~食を通じた多文化共生~多文化交流カフェSoban(ダイバーシティうんなん toiro 副代表理事) 李 在鎮さん

今回は雲南市木次町寺領で多文化交流カフェSobanを営む李 在鎮(イ・ジェジン)さんにインタビューさせていただきました!
ジェジンさんは2018年度のスぺチャレに申請し採択となりました。雲南を拠点に多文化共生の取り組みを行うに至った経緯や今後の展開についてお聞きしていきます!
(当時のチャレンジ内容はコチラ。)




佐野:それではよろしくお願いします。まず、ジェジンさんは韓国のご出身ですが、どういう経緯で雲南に来ることになったんですか?

ジェジン:2012年に国際交流員として雲南市に配属されました。国際交流員というのは、自治体同士の国際交流のコーディネーターです。海外の青少年達のホームステイ受け入れと交流をしながら、交流センターや学校で韓国の事を知ってもらう取り組みもしていました。それ以外にも、多文化まちづくりカフェという取り組みや、市の多文化共生推進プランの策定にも関わらせてもらっていました。そして2017年までの5年間国際交流員を勤めて、そのまま雲南市で多文化共生の取り組みをすることに決めました。

佐野:当時、雲南には海外出身の方は少なかったかと思いますが、国際交流員として雲南に来られていかがでしたか?

ジェジン:全国に国際交流員は当時300人ほどいましたが、私が一番幸せだと思っていましたね(笑)。最初、自治会に入った時に当時の自治会長さんが歓迎会をしてくださって、それで打ち解けて。雲南に住み始めて困ったことや分からないことはあったけど、地域の方や市役所の方は本当に優しくて、何度も助けてもらいました。

ジェジンさん(写真左)には快く取材を受けて頂きました!


佐野:多文化共生の拠点作りでスぺチャレに申請したと拝見しましたが、どういう想いからその事業を始めようと思ったんですか?

ジェジン:国際交流はお互いの文化を知ってもらって交流を促進する取り組みですが、結局国際交流だと対象が海外に興味のある方に限られちゃうんですよね。でも多文化共生は生活の問題なんです。雲南市に海外から仕事で来られる方の中には日本語が読めない方もいるし、実際に話を聞いてみたら生活の中で凄い苦労をされていたという方も多くいます。生活以外にも人権の方面の問題でもあります。自分も海外から雲南市に移り住んだ時の経験もあるので、地域の方の意識を多文化共生に向けて行くこと、理解してもらうことが自分たちの使命かなと思っています。

佐野:多文化共生に焦点を置いた取り組みが、”多文化交流カフェSoban”なんですね。2018年にスぺチャレに採択となってからはどのような取り組みをしましたか?

ジェジン:60件以上もの空き家を見て回って、雲南市木次町の古民家を譲って頂きました。スぺチャレに採択されてからは畳の張替えなど、古民家の修繕・改修に注力して、沢山の方に協力していただきながら2019年の7月に多文化交流カフェSobanとしてオープン出来ました。

佐野:そこからコロナもあったかと思いますが…

ジェジン:そうですね。オープンして半年ぐらいで食を囲んで交流するという事が一切出来なくなりました。ただ、それがあったからこそレシピや加工品の開発に注力出来た側面もあります。現在も販売していますが、タッカルビのたれは3種類になり、コチュジャンプルゴギの素やヤンニョムチキンのたれも約1~2年かけて開発し販売を開始しました。
(ここでは書ききれませんでしたが、この商品に懸ける想いも凄くアツいです!開発秘話はHPから!)


タッカルビのたれのパッケージ


佐野:めちゃくちゃ美味しそうですね…。2023年に入ってから少しずつコロナ禍も明けてきましたが多文化交流カフェSobanの営業はどのような状況ですか?

ジェジン:2023年の夏くらいから徐々に気兼ねなく交流が出来るようになって来ましたね。今では月に2,3回イベントをしています。夏にはタイの家庭料理を提供する”sawasdee cafe”を開催したり、韓国のジャージャー麺を提供して交流するイベントを開催したりしています。(なんと中国の方も参加!)イベントには多い時で30人ほどの方に来ていただいていて、食を通じてその国の事、その人の事を知っていただける場になっていますね。食を囲んで交流することで”海外の方”という括りから、親しい関係へと移り変わっていくのが見て取れます。

佐野:申請当時に描いていた場になっているわけですね。その取り組みを今後どのように発展させていきたいですか?

ジェジン:海外の方が住んでいる地域の自主組織と連携して、海外の方を含めた街づくりが出来ないかなと思っています。先日、sobanで雲南に住んでいるタイ人の方と料理イベントを開催したのですが、本当はその方が住んでいる地域の公民館とかで開催するのがいいと思うんですね。そうすれば地域の方も、その方が生まれた国の事やどういう夢や困りごとがあるのかをよく知ることができる。そういうのが重なると、歓迎会が開催されたり、近隣住民との繋がりができて生活で困ったことがあっても助けを求めることが出来るかもしれない。そういった、雲南に住む海外の方と地域住民を繋ぐコーディネーターをしていきたいですね。

佐野:なるほど…。では最後に、この記事の読者に「私こういうことができます!」というのをお伝えするとしたらどういったことを伝えますか?

ジェジン:まだまだ「多文化共生ってどういういいことがあるの?」と言う方は多いと思います。もしお声がけ頂ければ、学校(PTA含む)や交流センターで多文化共生についてお話することはできます。特に交流センターではタッカルビを囲んで食べて、雲南市の多文化共生事情とか、韓国の事も含めて、食と共にお話できるかなと思いますね。


図書館で行った親子向け国際交流イベントの様子




今回のインタビューで、多文化交流カフェSobanのオープンや商品開発、多文化共生の取り組みについて、それぞれで幾多の壁を乗り越えて来られたことがわかりました。食を通じて人を繋ぐコーディネーターとして、今後の取り組みが楽しみですね!

多文化交流カフェSobanのイベント内容についてはHPInstagramからご確認ください。
タッカルビの素などのジェジンさんオリジナルの商品はコチラから購入できます!

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