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ゴルフ場のミニチュア作り

晩秋と呼ぶには少々時機を逸した様でございますが、先週辺り迄美しい紅葉を愉しんでおりました。

近所の公園の一枚

さて今年も残りが愈々少なくなってきたところで先日迄に夏の思い出を延々と書き記しておりましたが、今度は矢継ぎ早に今秋の思い出を語らんと思うのであります。

今年の秋、私はゴルフに夢中でした。
キッカケは何氣無い休日の午后に昔のゴルフ中継の様子を動画サイトにて視聴していた時でした。
かのAON即ち、青木選手、ジャンボ尾崎選手、中島選手が現役で活躍されていた頃のものだったのですが、観てみると結構面白いもので、すっかりハマってしまいました。

こう見えてもゴルフの嗜みがごく僅かではございますが、いさゝかあるものでございまして、大學時代は單位を取り終えて就活も無事に濟んで半ば遊んでいた4年生の頃によく友達とキャンパス近くの打ちっ放しに通っていたものでした。
しかし私はこう見えても左利きなものですので打席が無く、無理矢理足元の人工芝を引っぺがして左打席を即席で作っていたものです。
今でも家で友達と呑むと、かなりの確率でWiiのゴルフをみんなでやり出します。
實際にリモコンを振って遊ぶあのゴルフはボタンを押すだけのゲームとは違い、樂しいものです。

そんなものでございまして、ゴルフ自軆はわりかし好きなのであります。
そこでこの秋にミニチュアのゴルフ場をふと作ってみようと思い立った次第。
約3週間の工期で机の上に18ホールが完成致しました。

池あり、バンカーあり、クラブハウスや休憩所もちゃんと作るところがコダワリ

面積約240×300mm。模型上7,089ヤード、par72の本格的な18ホールのコースです。

では實際の建設現場を見ていきましょう。

コルクボード

まず、土台となるのはこのコルクボード。
今回は100均ショップの物を使いましたが、出來る事ならばホームセンター等でもっとちゃんとした品物を使った方が良かったと思っております。

加工

木枠を外して葉書大の大きさに切ります。
この儘18ホールを作っても良かったのですが、収納の關係上分割式にする事に致しました。

コースレイアウト

次にコースレイアウトを紙に書いていきます。或る意味一番樂しい工程でした。
葉書サイズなのでA4の紙を1/4にすれば良いのですが、この大きさに数ホールを配置出來ます。
實際のゴルフ場のコース圖を參考にして自分だけのゴルフ場を設計していきましょう。

ただ單調に打つだけでなく、戰略が重要になるにはフェアウェイはどうするか、池やバンカー等をどう配置するか、コースを廻る上でどの様に各ホール同士の動線を設定するか、これはゴルファーと設計者の見えざるもう一つの斗いの様であり面白いものです。

18ホールの下書き

色々と有名なゴルフコースをモデルにしておりますが、とりあえず「設計圖」が出來上がりました。
愈々「建設」に乗り出しましょう。

コルクボードに轉寫

下書きのゴルフコースをコルクボードに書き冩します。

木工用ボンドを塗布

まず、フェアウェイを決めましょう。
木工用ボンドをフェアウェイの位置に塗り附けます。

お馴染みの素材、カラーパウダー

そこで出てくるのがジオラマ作りでお馴染みの「カラーパウダー」であります。
画像左がフェアウェイ用、右がバンカー用のパウダーになります。
最近は量販店はおろか100均ショップにも一寸した物が置いてあるくらいです。私は近所の行きつけの古くから在る模型屋で賈っております。

