして、調整しましょう。
裁判所でも相手方でも、送られてきたものをコピーして関係者に配りますし、こちらも、依頼者にコピーを控えとして渡すことになります。
文字の大きさや余白なども含めて、裁判官や依頼者が読みやすい体裁に整えられているか。そのあたりの能力も、見る人が見れば分かります。最後のページに1行しか書かれていなかったら、確実に「詰めろよ」と思われますね。依頼者には、「この状態で外に出したのか」と、がっかりされるでしょう。以前の記事の “掃除”、“お茶出し” に続いて、小さながっかりポイントを増やさないよう気をつけてください。
一つ一つは小さなことでも、積み重なっていけば依頼者は、「この事務所に任せておいて大丈夫だろうか」と、不安になります。途中で依頼を辞めるということはめったにないにしても、次に何かあったときには、他の弁護士に依頼されてしまうこと間違いなしです。
もちろん、提出期限が迫っているときは、そのままでも仕方がありません。優先順位を考えるべきです。ただ、“時間ギリギリで作ったな” と、見透かされてしまうおそれはあります。
一番大事なことは弁護士が作成する内容であることは間違いありません。ですが、事務方でできることは、なるべくしてあげると尚よいですね。
以上