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TimeはTimingに勝る

Time in the Market Beats Timing the Market.

という投資の格言があります。「市場タイミングを見計らうよりも、市場に長く居るほうがいい」という意味です。

ところが、なんとなーくで株式投資を初めた人の多くは、株を頻繁に買ったり売ったりし、お金を市場に置いたり市場から引き上げたりを繰り返します。

また、インデックス投資家を標榜ひょうぼうしながらも

・「下落時のために現金を持っておくべき」
・「今は相場が悪いから買わない方がいい」

という主旨の発言をしているアカウントさえTwitter上では見かけます。

そういった投資行動は、インデックス投資=市場平均へのパッシブ運用とは言えず、単にインデックスファンドを使ったアクティブ運用です。

アクティブ運用ですので、パッシブ運用をしているより投資成績がたいてい悪くなります。

だから、普通、タイミング売買はやめたほうがいいです。

本題は……

せっかくインデックスファンドへの投資を始めたのに、本能や感覚に従ってタイミングを見計らうせいで投資成績を落としてしまうのは、実にもったいないことです。

……とまあ、こんなことを言っているブログや記事は国内にたくさんあるので皆さん耳にタコでしょう。

本記事では、海外の投資ブログに参考になる記事がありましたので、どんなことが書かれているか紹介してみます。

※ このブログ(OptimizedPortfolio.com)は、John Tyler Williamsonという方が運営しています。米国サウスカロライナ州チャールストンにあるeコマース管理・成長戦略会社Gild GroupでPaid Searchマーケティングを担当するかたわら、個人でこの投資ブログを運営されています。

※ Twitterの株クラスタで日々議論されているようなことも話題にされているブログで、他の記事も面白いですよ。最も閲覧されている記事は「レバナス(TQQQ)は長期保有に向いているか?」です。

とはいえ、結論は一緒です。

マーケット・タイミングとは

マーケット・タイミングとは、将来の市場の動きを予測して売買のタイミングを計る投機的な戦略のことです。これは売りにも適用できますが、通常は投資家がポジションを持つタイミングを決定する、買い側の話です。
――Market timing describes the speculative strategy of trying to time one’s trades based on predictions about future market movement. While this could apply to selling, we’re usually talking about the buy side, where the investor is deciding when to enter a position.

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マーケット・タイミングとは、市場の動きを予測して買付するタイミングをずらすことだ、と前提を置いています。

マーケット・タイミングの支持者は、値動きを予測することでより高いリターンという優れた結果を得られると主張します。マーケット・タイミングは確かにデイトレーダーの生命線ではありますが、しばしば長期投資家は、相場が下がるのを待つ間、現金を手放さないこともあります。これもまたマーケット・タイミングです。つまり、パッシブインデックスファンドを購入する長期保有投資家であっても、Recency Biasに陥る可能性があるのです。
――Proponents of market timing will claim that their forecasting of price movement will lead to superior outcomes in the form of higher returns. Timing the market is obviously the lifeblood of the day trader, but oftentimes long term investors also sit on cash while waiting for a market dip, which is market timing as well. That is, even the long-term buy-and-hold investor buying passive index funds can still succumb to recency bias.

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「下落を待つ」という行動もマーケット・タイミングの一種だと言っていますね。また、このような行動をする投資家は「recency bias」にとらわれている可能性があるとも言っています。

recency biasは「近接誤差」などと訳されますが、もっと簡単に言い換えるなら「"最近"を過大評価してしまう傾向」でしょうか。

近接誤差とは、評価を行うときからみて時間的に近いできごとや印象を重視して評価してしまう現象です。

近接誤差とは?最新の成果のみが全体の評価に影響を与えてしまう - 人事担当者のためのミツカリ公式ブログ

マーケット・タイミング戦略はうまくいかない

それのどこが悪いのでしょうか? 残念ながら、個別株投資vsパッシブなインデックス投資の結果と同様に、市場のタイミングをうまく計ることはほとんど不可能であることを示す証拠が、圧倒的に多くあります。市場の動きは基本的にランダムで予測不可能であり、入手可能な情報はすべて価格に織り込み済みだからです。(中略)この方法は役に立つというより、むしろ害になることが多いのです。
――What’s wrong with that? Unfortunately, just like with stock picking versus passive indexing, the evidence overwhelmingly suggests that successfully timing the market is all but impossible, for the simple reason that market movement is essentially random and unpredictable, as all available information is already priced in. [...]. In fact, the practice is usually more harmful than helpful.

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ここで、「市場はランダム」だとか「情報はすべて価格に織り込み済み」だとかの点にツッコミを入れるのはやめたほうがいいです。

現実世界が、完全にランダム、完全に価格織り込み済みでなかったとしても、その弱点を突いて儲けを出し続けることは、私たち個人投資家にはまず無理ですから。

(中略)投資家が、最近の株価の上昇を、その銘柄が好調であることを意味すると考え、さらに買い増すことがありますが、これも同様に不合理な行動です。暴落時のパニック売りも同じです。このような非合理的で感情に基づく取引は、投資家の長期的なトータルリターンを損ねる可能性が高いのです。恐怖心や過信は、ポートフォリオに大きなダメージを与える可能性があります。
――[...]. Alternatively, that same investor may believe the recent run up means the stock is on a hot streak, so they buy more; this is equally irrational. On the other side of the coin, the same can be said about panic selling in a crash. These irrational, emotion-based trades are more likely to hurt the investor’s long term total return. Fear and overconfidence can be massively damaging to one’s portfolio.