パラパラと…

このカラーパウダーを先程ボンドを塗った箇所にまぶす様に振りかけ、指で輕く上から押し付けて大まかにボンド全軆がパウダーに隠れる様にします。

トントンと…

それをこうしてトントンと小口の部分を叩きつけると余計な部分のパウダーが落ちてボンドの箇所だけが残ります。

フェアウェイの出來上がり

フェアウェイが出來たところで次にその周りのラフの部分を作ります。

ぬりぬりと…

今度はラフの部分にこの様にしてボンドを塗っていきます。爪楊枝等を使うと便利です。

グラスパウダー

同じ草地を表現する素材も色々あります。
今度は少々毛羽立っている感じの素材を使います。

芝生が生えました

フェアウェイと同じ要領でモコモコとしたラフが出來上がりました。
こんな所にはボールを打ち込みたくありません。

バンカーの箇所をほじくる

次にバンカーを作ります。
バンカーの箇所をこうして爪楊枝でほじってカラーパウダーを斫ります。

ボンドを注ぎ込む

こうしてバンカーの箇所にボンドを注ぎ込みます。
あとはこれまでと同じ要領でバンカー用の茶色いパウダーを使います。

〽いやんバンカー♪
そこは砂地なの♪あはん…♡

かの名曲『セントルイスブルース』を口ずさんでいる内にバンカーが出來ました。

ティーグラウンドとグリーン作り

最後にティーグラウンドとグリーンを作ります。これまでと同じ要領です。

段々に出來上がるコース

フェアウェイよりも明るめの色のパウダーを使います。
これでホールの体裁が整いました。
このままコース周りを作り込んでいきます。

練習場も完備

周囲の草地(OBゾーン)は幾つかの色のパウダーを調合して雑草の雰囲氣を出します。

ベビーチーズの台紙

次に取り出したのは酒の肴でお馴染みのベビーチーズの台紙。
これを切り出して使います。
何にするのかと言うと…

アスファルトにボール紙

この台紙はボール紙で裏面はこうした灰色をしており、クラブハウス周囲のアスファルトの表現にうってつけです。
身近にある物を有効活用するのが工作の面白さでもあります。

恰もテトリスの様に

次にこの板目紙(堅い厚紙)をこうして切り出します。
これは以前「道路」を作った時の余りです。

残った材料は棄てずに取っておくと何かの役に立つものです。

仕掛品

この細かく切り出した板目紙を組合わせて色と附けると…

クラブハウスの竣工

ゴルフ場にはクラブハウス。こう云う部分もちゃんと作り込んでいきます。

お馴染みのライケン

お次はこの「ライケン」の出番です。
これは水苔の一種を加工した古くからある素材で主に低い木を表現するのに使います。

ボンドで接着

それを細かく千切ってボンドで接着していきます。
カートが通る道路をさり氣なく残しておくのがコダワリです。
本當ならここでライケンの上からターフと呼ばれる細かなスポンジ粒をまぶすとリアルに仕上がるのですが、諸事情により割愛します。

ピンフラッグ

竹ひごと紙でピンに立てる旗を作ります。
これをグリーンに錐で開けた穴に差し込みます。

コースの看板も

細かな作業ですが樂しいものです。
看板はExcelで作って豫め印刷しておいた物を先程のベビーチーズの台紙に貼り附けて使います。

各ホールの入口に

こうして18ホールを作っていくのでありますが、このゴルフ場と云うのはジオラマの地面を作る工程の基礎を勉強するには丁度良い教材なのかもしれません。

複数のホールも一つずつ
鳥渡した時間に少しずつ
1枚當たり1時間程で

池も作ります。

色鉛筆の出番

池になる部分に紙を貼り附け、この様に色鉛筆で水面を着色します。
尚、私の愛用している色鉛筆は獨逸生まれの「カステル」です。
水を含ませたちり紙等でこうしてぼかす事が出來ます。

水面シート

同じく獨逸生まれのノッホ社の水面を表現する素材を接着剤で貼り附けます。
これは半透明な水色のプラシートがさざ波状に加工されている物で手輕に水面を表現出來るスグレモノです。
下地となる部分の色を工夫すれば深い沼等も表現出來るでしょう。

しっかり接着

長年丸まっていたので巻き癖が附いてしまっていたシート。しっかりと固定させます。

休憩所一緒に

ゴルフコースに休憩所があると本當に助かります。
前が詰まっていたり後ろが來なければ暫し憩いのドリンクタイム。雷が鳴れば避難所に早変わりです。

みんな大好きOBの白杭

竹ひごを白く塗った物はOBの境界を示す白杭になります。

コースの至る所に

よく変な所にボールが轉がっていき、そこにこの杭があると「見なかった事にしよう」とか思ったり…(思うだけにしておく事が紳士の嗜みです。罰打は素直に受けましょう)

聯結してゴルフコースに

出來上がった物を色々な順番で繋げていくと多彩なレイアウトのゴルフコースが出來あがります。

看板と國旗は忘れずに

少々オーバースケールですが氣にしてはいけません。

上空から

諸事情によりコースに勾配を設ける事は出來なかったのですが自分だけのゴルフ場が完成致しました。

ゴルフコースに出て氣の合った仲間とプレイを愉しむのはとても良いものです。
コースに出ている時もクラブハウスで過ごすくつろぎのひと時も、あの廣々とした場所で自然を相手に紳士の振る舞いで行うのがゴルフの醍醐味でありますが、机の片隅にその愉しみを表現した一寸したアクセントになっております。

収納もコンパクトに…

水戸を旅した時に賈ってきた御老公も作って食べたラーメンの箱がピッタリフィットであります。


…で、このゴルフ場のミニチュアですが、或る決まった縮尺と規格で作られており、實はボードゲームの様にして遊ぶ事が出來るのです。
先程來しばしば出てきている「諸事情」とはこの事だったのです。

ジオラマっぽく

用途不明に思われたミニチュアですが、次回、實際にこのコースに出てプレイしてみましょう。


續く…

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