気づきを生かす
産業現場では、メンタルヘルス不調による労働損失は大きなものであり、年間8兆円にも及ぶと言われています。
メンタルヘルスケアは4つの要素から説明されます。第一はセルフケア、第二はラインケア、第三は専門職によるケア、第四は事業所がイケア（医療機関）から構成されます。
今回は、第二のケアであるラインケアの重要性や注意点について触れます。
厚生労働省でも、その重要性を認識しており、e-ラーニングを提供しています。
重要な早期支援
早期に不調者に気づいて対処することは、会社に求められる安全配慮を果たすために必要なことです。もちろん、本人にとっても早期に適切な医療を含めサポートを受けることは、心身、経済的な負担を軽減することができ、望ましいことです。
そのために、「チームメンバーの健康状態を把握する」上で大切なのは、管理監督者が「いつもと違う」部下に早く気づくことです。
周囲の気づき
いつもと違う様子は、勤怠関係、職場での様子、行動がポイントになります。
勤怠関係では、欠勤や遅刻などの勤務が乱れることがあります。職場での様子では、就業の効率が落ちている、ケアレスミスがおこりやすく、注意力が下がるなどあります。行動については、落ち着かない、元気がないなどがポイントになります。
在宅勤務ではメンバーの様子を把握しにくいようですが、1on1の面談などが大切な機会になります。産業医として復職者の上司面談で伝えていることとして、睡眠について、想定される業務の達成率などんい注意して欲しいと伝えています。
産業医への連携
メンバーが不調であるとき、まずは産業医の受診を薦めてください。
この際、強制的な指導はハラスメントと誤解される可能性がありますので、本人が納得して受診するようにして下さい。
産業医に面談は、就業に配慮事項があるか判断するのが目的であり、本人に不利になるものではないことを理解して貰って下さい。
それでも受診を拒否する場合には
会社側から受診勧奨などの配慮をしても、本人が何もせずに就業が悪化する場合には、人事指導を通して、本人の自子保健義務による対応を求めることがあります。その際には主治医の診断書を通して医療機関の意見を確認した上で、就業配慮を会社側に提案することになります。
ラインによるケアは、社員の健康安全配慮の上からも重要な位置づけにあります。
メンタルヘルス不調は周囲からの気づきが重要な役割を果たしますので、上司、管理監督者の方々に注意していただくことが望まれます。