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では、どうすればいい?

研究によれば、「市場に長く居続ける」ことが望ましいとされています。つまり、以前から申し上げているように、早く投資し、長期的に保有し、短期的なノイズを無視することです。ジャック・ボーグルが言うように、航路を守ることです。
――Studies suggest that “time in the market” is the way to go. That is, as I’ve said before, invest early, hold for the long term, and ignore the short term noise. Stay the course, as Jack Bogle said.

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さあ、ボーグルの名前が登場しました。

そうすることで、市場は下がるより上がる方が多い傾向にあるという単純な前提に頼ることになるので、その動きをタイミングよく見極めようとする必要はありません。そもそも投資する基本的な理由が変わっていない限り、「タイム・イン・ザ・マーケット(市場に長く居る)」投資家は、市場のセンチメントやバリュエーションに関係なく、定期的に買い続けるだけでいいのです。
――In doing so, we’re relying on the simple premise that the market tends to go up more than it goes down, so we don’t need to try to time its movement. As long as the fundamental reasons for investing in the first place haven’t changed, the “time in the market” investor simply keeps buying regularly, regardless of market sentiment or valuations.

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そもそも長期的に上がると信じているものに投資しているわけですから(誰でも!)、その途中の短期的なノイズなんて気にしなくていいわけです。(気にならない範囲にとどめる資産配分は必要ですが)

買ったときから売るまでの間の価格の上下(リスク)を受け入れた者だけが、その報い(リターン)を得られるのです。

機会損失は避けたい

また、相場が高値圏で推移している時間は少なくないですが、その後に大きく下落することはめったにないため、相場が好調だからといって、暴落を恐れて現金を手厚く持ったままでいる論理的な理由はありません。そんなことをすると、マーケット・タイマーは、通常、上昇過程で得られたはずの利益を逃すことになります。
――Moreover, the market spends a non-trivial amount of time at all time highs, which are usually not followed by major dips, so there’s no logical reason to sit on cash in fear of a crash just because the market is looking good. In doing so, market timers usually simply miss out on those gains on the way up.

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2020年3月に底を打ったコロナショック以降、「まだ下がる」「そのうち二番底が来る」と言い続けてずっと現金を手厚く持ったままの投資家をたくさん見てきました。

コロナショックの翌年には、「今は高値圏」だとか「バブルだ」とかいうツイート嫌というほど見ました。

でも結局は、そんなノイズに惑わされず資金を投入した投資家が資産を増やしました。

この考え方は、ドルコスト平均法と一括投資の考え方に非常に密接に関連しています。前者は、一定期間ごとに資金を分散させることです。後者は、投資可能な額を一度に投資するものです。平均をとれば明らかに後者が優れています。この意味で、ドルコスト平均法(略してDCA)は、マーケット・タイミングに似ています。
――This concept is very closely related to the idea of dollar cost averaging vs. lump sum investing. The former describes spreading out a sum of cash over regular intervals. The latter describes investing the total sum all at once as soon as it’s available, which is demonstrably superior on average. In this sense, dollar cost averaging – or DCA for short – is like market timing,

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ドルコスト平均法をタイミング投資的だと言っています。私も同じ考えです。

DCA投資家は通常、差し迫った暴落を恐れ、投資に回せるはずの現金を保有し、その資金を市場に平均化して投じることがより安全で優れた結果をもたらす、と誤って信じているからです。一括投資家は、市場の短期的な将来に対する自分の感情を重視しません。
――in that the DCA investor usually fears an impending crash and wrongly believes that sitting on investable cash and averaging that money into the market is safer and will provide a superior outcome. The lump sum investor ignores their feelings about the short-term future of the market.

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当然のことながら、投資に長く居続ける一括投資と、ドルコスト法のように資金を小出しすることは、反対の行動です。

直近の価格に関係なく("最近"を過大評価せず)、今投資に回せるお金を一度に市場に投じるのが合理的ですね。

結論

いつもと変わらず、個人のリスク許容度と時間軸に基づいた資産配分を決め、生活防衛資金を確保し、投資可能な資金が手に入ったらインデックスファンドに素早くかつ頻繁に投入し(ドルコストしない)、資産クラスとリスク要因に幅広く分散し、定期的にリバランスし、航路を守り、短期のノイズを無視しましょう。
――As always, pick an asset allocation based on your personal risk tolerance and time horizon, establish an emergency fund, invest early and often in index funds as soon as money becomes available (don’t DCA), diversify broadly across asset classes and risk factors, rebalance regularly, stay the course, and ignore the short-term noise.

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結論は私の考えとほぼ一致しています。

どの投資家も、チャートやSNSを見すぎて、短期的なノイズに右往左往しませんことを願います。個人の考えで市場をうまく乗りこなそうとしても、たいていうまくいきません。TimeはTimingに勝る、です。

※ お断り:英語の文章をDeepL翻訳に頼って訳しましたが、間違いがあるかもしれません。英語が読める方はぜひ原文にあたってみてください。



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