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完璧な1日

あれはまだ9歳の誕生日を迎える前の秋の日
海に遠足に行った

晴れていて青空で
砂浜は白く綺麗で
砂浜に埋めた宝物を探す「宝探し」が
なんだかやたらと楽しくて
笑ってばっかりで
子供心に「今日は完璧な日」って思ったことを覚えている

次の日の夜 兄が亡くなった

家族はバランスを崩し
私も片羽をもがれたようで
笑わない子供になった

歪んだ大人になった


今年、節目の年になる

寂しい年忌になるのだけれど、日にちを決めようとしたら母が
兄の誕生日にしようと言い出して

いろんなことがまた悲しくなった

向こうの世界でも
優しすぎて損していない?
亡くなる前にはお水も飲めなくなったけれど
美味しいお水をいっぱい飲めている?

実家に戻ると仏壇のお水が
替えられていないのに気づく

私は誰にも何にも言わずに
なみなみとお水を注いで供える

お兄ちゃん
こっちの世界はこんなに生きにくい

完璧な1日なんてもうないけれど
ふうふうしながら今日を生きてるよ

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