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保健指導を科学する(4)
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相手との距離を縮める接近
保健指導を科学してきましたが、最終回では技術的な側面を取り上げていきます。基本中の基本は、「受診者と同じ視点」で距離を縮めることです。
「指導する人」「指導される人」との上下関係はまず取り除くことです。
以前聖路加国際病院の故日野原重明先生から伺った話で、保健指導の時は「横に座る」気持ちが重要であるとのことです。
相手を尊重し、並走する気持ちで
保健指導の際、ややもすると「専門的な知識を提供するから理解しなさい」的な話になることがあります。
生活習慣を変えようとしている受診者に、理論や正論だけでは役に立ちません。
まして、説教、命令、強迫、侮辱などとも受け止められない発言はもってのほかです。
受診者が求めている方向を理解して並走する気持ちで、解決策を一緒に模索することになります。もちろん、専門知識で補足や是正することはあっても。本人の意思で結論を出すことが肝要です。
質問はオープンクエスチョンへ
面談では、YES or NO の答えを求める質問は効率的な保健指導には優れたものではありません。
できるだけ、相手の考えを把握するためには、限定せずに答えを聞き出すオープンクエスチョンが望ましいです。
質問に対して受診者の気持ちが込められているほど、その後具体的な話へと進めることができます。
相づちの効果
相手の発言を聞くとき、適度な相づちは様々な効果があります。緊張を和らげ、案して会話のリズムや話題を広げることができます。
この相づちを通して、保健指導に対する受診者の期待や質問などを理解することがあります。
通り一遍の保健指導では無く、受診者のニーズに合わせたカスタム化された話題が提供できます。
ここまで、保健指導を科学すると題して、日頃気にしている保健指導の進め方を整理してみました。