一家に一つ、赤提灯
一つ前の記事にて申しました通り鐵板を賈って參りましたが、その折にもう一つ(ついうっかり)賈ってしまった物がございます。
合羽橋に行くといつもそうなんですよ…。
何せミリキ的な物ばかりありますものですから………。
それがこちら…
店舗用の看板やらのぼり旗やらを扱うお店で見かけて(ついうっかり)購入してしまいました。
ビニール製ですので多少濡れても平氣です。
しかもこの丸に酒の文字は職人さんの手書きらしいのです。
印刷ではないところが余計に愛着を感じます。
これでお値段が鐵板の約半分位(数千圓程)ですので、とってもお買得です。
やはり合羽橋はこう云う物が賣っているお店が在るから面白いのです。
これらの中には日々を樂しく過ごすのに効果的なアイテムが目白押しです。
…で、これが日常生活のどんな所で役に立つかと申しますと………
昨今の傳染病により家で呑む事も多くなりにける今日この頃でございますが、そういう時にこの提灯は大活躍なのです。
勿論外で呑むのは樂しいのですが、家では家でそれなりに樂しくなるものです。
この提灯はそう云う時に使う物なのです。
これには光源は附いていないので別途用意する必要がありますが、緊急時の為にもらっておいた乾電池で動くLEDランタンが丁度良く提灯に収まるのでこれを入れておきます。
防災用の物ですが、意外なトコロで役に立つものです。
部屋を暗くしておくとこの赤提灯の明かりがほのかに温かく、そしてどこか懐かしいものです。
蝉が鳴き始めました。
蚊取り線香の香りも夕時の涼風に乗って風鈴の音を運んでくる様です。
そんな當たり前の夏のひと時がどれほど幸せな事か…。
私はホッピーにソラマメの塩ゆでを肴に特に何の変わりも無く必然的に飛び込んでくる夏の風情を味わいつゝ、晩酌をしていたのでありました。
この提灯の明かりは酒を旨くする様です。
使わない時は畳んでおけば場所に困りません。
これからの時代、一家に一つ、こう云う物が有ると便利なのではなかろうかと存じます。
ストレスばかりが目立つ昨今、段々と人間がおかしくなっている様でありますが、そんな時は赤提灯の掲げてあるお氣に入りの場所で静かに非日常を感じつゝ情緒に浸ってみては如何でありましょうや。
特別な事は必要ありません。
ただ赤提灯がそこにあるだけです。
蝉の声が聞こえる。
風鈴の音が聞こえる。
蚊取り線香の匂いがする。
扇風機のカラカラと云う音と一緒にスピーカーからは小さな音量で八代亜紀さんの『舟歌』が聴こえてくる…。
そこに酒と肴があれば充分です。
今年も私の好きな季節がやって參りました。
さあ、樂しもう…!